表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
オーランデルク

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

484/561

後見人

 これはつまり、先代バンサ伯爵の隠し子が発見されていて秘密裏に保護されていたではないか?というジマーマンの判断は確信に変わりつつあった。


 当代のバンサ伯爵の父は貴族か、それとも市井の父か。

 立ち振舞いを見れば貴族ではなかったとは思えない。もし市井の娘であればすでに負けているだろう。高位貴族であることは間違いないと思う。

 おそらく名を出すことも憚れる人間であろう、となるとそれらしき令嬢を探せばこの令嬢が元は誰かはわかるはずだ、調べるには手間がかかるが……。

 スバリッツ子爵、もしもダメなら……イルモー侯爵はロバツの戦争を考えればおそらく東部に移動しているか寝返っているために王都を脱したであろうし、ガイツァー伯爵はどうだろうか、軍務省でうまくロバツの利になることをしているかもしれない。


「ほう、後見人ですか」

「ええ、後見人の一人ですわ」


 つまりまだいる!

 ジマーマンは高位貴族の娘であることにさらなる確信を持った。

 市井の娘、一族ににリッパー男爵が後見するのはわかるがまだいるとはどういうことか?バンサ伯爵に連なる血筋などもうない。

 つまりもうひとりの後見人がピア・バンサの実家に関係ある人物だ。


「他の後見人はどなたでしょう。いや、言えないのでしたらよろしいのですが」


 言えないことも十分な情報だ。

 後見人の情報など調べればでてくるはずだ、出てこないと言うだけでそれは十分な情報なのだから。

 ここでどう返されようとジマーマンにはなんの不利益もない、いきなり激怒しようとも地に伏してでも頭を下げてやろうではないか。


「ええ、王宮家令のパド家令ですわ。ここ6年はこの2人が後見をしていただきました。王宮部署が残っていた頃は案内役の地位をいただいておりまして。もしかしたらどこか出会ったことがあったかもしれませんわね?」


 パド家令?確か下級貴族出身ではなかったか?

 ならば違うのかとジマーマンが思いつつも王宮部署の案内役という地位が引っかかる。

 将来の伯爵と言えどもいきなりそのような場所で働かせて問題が起きたらどうなるものか。

 つまりその地位について問題がなかったということでやはり高位貴族で間違いはなかったとなるがそれではなぜパド家令なのか?


 ジマーマンの知っているパド家令はギャンブルに弱く、仕事はきっちりするもののふとした拍子にオーランデルクをゴミのような目で見るほど嫌っている人物であったと同時に先代国王ハーバー時代から失脚せずにその地位を守っている謎の多い人物でもあった。

 よほどの権力者なのか、それとも政局を裏から操る魔人なのか。


「どうでしょう?大使館の人間はもしかしたらですね」

「ああ、あの人達ですか。あまりいい人ではありませんでしたね。それでも一応お悔やみを申し上げますわ」


 大使館職員との面識はある。この程度で十分だったというわけではないだろう。

 取り繕う気もなく、口だけのお悔やみですとはっきりと言っておきながら平然としている。バルカレス騎士団長も聞いているのかいないのか流している。


「ええ、その説は失礼をいたしました。帝国や他の国と比べたらオーランデルの使節は少し問題があるものがいまして……この場を持って謝罪いたします」

「少し……?いえ、外務大臣に頭を下げられては私程度では受け入れるしかありませんね」

「いえ、そのような……」


 棘のある言い方からしておそらく大層酷かったようだ。

 オーランデルクの血族主義を丸出しにしただけではこうはあるまい。


「帝国あたりと比べたら大層劣るでしょう」

「帝国?ガリアシの方々を案内したことはあまりありませんが、特に印象に残っておりませんからなんとも言えませんね。不快なことはありませんでしたが印象に残るようなこともなかったですね。なんでも皇女に用があったとかでしたしね」

「皇女殿下に?失礼ながらそれはいつ頃ですか?」

「王宮部署で働き始めた年でしたね、6年前ですね」


 帝国使節の案内をするくらいだ、これは高位貴族の令嬢なのは間違いない!

 元の家がどこかわからないが付け入る隙があるかもしれないし、あるいはこの感じでは新しい味方になるかもしれない。

 ここは勝負時だ!今はバルカレス騎士団長が邪魔だがそれこそバンサ伯爵邸で懇談会でも借りた礼のためにパーティーを開いてもいい。

 そこで交渉することも可能なはずだ。

 高位貴族で年齢があるものを探すだけなら多少金を詰んで協力者の貴族に典礼省にでも聞きに行かせてもいいし、もしかしたら知ってるかもしれないし、それならそれでいいのだ。


 バンサ伯爵を協力者にすることが出来たら見返りは大きい。

 金でも土地でも積めるものを全て詰んで引き入れてオーランデルクの印象工作をせねばならない。

 戦争の報告が八百長の敗戦でも戦勝でも我々に残された時間はない。

 八百長抜きならなおもだ、せめて相打ちかどちらかの辛勝であればいいが。

 実際にロバツが圧勝してしまうとオーランデルクは滅亡秒読みなのだ、サミュエル王国の態度からしてロバツに臣従せざるを得ないとしてもオーランデルクに何かはする。オーランデルクの下に置けばサミュエル王国は暴発する。

 ライヒベルク公爵家こそが王家だと担ぎ上げられたらロバツも困る以上は……。

 ロバツの威をかったとところでオーランデルクが傲慢すぎたのだ。

 ガス抜きのために滅ぼされるのはいつかはわからぬが対処するに越したことはない。


 どうにもならなくなったらせめて血族主義者を粛清して諸国に健全化をアピールせねばならない以上は時間を稼がねばならん、それを反乱として処理してサミュエル王国と再び手を結ばねば、ロバツを刺激しない程度に手を結ばねばいかんのだ。

カスリット「ロバツが勝てば万々歳だ、多少の問題があるだけなのだ!」

ジマーマン・ミュンツベル「そうだな(多少じゃねぇよ)」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ