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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
オーランデルク

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エセル敗走記18

 即座に移動でもするのかと思えば解散を伝えられた。

 私のそばにはキサルピナ騎士長がついており監視されているようで気まずい。


「エリーゼ・ライヒベルク王太女の護衛はいいのか?」

「護衛…………?」

「……騎士長だろう?」

「騎士長は護衛ではありませんが……?」


 何を言ってるんだこの人という目で見られるが騎士だろう?

 公爵家の騎士って違うのか?お前らだけ役職の価値観すら違うのか?

 いや、取りまとめ役だからそうといえばそうだが……。そこは最も強き者が護衛をするとかいいそうではないか。


「蛮族出身は本当か?」

「ええ、あなたと同じ蛮族出身ですとも。それが?」

「…………」


 貴族的な返しまでしてくるとはな。

 実は入れ違いでこっちが公爵令嬢なんじゃないか?見れば見るほどこっちのほうが気品がある気がしてきた。

 よく見たら佇まいもそれっぽいな。


「実は公爵令嬢だったりするか?」

「頭を打ちましたか?医者が必要なら呼びますが」

「いや、明らかにそちらのほうが公爵令嬢のようなのだが?」

「そんなわけがないでしょう?だからあなたは蛮族なのです」


 一応幼少期から周辺諸国と同じように共用や礼儀作法を学んでいるのだが。


「並べば誰がどう見ても明らかでしょう。アルベマー伯爵令嬢。私と我が主がともに立っていたらどちらが公爵令嬢に見えますか?」


 興味なさげに本を読みながら我が軍に致命的な打撃を与え続けた因縁あるエリザベス・アルベマー伯爵令嬢はちらりと顔を上げて質問をしだす。


「それ……騎士姿……?」

「どちらも同じ服装です」

「キサルピナ騎士長だと思うけど……?」

「…………ドレスです。パーティードレス」

「キサルピナ騎士長だと思うけど……?」

「ほらな、そんなものだ」


 私は自身を少しだけ取り戻し、やはり公爵家の問題だろうと割り切ることにした。


「皆様もそうお考えですか?」


 あと部屋にいるのは司法大臣ジョージアナ・スペンサー男爵令嬢とクラウディア・レズリー伯爵令嬢だったが。


「…………」


 片や沈黙。


「どう立ってるかによるっすね。本気で立っているかどうかによるっす、それは哲学的な、エリーゼ・ライヒベルクという一個人のやる気に関わる問題っすね」


 方や煙に巻く気満々。

 こいつら本当に取り巻きか?


「…………近くて見えないものもあります」

「近すぎてわからなくなるものある、灯台の真下ではその光は見えぬものだからな」

「ええ、皆様真下にいるので私のような帆船からは偉大な姿がよく見えます」

「豪華客船がそういうのならそれでもいいがな」


 キサルピナ騎士長を持ってすればエリーゼ・ライヒベルクに勝てると思うのだがな。

 やはり小手先の分優位なのだろうか?


「失礼な目線ですね、今なおまだ負けていないと目で訴えているその姿勢は嫌いではありませんがね。そのいつでも私の寝首をかこうという目は」


 これは生まれつきだ。

 したくてしてる目ではない、これが自然体だ。

 だからゴットワルトが懐かなかったんだがな。

 それにその程度で勝てる相手じゃないだろう。


「まさか、私に何ができるのだ?そこまで言うなら名高いキサルピナ騎士長と手合わせをしたいものだ。さすれば私の力量もわかるだろう。貴女が上だ。仮に何かをしようものなら地に伏せるのは私だ」

「いいでしょう、そこまで喧嘩を売られては買わねば無作法というもの」


 …………ん?喧嘩は売っていないぞ?

 蛮族敵になにかNGを踏んだか、サミュエル王国的なNGを踏んだか?あるいは公爵家のNGだったか?


「木剣でいいでしょう。私は素手でもいいですが?」

「……ではお言葉に甘えて木剣を使わせていただこう」


 勝てるわけ無いだろ。可といってここでやめておきますと言えないのがこの肩書の嫌なところだ。

 そもそも此奴の配下にすらギリギリだぞ。素手でもハンデとして足りないのではないのか?


「ふん……これでは真剣を使わせても良かったかもしれませんね」


 それでも勝てる未来が見えない。

 今こうしてるだけで隙が見えないからな。正直この距離なら素手のほうが強いといきなり攻撃されないかの方が不安で仕方ないのだが。


「戻りましたわよー。なんですのこの空気?クラウ?」

「違うっす」

「ベス?」

「ノーコメント……」

「ジーナ?」

「………………」

「そう、そういうことね。良いじゃありませんの」


 司法大臣の沈黙で何かを察したのかなぜか喜ぶエリーゼ・ライヒベルク。

 沈黙で?

 まぁ司法大臣だしな、沈黙の間で相手を死刑にするとか事前決めたりしてるかもしれん。

 というか、全く喋らないな。戦で声を張り上げすぎて喉を痛めたのか?


「ロンドニの広場へ行きますわよ、正直どうかと思いますけどわざわざエセルがやってくれるなら安心ですわ」

「我が主?」

「キサルピナ、エセルは表現が下手なだけです。顔が怖いだけですわ、わざわざ武威のあるエセルを貴女が打ち倒せば格付けが終わるでしょう?エセルがいきなり手合わせなど無礼なことを伝えたのはちゃんと利用しろということですわ、意を組みなさい」

「そうでしたか、いきなり親しくもないのに手合わせなどと言うから事故に見せかけて殺す気だと思いました」


 そもそも手合わせは冗談の一種だし、そんな手段を使ってもロバツに侵攻する兵は止まらないし、ロバツの兵は増えないし、そもそも力量を考えれば無理だろう。

キサルピナ「親しくないのに手合わせだと?殺してやろうとはなめた宣戦布告ですね」

エセル「なんだそれは!」

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