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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
オーランデルク

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頭を抱えたくなる平常運転にて

「どこかで見た顔だとは思っていたが思い出せなくてな。36年前か、葬儀に出たぞ」

「女性の年を推察させるようなことを言うのはいただけませんよ?私は赤ん坊でしたが36より上だとわかってしまったではないですか。それに私は父には似ていませんよ」

「いや、君のお母上だ」

「なら喜んでおきましょう」


 女性はニッコリと笑っているがそこはかとない怒りがじんわりとにじみ出ている。


「臨時政務官殿、年齢を気にするようになったらわかりますよ。まだあなたは大変…………お若いので」

「……理解いたしましょう」


 どう触れていいかはわからないのでエリーのように無難に相手をすることにした。

 私はこの人のことは知らないので迂闊に失言をするわけには行かない。


「それより問題はなくなった父よりも外務大臣がいることではないですか?」

「──そうだな。問題が大きすぎてそのようなことすら失念していた。連中はどうしたいのだ?外務大臣を送ってくるほどオーランデルクが下手に出るならやはりロバツの敗戦を知ったと思うのだが……それはありえないのだろう?」

「ありえません、政変も入っておりません。すくなくとも彼らがレズリー家の諜報より足が早く、それを上回り、漏れださぬ事ができるのであれば」


 つまり不可能ということですか。


「連中に頭のおかしな公爵令嬢みたいな危ないのが生えてきたとかは?」

「宰相閣下!」

「ああ、すまないな、少し現実逃避をしたくもなろう」

「せめて頭のおかしな王太女殿下です。エリーの地位を考えてください」

「…………そうか」


 宰相の地位で公爵令嬢と呼ぶのはやめていただきたいものです。

 率先して王太女と呼ばなければまだ対立が続いていると思われるのですから。


「だとしたら全滅してるでしょうし、泳がせているのならもう少し警告などがあるでしょう。サミュエル王国にもライヒベルク公爵家にも勝てると思ってる相手ならそもそも大した相手ではないのですから」

「嫌な信頼だ、しかし真実だな」


 当家が領地貴族だったらライヒベルク公爵家に早々に屈していたでしょうね……。

 悪辣な手法は得意ですから……。


「しかしオーランデルクの外務大臣が来る理由か。単純な話であれば彼だけ呼べばいよいのになぜこのようなメンバーをおくったのか?我々を政争の素材にするのか?」

「ドア・イン・ザ・フェイスではないですか?」

「おお、臨時政務官殿……。それは外交の常套手段だ、あなたは正しい。相手に断られる可能性が高い大きな要求を提示し、その次に本来の目的である小さな要求をすることで、承諾させる確率を増やす、うん確かだ。オーランデルクが我々を下に見ていなければ」

「は?」

「ブランケット侯爵がいまだ外務大臣の座にあるのは誰もオーランデルクの相手をしたくないからと言ったらジョークか本気か皆困るだろうな」

「……ちなみにその発言は?」


 そう父に聞くとリストの発言集を指さしてこういった。


「これは平常運転だ。いつもと同じ、いつもの発言。朝にパンを食べるようなもののだ」


 この感じだと本気かも知れない。

 もしかして国内から飛ばしたのは宰相の父ではなく……自発的に海外に行ってオーランデルクの相手を押し付ける嫌がらせをしたのかも知れない。

 この発言は属国相手にでも公式ではしないだろう。


「では……」

「連中は王国を僭称してからそのような手段は使わんさ。なにせ父の、敬うでき国家だからな。敬われる覚えが血筋だけとは馬鹿らしい」


 それは貴族にも刺さります……。

 ああ、エリーが良くいう意味そのものですね、なるほど……これと同じなのか……。


「そう落ち込むな、これがロバツの外交使節であればそれこそ勝ったと喜べるのだが、正直すでに勝った今となってはな」

「少なくともエセル・ロバツ国王捕縛のことは知らないでしょう」

「なるほど、なるほど……これは利用のし甲斐がありそうですな。臨時政務官殿」

「いっそ引き伸ばしますか?」

「何……?ああ、そうかいいのではないかな?戦勝パーティーに虜囚の王が出席してくれればさぞ喜んでくれるだろう」


 泣いて喜んでくれるかも知れませんね。その後は知りませんが。


「発言的に新大使のカスリット・ベーネミュンデが現状路線、外務大臣のプラグドル・ジマーマンは手綱を握る感じでしょうかね?」

「一応止めようとしているな、異居丈高にロバツの国土を旧領を返せとでも言うのではないかな?」

「なぜ?同盟国ではないでしょう?その上クーゲンホルフ侵略に一枚噛んでいたのならむしろ敵国ですが」

「それはなに、やつらは父の国だからな」

「彼らの国では息子が父を殺すことはないのですね、貴族としては家族愛をわきまえていた頼もしい限りです」

「バレなければ犯罪ではないし、公認されれば暗殺も誅殺だ」

「多いのですか?」

「少ないと思うか?血族主義国家で?特に嫁いできた場合は大変だろうな。まぁ実家に帰るほうが恥だから流石にバランスは取るだろう。取れないものはそうだな、どこでも同じだろう」


 血筋は別に信用たり得ないというエリーが異質ではありましたけどそう聞くとたしかにそうですね。

 もしかしてあれは未来のサミュエル王国だったのかも知れませんね。

エリー「流石にならないですわよ!?」

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