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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
オーランデルク

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余計なこと

 宰相と私がオーランデルクの対策を練っているとピアが気だるそうに戻ってきた。

 ノックもなしなのは気安さか、それとも化け物じみた勘なのか。

 少なくとも今はバンサ伯爵ではないと分かる程度に気を抜いている。


「議論行き詰まってそうだから一杯お茶を飲んでから来たわ、なかなか良かったわね、私が入れたほうが美味しいけどね」


 行き詰まってるなら早く来てほしいが、行き詰まってからのほうが良いということだろう。

 それがわかっているならとても便利だ、エリーもいきなり重用する理由もわかる。

 ローズといい表に出ないほうが不思議な人間が多いのはこの国が行き詰まっているからでしょうか?

 普通はお茶をいれる腕の方を自慢はしないものだが、エリーも自慢してたので普通ではない側なのだろう。

 ……考えればとアンも自慢していましたね、やはり普通ではなかったのでいいでしょう。


「バンサ伯爵、それで……」

「ノーコメント、と言いたいレベルね。論外、論外。あいつら何も知らないわ、まるで純粋無垢な赤ん坊ね、多分悪魔だから産婆に首絞めてもらったほうがいいわ」

「…………」


 父はこちらを見て説明せよと目で訴えかけている。

 いや、わかりませんが?


「どれほどまずいのですか?」

「エリーの王太女就任を知らずに次期王位継承者が決まったと言ったらあの愚か者が王太子になったと思ってたわよ」

「…………?」

「やつら情報を収集してないのか?ロンドニを通過したのだろう?ロンドニだぞ?」

「あれ素の反応ね。私の勘だけど」


 では本当か、騙しきったのなら大したものだしこちらもどうにもならないでしょうしね。


「あいつら、なんでか知らないけど何も知らないわ。知らないことはわかってるけど知らないことを知らないようなちぐはぐさがあるわね。多分誰かが手を回してる気がするけど」

「私ではない、そもそも来るなど知らなかったくらいだ」

「エリー?なら連絡はしてくるでしょうね。それこそ材料をかき集めて」


 誰かがなにかの手を回している。

 おそらくオーランデルクも使節団を送る連絡はしたが誰が握りつぶした可能性がある。


「誰か握りつぶしましたか?」

「ありえなくはないが……それをする意味はあるのか?」

「ロバツとの戦争中であればあるいは……」

「まて……決戦前の可能性はあるな。誰かが握りつぶしたか典礼大臣にも確認を取ろう」

「殺すぞと言われるのでは?」

「確認は必要だ、答えが若手っても聞かねばならぬこともある。誰か!」


 呼びかけると外で待機してる我が家の人間が入ってきたので、直ちに確認に行くようにイデリー伯爵として命じていた父を見ながらわかっていてもなと少しだけ思った。


「近衛と騎士団長にもこの連絡を」

「バルカレスのオジサマは知らなさそうだったわ、そもそも協力者でしょう?」

「そうか、ではゲドリドル近衛騎士団長にも聞かねば」

「王都管轄は騎士団ですが……」

「一応確認はいるだろう、直ちに聞いてきてくれ!」

「無駄だと思うけどね」


 父が命じるのを眺めながらピアは平然と返していた。


「ピア、それは勘ですか?」

「勘、と同時に騎士団を欺いて王都に入って握りつぶすのは無理だと思うわ。使者が殺されたか、偽物の許可を掴まされたか。どこかのオーランデルク嫌いの貴族じゃないかしら?困ったわね領地持ち貴族で生きてるものは全員容疑者になったわ」

「洒落にならない、そこまではしないだろう」

「王都広場になにあるか忘れたの?宰相閣下」

「…………」


 大概好き勝手に情報を流したりしてましたしね。

 イルモー侯爵あたりはオーランデルクの独自通貨の支援だけ拒否し続けただけまともと見るか時間稼ぎと見るかはわかりませんがね。


「本当にエリーゼ王太女殿下のことはご存じないと?」

「ロンドニが暗い理由を愚か者の王太子就任だっと思っていたくらいだし」

「市民が暗い?戦勝もありましたし……」

「ロバツが攻めてきたのよ?オーランデルクを無関係と思う市民はいないうと思うわ。指摘してあげたけどね。あれは気がついてないか愚か者の王太子で落ちこんでる可能性にかけたんでしょうね。人間悪いときは悪い想像しかしなくなるものだわ。もしくは希望的観測で全て良い想像をするか」

「ではオーランデルクはどちらですかな?」

「愚かな第2王子が王太子になることとオーランデルクが嫌いなことってどっちが重要なのかによるんじゃないかしら?」

「そうですか、お手上げですな」


 ため息混じりの父に対して私の胸中は非常に穏やかだった。

 騙し甲斐があるのではないか?


「宰相閣下、リューネブルク典礼大臣のもとより戻りました」

「入れ」

「よろしいのですか?」

「……?よい」


 多少の困惑はありつつも使いから戻ったという当家の人間を迎え入れると、頭から墨をかけられたように黒く濡れていた。


「リューネブルク典礼大臣からの返答を持ってまいりました。するか、忙しいと聞いてなかったのか?人手を出せ、舐めるな。以上です」

「その姿は……?」

「最初は聞いていましたが報告を握りつぶしたかということを聞いたらインク瓶をぶつけられました」

「でしょうね、私でもぶつけるもの。せめて自分で行かないとね」

「それでもやらねばならんのだ、すまんがバンサ伯爵は手伝いに行ってもらえるか?」

「私の勘が今はだめだと言ってるからもうしばらくしたらね。余計なことしなければそのまま私が行って働いたけど今はだめ」

「そうですか、お願いします」


 こうも丁寧な父を見るのはいつ以来だろうか。

リューネブルク典礼大臣「忙しいって言ってるだろうが!あの謀反人と同列扱いとはどういうことだ!くそったれ!」

イデリー伯爵家使い「申し訳ありません!」

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