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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
王都掃除記録

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バンサ伯爵訪問にて

「リッパー男爵?どうかいたしましたか?」

「いえ、思ったより悪かったので……」


 息子の区別がつかないどころか別人の名前を呼んでいたくらいですし、そうなるでしょうね。ジキル……。えーと確か……。


 ここ数日間にみた大量の名前の中から思い出そうとちらりとレズリー家の人間を見ると先程まで無表情だったのに怪訝そうな……なにかに気がついたような表情に変わった。

 おかしいですね、狂っているくらいで狼狽するような人たちではないと思うのですが。


「行きましょうか。あれでは何を言っていても信用できるかは怪しいですね、死んだ人間を探したり過去にいるようでした」

「ジキルとは……?過去となるとえーと……」

「いけませんよ、臨時政務官殿。ジキルは男爵の亡き御子息と同じ名前なのです」

「ああ、そうでしたか。どこかで聞いたようなと思ったのですが、そうでしたね。確かにバンサ伯爵邸で絵画を見ましたね」


 そうだ、リッパー男爵の御子息ですね。

 確か病死、いや暗殺の可能性もあったとか。我々の考察では第2王子の父かも知れないという話で……。そもそもどっちの王子の父かも知れないなんて話もありますがね。


「妻もその直後に亡くなったのであまり思い出したくないのですよ。あの時期のことは……」

「そうでしたか、お気の毒に……」

「私は少し外させていただきます。第2王子殿下と会ってもこれでは失言も本当かわかりませんね。荒療治だと思ったのですが……このやり方ではダメでした、申し訳ありません臨時政務官殿」


 早口気味にそう言ってリッパー男爵は立ち去っていった。


「臨時政務官殿、よろしいですか?」

「ええ、どうぞ」

「臨時政務官執務室へ向かいましょうか」


 そう言って先導するレズリー家の人間はどこか足取りが重そうで……。

 まるで地獄へ向かっているみたいですね。


 レズリー家のものの先導で部屋の前まで来ると、彼女は扉の横に立ち何かを目で促していた。扉を開けるのは流石にと言ったところでしょうか?いや、いかにもお付きのように開ければ問題はないと思いますが……。

 まぁいいでしょう。

 扉を開けるとそこにはバンサ伯爵が座って待っていた。おや?


「部屋で待つように言われたのですが……」

「ああ、なるほど、お気になさらず。何か犯罪行為をしていたら今頃取り押さえられてるでしょうから。しないからこそ通されたのですよ、バンサ伯爵」


 レズリー家かエリーの手のものに何かはされるでしょうね。

 ここでピンピンしてるということはそういうことです。最も勘が鋭い方らしいですので余計なことはしてなさそうですが。

 私は正面に座ってバンサ伯爵と相対する。


「それで……何か御用ですか?」


 おそらくレズリー家の彼女は自分が開けて入ると変な疑惑を生むので避けたのでしょう。あくまで客人が後ろにいる部屋の主より先に扉を開けて入るのはそれはそれで問題ですからね。

 部屋の中にいれるのは人目につかないようにするためですのでまぁ必要な措置でしょうね。


「数少ないバンサ伯爵家、ライエン侯爵家のつながりのある貴族の中から信用ができないものをリスト化したものです。前が証拠があるもの。クリップの色が変わる後半がなんとなく信用できないものです」

「ありがとうございます。バンサ伯爵の仕事はたいへん早いですね。前者に至っては罪状次第で処理しましょう。なくても貴族としての信用をなくすことはやりようがあるので。後者ですが……」


 後者は使えるか微妙なのだが、勘の鋭さに定評のある人物の勘を軽視すると絶対に痛い目を見るのは過去のエリーやアーデルハイドの経験からも明らかですからむしろこっちのほうが厄介でしょうね。

 さて、こちらはうまいところ監視をつけるか、それとも罪人共のつながりとやり取りを探すか……。


「後者に関しては国王陛下が精神を病んでいる話を流せば少しは動きがあるかと」

「というと?」


 後半の書類を上に置きペラリとめくる。

 元王党派、元か、日和見主義者か。フリードリヒ派でもなく事故死以前から離れた。

 こっちは元公爵派、公爵夫人が国外に出た際に離れた。むしろ帝国派でしょうか?

 あとは……。


「信頼が欠片も置けないでしょう?おそらく国王陛下の精神錯乱……おっと心を病んでる話を聞いたらなにかに利用できるのではないかと面会を求めてくるでしょう。そこで国王陛下に処理してもらうといたしましょうか」

「処理とは?」

「乱心してる人間の命令は正しくても聞けないものですよ、なんとなくですけどその後半のリストの方たちは平気で地雷を踏みぬくタイプですから……」

「ふーむ、例えば?」

「流石にそこまでは、何が逆鱗に触れるかもわかりませんので。でも彼らの大半はそれで消えるかと思いますよ」

「それは勘ですか?」

「ええ、ただの勘です。根拠は一切ありませんね」

「……当たる勘はときに託宣や神託、道端の占いより信頼できるものです。いいでしょう、謁見許可を求めたら通させておきましょう」

「謁見許可を動かせるのですか?」

「もちろん、パド家令も屈しましたからね。今日も第2王子殿下と国王陛下を謁見させましたよ」

「へぇ……さぞかし陰謀を語り合ってくれたでしょうね」

「いいえ、それほど良いものではありませんでしたよ……」

パド家令「ただでさえない仕事が消えた」

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