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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
オーランデルク

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密談

 シュライヒャーはロンドニ当たりの人口の多さではおそらく情報が漏れるだろうと思っていた。

 そこでロバツの敗戦、おそらくエリーゼが勝つであろうと確信をして新王太女などの情報をぶつけて困惑させてしまおうと思ったのだ。

 シュライヒャーも目論見が外れたのは平民層が彼が思うよりオーランデルクのことを嫌っていたことだろうか?

 彼の目論見ではロバツの敗戦のことを突きつけて何に敷きたのか、ロバツの救済か!と罵らせるくらいはあると思っていた。

 だが、彼は大都市における新聞の力を知らなかった。

 オーランデルクに対する態度、あるいはライヒベルク公爵家の劇団演劇公演にオーランデルクの批判記事。

 様々な情報を得た大都市の民衆は的確にオーランデルクを追い詰めようという方向に舵を切った。

 そもそも彼らはロバツに勝ったことを知っていたのだから。


 そもそも平民がここまで嫌っているオーランデルクに近寄って何故ロバツとサミュエル王国が戦争をしたなどという情報を流したのか。

 間違いなくロバツが勝つと思わせるためである。

 どこぞの公爵令嬢が書いた劇の脚本に影響された連中の暴走ではあるが、それは正しくオーランデルクを惑わせた。

 そもそもロバツはオーランデルクに今回の侵攻を伝えていない。なぜなら口が軽いからである。

 ロバツがサミュエル王国を下す時が来た、私は友好国として兵を挙げよう!等と言って火事場泥棒をされるのも、寝返る家を攻撃されるのも、逆侵攻で兵を割かざるを得なくなるのもゴメンだったからだ。

 ミュヘル2世を止められなかったミュヘル3世の評価もまた低いのである。


 結局少し早めの移動をしていたオーランデルク使節団はロバツの勝利を確信し、サミュエル王国に非礼を働かせ、大使館職員への『暗殺』を含めて優位に立ち回ろうとしたのである。

 仮にサミュエル王国、もといエリーゼが負けたとしても私が口添えをしてやろうと言ったところでロバツから却下されるので役には経たないのだが。


 副大使のファースが何も言わなかったのは公使ではなく副大使という公使と同じでいいのか、宰相ではなく国王に任じられた以上は大使のほうが上なのでどうするべきなのかわからなかったこと、そしてやはりこちらもロバツが勝利したと思っていることである。

 彼の共通認識としてはライヒベルク公爵家ならともかくサミュエル王国ではロバツに勝てないというものであった。


 もし滞在時間を伸ばすか、あるいは急がずにゆったりと来ていたらエリーゼ王太女軍と鉢合わせして話を聞いた後は全ての方針を捨てて帰国したうえで首脳会議を開催しただろう。

 シュライヒャーを持ってしてもエリーゼの行動は操れないのだから。


 現状の彼らは王太女がいることも知らず、勝手な推測ではあるがサミュエル王国が敗北したということしか知らないのである。


「なんとかサミュエル王国の敗戦情報が入る前に謁見して非礼を引き出さねばならない」

「おそらく宰相だろう、そううまくいくかな?」

「ジマーマン外務大臣、随分弱気ですな。我々は勝ったのですぞ?むしろ強気で行かねばならない。次期王太子にも強く出ねばなりませんな」


 これで王位継承権をよこせ、領土をよこせと言わないだけまだ良識はあるというべきか、最後の一線を越えるほど愚かではなかったというべきなのかはわからない。


「なれるのだろうか?いっそライヒベルク公爵がなる方がいいと賛同するのではないか?」

「宰相が許しますまい」


 やれやれといったようにプラグドルに肩を竦めるが彼も負けてはいなかった。


「そう入っても教育係を辞めているのだから厳しいだろう。ここまでに手に負えないのであれば条件付きで認める可能性もあろう。そもそもオーランデルクとの血縁を切りたがっているから賛同者が増えるやもな」

「サミュエル王国の貴族はバカばかりですな、我々と縁を切ってどうするというのでしょう?」

「公爵にも言ったらどうだ?」

「あれは事実上の独立国でしょう。皇女殿下を娶っていて、息女にも皇位継承権がある。我々より上か良くて同格でしょう」


 そのような判断ができるのはおそらく彼が帝国で骨抜きになるほど接待されたからだろう。パーデッツ王国あたりに公使として派遣されたのであれば所詮は公爵!と言い放ってもおかしくなかった。

 帝国には逆らわない、逆らわないくらいの判断はできるところがまた厄介なのである。


「そもそも公爵家を敵に回したらロバツ王国から何を……」


 ようやく発言したファースの言葉にプラグドルもカスリットもうなづいた。


「オーランデルクを攻めるためにロバツを攻撃するくらいは平気でするでしょうな」

「血の気が多いですからな、先代も当代も次代も」

「やはり蛮族相手ですからな、強くなるのでしょう」


 蛮族を見下すことも危険なので迂闊な発言を言えない3人はサミュエル王国対策に数時間の会話を交わしていた。


「まだ掛かるか」

「そもそもロンドニから強行だからな、話が通っていなかったのやもしれん」

「それはそうですが、戦争になったのなら使節団を保護するのは当然でしょう?」

「ロバツの間諜と思われて周りの目線が厳しかったのだな。当然か」

「到着が早くなったら向こうが合わせるのが当然だ、こちらはオーランデルク王国なのだからな」


 よりによって良くて同格と言った公爵家がロバツとの戦争に勝ったことは彼らはまだしらない。

先代公爵ガルニ「俺は親父よりは血の気が多くない」

当代公爵ゲハルト「私は父や娘より血の気は多くない」

公爵令嬢エリーゼ「ワタクシは一家で一番おしとやかです」

キサルピナ「嘘はついてませんね……」

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