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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
王都掃除記録

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457/560

宰相執務室にて

 護衛を連れて登城をする。

 今や誰も私を止めることも確認することもない。

 近衛騎士団はむしろ案内をするくらいだ、まるで自分が偉くなったと錯覚してしまうが私はまだ何もなしてはいないというのに。


「案内ありがとうございます」

「いえ、私も近衛騎士団。城の護衛でございますので……」

「それでもですよ、あなた達もそこで待っていてください」

「「はっ!」」


 護衛と近衛騎士を待機させてノックをする。臨時政務担当者であると名乗り入るように言われると、お茶を飲みながらくつろいでいる父がいた。

 見るところ休憩中といったところでしょうか?


「休憩中で申し訳ない、臨時政務担当官殿。それで、いったいなにがあったのでしょうか?」


 役職として接する父は間違いなく宰相でしょうね。隙を見せれば終わるという雰囲気すらあるくらいです。


「まさか裁判で負けたとは言わないでしょうな?」

「まさか、結論ありきでしょう。たしかにこうして見届けずにこちらに参りましたが……」

「見届けずに?」


 刺すような視線は最低限の仕事もしていないのか?と責めるようであった。

 流石にそこまで信頼されてないとは思わないですが……。


「ええ、急報が入りまして」

「急報?こちらには……」

「エリーゼ・ライヒベルク王太女殿下、ベジャハンにてロバツ軍15万を撃破、双璧のクラーク、ブース両将軍を討ち取ることに成功いたしました」

「何っ!?失礼……15万にクラーク将軍とブース将軍を……?事実ですか?臨時政務担当官殿」

「レズリーよりの報告です。他に討ち取ったのはエルティア伯爵、エセル親衛隊ピジャ親衛隊長、ベンジャラ、不死身のバルドレー。残念ながらエセル、ハーンを逃しましたが1万ほどに減っているとのことです。現状わかっているのはこれだけです、戦勝すぐに送ったものですので」

「……なるほど、我々の増援などいらぬから快適の報告がなかったと見るべきですかな?」

「安全策を取ったので迂回したのではないかとのことです、どちらにせよ援軍要請はなかったとも思いますが」

「ああ、そうか……なるほどな、それでいいか」


 父はあっさりと把握したようで考え込むようにお茶をすすった。


「これでエリーゼ王太女殿下は盤石になったな、2倍差を打ち破ったのとなれば誰も何も言わん。これでロバツの全力の出撃に自分でも勝てるというのであればぜひともやってほしいものだ、あるいは挙兵してその片鱗でも見せてほしいものだな」


 父もなかなか無茶をいう。それだけ度し難い連中が増えているということでもあるのだろうが……。


「ではこのことは公表するとしよう、王都の臣民に向かってな」

「平民に向かって?新聞ですか?」

「違うぞ、ここは王太女殿下に習って王都広場でやるとしようではないか。わかるな」

「宰相閣下がなさるのですか?」

「私が今更王都の平民達に顔を売ってどうするので?臨時政務担当官がやるのですよ」

「……私ですか、ええ……わかりました」

「人前に出るのも練習だ。いかに反対者に囲まれてもNoといえる人物でなければこの席は務まらぬよ。政敵が自分の意見と一致したときに共同で事を当たるというのも必要だがな。臨時政務担当官殿はいざ周りが敵対者に囲まれたら戦わずやり過ごしてしまうだろう、だが旗幟を鮮明にした以上それは裏切りだ。そこでNoと言って王太女殿下のもとに帰れぬようでは友人であってもお前は失脚して女官の一人か、名誉職で過ごすことになるだろう」


 なかなか父だけあって痛いところをついてくる。

 多分そうするだろうな、私はそういうタイプですからね。

 あと宰相になったり父に戻ったり忙しいことですね。逆を言えばそれだけ不安だったということか。

 致し方ないですね。


「では早速王都広場に向かいましょう、降らぬ裁判が終わってることを祈って」

「終わっていたら聴衆が帰っているから望まぬほうがいいぞ」

「ああ、そうでしたね……。では言ってまいります」

「ええ、有意義な報告でしたよ臨時政務担当官殿」


 部屋を出て、護衛たちに指示を出す。

 正確にはお願いなのですが……。私はあくまでもエリーの好意と付与された役職のもと付けられた護衛を動かしているだけだ。

 好き勝ってに意見を聞かず突っ走るわけには行かない、護衛の主でもあるまいし。


「というわけで王都広場で喜ばしい報告をします、そのために裁判後の準備をお願いいたしたいのです」

「それは構いませんが……喜ばしい報告とは?」

「それは聞いてのお楽しみですね、ですが気をつけてください。まだ王都には敵の息のかかった人間がいるかも知れませんから」

「なるほど」


 そういった護衛の一人は小さな声で我が主は勝ちましたか?と聞いてきた。

 流石にわかってしまうか、ほかに朗報になりそうな出来事は第2王子を吊るすことくらいしかないですからね。


 私はゆっくりと護衛の目を見たあと軽くうなづいた。

 護衛はそれで満足したのか、それでは早速準備をしましょうといい近衛騎士に何いかを話していた。

 近衛騎士も少しだけ驚いた後で承諾し、立ち去っていった。

 私は護衛の案内の元で城を後にした。おそらく近衛の人手を借りるのだろうな、騎士団は忙しいでしょうしね。

エリー「クシュン!」

ベス「悪い噂……?」

エリー「なんで決めつけてますの?」

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