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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
オーランデルク

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すり合わせ

「大使館職員の急死事件を突かねばならんが、どこかの誰がすでに暴れた可能性がある」

「なるほど、だからこそのこの冷遇ですか。入都も阻止され時間を稼がれ案内役も名乗らず犯罪者を引き回すかのようでしたがね」


 カスリットは冷静になったようで納得していた。


「どこかの誰かとは?」

「王妃様から引き上げられたものだろう、我々に有利に……いや自身の立場を守るためにオーランデルクの大使館を王家が殺したとでも騒いだのだろう、いや……王家派閥か?」

「そこまでする勇気があるのですか?今のサミュエル王国に」

「公爵家に踊らされたのやも知れぬし、レズリーが独断でやったのであれば……流石に独断でそこまでせんか。それをするにはあまり情勢が……今や唯一の王家の柱であるからな。そこから失脚したリッパー男爵に何ができるものか」

「ああ、御三家ですか。リッパー男爵は失脚してからパッとしてませんしね」

「元は主要なことは公爵家が担っていたが自分でいくつも滅ぼしたからな、唯一残ったライヒベルク公爵家は王家を支える気などない。問題はバンサ伯爵家だ」

「確か継承されたと言っておりましたが……」

「そうだ、先代バンサ伯爵、あの道化師の御仁だが……急死されてこの爵位は空位になっていた。筆頭候補がいたのだがなぜか継がなかった、噂では遺言とか……」

「それが継いだということですか、政変ですか?」

「それはない、だとしたら入都もできないだろう。早めに来たことを理由に今頃近くの街で待機し続けていただろう」

「なんと無礼な!我らオーランデルク相手にそのような!父を追い出す息子がどこにいる」


 覚えのない父が養えと言ってきたら失せろというのも人として当然だろう。

 最もそれもわからぬ地方老人では向こうも困るだろう。

 だから我々の外交交渉相手は完全に敵対して交渉どころではない国ばかりなのだ。

 国が軽んじられるのは嫌なのか、彼のほどの冷静さを考えると自分たちの派閥の失態で軽蔑されるのは仕方ないが、無関係であれば許せんということか?あぁ暴走で死んだのであれば外交室の我々も久視するかも知れないからな。落ち度が大使館側にあったら諦めるのだろう。それでも表に出すなと上から目線では言うだろうが。

 考えるだけ無駄かもしれないが領地貴族にたまにいる連中と考えればそうでもないな。


「落ち着け、そもそも政変でそこまでするのであればサミュエル国王も認めているだろうし、完全に敵対するつもりだろう。早めに入都できた時点でそれはない。もしも本気であればロンドニからこちらの正式な移動期間まで数日は外で待たせるだろう、流石にこちらが非礼だからな」

「我々はオーランデルクですよ?」

「どの国が相手でも守らねばならぬルールというものがあるのだ。早めに来て喜ぶのは朗報だけだ。大使館職員の急死がサミュエル王国としての殺害であればともかく、落ち度がないのであれば外交使節を派遣してきた挙げ句、いきなり速度を上げて王都を訪問したことになる。帝国がしたら仕方ないと思うか?」

「流石に抗議しますな」

「そういうことだ」


 これが大使かと思うと気が重い。失脚前提の人事だろうか?

 だとしてもサミュエル王国の……だから外務大臣で対応するのか?度を超えた失態はどうにも……。

 ああ、そうかロバツの戦勝に合わせてか。

 むしろ煽って失言させてロバツの勝利の一方で混乱させるわけだろう。


「早めに会えるでしょうか?流石にロバツとの会戦は今日中には連絡が来ると思われますが……」

「あの負けっぷりで正面攻撃をまたするほど愚かであると思うかね?防衛一択だ。あとはロバツがこもった亀の如きサミュエル王国を蹴散らすまで数日交渉を引き延ばせばいい。あるいはもう敗戦しているかも知れないが、その場合はロバツ国王を待つとしようではないか。いや、エセル第1王女殿下かな?」


 サミュエル王国が勝てるとは思えない、今のアレクサンダー女伯爵は優秀だがそれでどうにかなるとまでは思っていない。

 王家がかかわらなければ少しは戦えるがきっと負ける。


「ただこの冷遇は大使館の連中がしでかした可能性の方も捨てがたい。歓待施設すらいない。受け入れの交渉に行った人間も足止めされていたくらいだからおそらくサミュエル国王は外交使節に会いたくないのだろう」

「それでも国王か」


 私だってカスリットみたいな外交使節を相手にしろと言われたら仮病を使うだろうしな。


「これが自分に非があるならわかるが、サミュエル国王なら罵声を浴びせるくらいはするな。心底オーランデルクを嫌いぬいている」

「母親のことを知らぬのか!」

「アストレア様はサミュエル国王が1歳のときに亡くなっておりますからな」

「よく知っておるな、ミュンツベル男爵」

「なんと……それは悪いことを言った」


 情緒不安定か?

 いや、これは最低限の情報もないな。人のことはいえないが……。

 サミュエル王国であれば知らずともオーランデルクの意を汲めと思ってる。これをどう制御したのだ帝国は帝国にだけは従順だった?

 そもそも交渉するにはやはり不適格だが、サミュエル王国に落ち度がある場合は彼を出して、大使館に落ち度があった場合は外務大臣が対応するということでいいのだろうか?しかし個別に対応できるとも思えないが。


「今後の対応策はある程度ある。バンサ伯爵が来たら私が対応しよう。おそらくバンサ伯爵はジャック・リッパ-男爵だろうからな」


 ほう、なるほど。そこで出てくるということは筆頭候補だったわけか。

宰相「なんでコイツら用件も言わず勝手に押しかけてきやがったんだ?」

キャス「さぁ?」

ユーリ・レズリー「平常ですね」

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