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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
オーランデルク

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480/561

オーランデルク外交使節宿泊所臨時大使館バンサ伯爵邸護衛責任者カリウス・バルカレス騎士団長

 使者を出す決定から適当に手の空いた人間任せてから数分。

 お茶すらまだいれられていないときに騒動はおきた。


「外出できない?」

「はい、屋敷をでないでほしいとのことです。屋敷はともかく外出の際に警備に兵を貼り付けることはできぬとのことです」

「なんだと!無礼千万ではないか!」

「何を慌てる必要があるんだ、落ち着き給え大使」


 プラグドル・ジマーマンは報告のときに見せた若干の焦りを勝機と感じ取り落ち着きを取りもどした。


「しかし外務大臣!これは外交使節にする対応ではありませんぞ!」

「そうではあるがいいではないですか、屋敷の外に警護の兵を貼り付けられないということは王国兵が少ないということです。そして護衛がいるということは王都の民は戦況を把握している、おそらく芳しくないか、どこかで負けた情報が入っているということです。つまり我々を守りきれない可能性があるというほどサミュエル王国の状況は良くない。いいではないですか、非礼であろうと正当な判断であろうと……時間は味方ですよ。せいぜい仲介して差し上げればいいのです」

「なるほど、そうですな……」


 カスリットは激昂を収めて外務大臣の判断に敬服を示していた。ファースもわずか数秒でその判断ができた外務大臣に驚いているようであったが、カスリットを黙らせたことの方に驚いていたのかも知れない。


「襲われたほうが外交的に利益になるかも知れないがロバツの軍が王都に迫るときに王都の民の暴走で殺されたくはないでしょう?一人殺した後に敗戦がきまれば全員が戦後の混乱で死んでしまっても戦中の問題になりますよ。そもそも大使館職員のことで何かあったのならロバツも我々に興味を持たないでしょうね。それくらいは自分でやれと言うでしょう。つまり身を守る位はしておけ、相手を暴発させるなということですな。問題は支社を出せないのなら手紙はどうだという問題ですな。私が出ます、3人で雁首揃えて威圧する必要もないでしょう」

「外務大臣自ら警護の兵に?それは格というものが……」

「真面目に働くひとを表彰するときは表彰側が上なんだよ、カスリットくん」


 名前で呼ぶことで親しみを込めたジマーマンはカスリットを再び黙らせた。

 ここが勝負どころだと腹を括りカスリットの、2人の手綱を握り始めたようにも思えるが実際の彼の内心はわからない。


「それにだね、勝てる戦いで命を落とすのはもったいないよ?カスリットくん、ファースくん」


 ニッコリと微笑みジマーマンは警護責任者にあいたいと伝えてお茶を増やすように命じさせた。

 責任者が2人、最悪3人いる可能性も考えてそれを命じていた。




 それから十分ほど、責任者としてやってきたのは騎士団長カリウス・バルカレス男爵であった。

 流石にジマーマンもこの状況に関しては即座に半dなんすることができず互いに名前を名乗り握手するにとどめた。


「しかし、まさかサミュエル王国騎士団長が警護をしてくれているとは思いませんでしたな。ここにいていいのですか?」


 初手で戦場にいなくていいのかという牽制であったがカリウズは特に反応を示さなかった。


「オーランデルクの方々の護衛が第一ですな、上からそう命ぜられましたので」

「ほう、上から」


 ジマーマンはロバツと何らかの密約があることを疑い、もしや蚊帳の外に置かれているのかと訝しんでいた。

 東部貴族を処理する?見返りは?なぜ騎士団長がいるのか?近衛騎士団はどこにいるのか、答えているのか、それにあたる情報をどう聞き出すべきか?

 言葉は、言葉は喉まで出かかっているが政治ではないかも知れない判断にジマーマンは判断を保留せざるをえなかった。


「それはそれは……どこもかしこも大変ですな。そういえば東方はどうなりましたか、我々が来るときはそれはもう大変そうでしたが」


 ジマーマンがしたのはいっそ開示して有利に出ようという決断、バルカレス男爵夫人であるギャル伯爵が政治を担当してる以上はある程度聞いているはずである。

 騎士団長が出てきた以上はこちらが把握して王都を引っ掻き回さぬように牽制した、代理をも立てず嘘をつかないとはそう取るしかないとの判断であった。

 仮に外れたとしても時間は味方である。

 もっとも臨時政務官と宰相と嫁から言い含められているバルカレス男爵はヘマはしない。


「東方?ああいつものやつですね。お気になさらず優雅に王都観光を……できませんね、必要なことがあったら言ってください。近々パーティーを開催予定ですので」

「ほうほう、パーティーですか」


 ジマーマンの頭には自分達の歓待パーティー、敗戦から何かを条約結ばされて開催せざるを得ないパーティー、もしくはロバツの密約が表に出したものの候補が浮かんでいるが決定的なものはない。

 カスリットであれば自国歓待パーティーだと言うだろうと思うが……。


「それはいつほど?」

「一週間ほどと上からは、警護は近衛なのであまり入ってきておりませんが」

「ちなみに内容は?」

「さて、極めて政治的なものだと判断しております。ちなみにロンドニはどうでしたか?」

「非常に暗かったですね」


 下の報告をそのままの意味で理解したジマーマンはジャブのつもりで致命的な失策を打った。

宰相「やらかしたら最悪殺してもいい」

キャス「ということです」

ギャル伯爵「むしろ因縁付けて殺しなさい」

カリウス「……はい」

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