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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
オーランデルク

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エセル敗走記13

「皆様!我々は勝利したのです!いまここにいるエセル・ロバツ新国王陛下はライヒベルク公爵家に降伏し永遠の忠誠を誓いました!」


 いたいけな貴族令嬢のような表情で演説をするエリーゼ・ライヒベルクを冷めた目で見る取り巻きたち、私もその一員なっているというのはなんの因果か。

 永遠の忠誠ね……。


 ロンドニの市民は歓声を上げてエリーゼ・ライヒベルク王太女を褒め称える。

 私はトロフィーとして佇みながら熱狂を浴びる。


「ロバツは降伏するでしょう!名高きリルハジョサ・ハーン将軍も我々に降りました!ロバツは我が国における不倶戴天の敵の一つとして立ちはだかっていました。わずか10日ほど前までは……。今ここで重要なのは我々が許してはいけない相手が残っているということです。皆様ご存知ですね?」


 演じる公爵令嬢は指先をやや東に向けながらも続ける。


「今我々は新しき王朝の指導者として決意を固めています!総力戦が開始されるのです!我々は平和のため剣を取り、不忠者を滅ぼし、長い年月のつけを支払わせなければなりません!此度の戦役で役にも経たなければ率先して寝返った貴族、これらを市民の皆様は許しますか?」


 次々と上がる否定の声にエリーゼ・ライヒベルクはひどく酷薄な笑みを浮かべながら声を張り上げた。


「貴方がたと私の志は同じくとお見受けします!次に、このような攻撃を同盟国であったのにさっそうと寝返った挙げ句、それを続けるように情報を流した国をご存知ですか?」


 ざわつく人々を眺めつつ、エリーゼ・ライヒベルクは拳を振り上げた。


「オーランデルク!聞くだけで不快なるこの国家は我々を裏切った!背中から刺し!血筋を盾に我々から発展と栄光を奪い去ろうとしたのです!」


 オーランデルクの評判はやはり悪いようで怒声が響き渡る。

 敵国というものはそういうものだ、それにしてもロバツより恨まれているな。把握してない範囲でなにをしたんだか……。


「オーランデルクはその血が国王陛下に流れているからこそ、この国はオーランデルク国王に従うべしと妄言を吐き出しています!たかだか公国であった国が自称王国を宣言してそれを聞き入れろという!皆様はこれに従いますか!?」


 否の声が響く中、エリーゼ・ライヒベルクはうなづいて反応を見る。


「私に、未来の国王である私にオーランデルクの血が流れていますか!?否!私の血筋は正当なる王家に連なる公爵家とガリシア帝国第1皇女の好機なる血が流れています!この血は尊く、人々のために働く貴族という重みを知る血なのです!消しって公国という誇りを捨て、裏切りにより王国になるような下賤な血は流れていないのです!」


 歓声が上がる中でエリーゼの取り巻きはとてもとても冷めているようで、アルベマー伯爵令嬢に至ってはメガネを拭き始めていた。


「危機は今ここにあります!あのような卑劣にして性根が矮小なる愚劣国家を残しておけば次はどこをけしかけるかわからないのです!あのコウモリはこちらに擦り寄りこう囁くでしょう、ロバツを抑えていた礼としての領土をよこせと」


 再び上がる怒号にエリーゼ・ライヒベルクは満足げであった。

 私の考えではオーランデルクにそれはできないだろうとは思うが、無論貴族だけの考えではどうにもできないが。

 それを国家の返答とすることはないだろう。


「寄生虫は駆除しなければなりません!ましてや宿主を枯死させるようなばなおさらです!これができるのは今や我々だけなのです!もう一息、あと一撃で今までの無念を晴らせるのです!そして安心を手に入れるのです!新しき国家は新しき関係を!新しいワインは新しい革袋へ!打ち砕くべきを打ち砕き勝利を手にしましょう!クーゲンホルフを轢き潰し、オーランデルクを滅ぼすのです!我らはまた勝利する!たとえ我々の戦勝より前にこの待ちにオーランデルクがきたとしても何の意味があるでしょう!我々は今戦争状態にあります。それはエセル・ロバツ新国王陛下も認めおります!そうですね」


 アドリブで振られたがこれで否定したら何をされるかわからない。

 幸いなことに父はもう死んでいる、もとい殺した。

 私は無関係を装い立ち振る舞うことでヘイト管理をするしかないのだから。


「ロンドニ市民の諸君!私はロバツ新国王エセルである!此度の戦争は先代国王ボブ・ロバツがオーランデルクと共謀して起こした戦争である!オーランデルクが積極的に賛同し、この地図を書き、そして土壇場で行動を起こさず!我らを見捨て!エリーゼ・ライヒベルク王太女殿下の勝利後にロバツの行動を阻止していたなどと嘘をつき無関係どころかありもしない功績を吹聴しているのだ!オーランデルクは責めさせただけで何もせう、良いところだけを奪っていく!まるで此度の国境貴族のごとく税だけは奪い取り、それ以外は何もしない腐敗貴族と同じ所業である!連中は王国の称号にふさわしくない!私は先代国王の生前からオーランデルクの重用政策に反対しており、此度の結果になるとわかっていたのだ!連中は座ってるだけで利益を貪りとる徴税人の代理に過ぎない、そろそろまともな徴税人を据えるときなのだ!そしてその新しき徴税人はエリーゼ・ライヒベルク王太女殿下唯一人である!オーランデルクは滅ぶべきだ!」


 熱狂的な感性に飲まれながらも、戦争を仕掛けた私に対するものよりオーランデルクが嫌われてる状況に呆れる他なかった。

 奴らは外交ができないのだろうか。

友人たち「(違和感すげぇ…)」

エリー(貴族の姿)「ペラペラ」

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