表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
ロバツ王国

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

452/561

エセル敗走記12

 わかるわけ無いだろ!ヒントなんて一つもないだろう!

 一体どこで何を匂わせたんだ!


「それが正解か?いや、それは正解なのか?」

「ええ、もちろん。ワタクシの騎士といえば?」

「キサルピナ騎士長……?」

「非生産的ですわ、血族を残さなければならないし夫といったでしょう!あなたもそういうタイプですの!」

「いや、ライヒベルク公爵家騎士長といえばキサルピナ卿を置いて他にはいないでしょう?……あなたも?」

「うーん、まぁそうですけど……」

「あなたもとは?」

「いいでしょう、別に気にしなくても。ワタクシの騎士と言ったではないですの」

「……やはりキサルピナ騎士長では?」

「うーん、まぁそうなのですけど。たしかに半分は当たってはいますけど。男でワタクシの騎士と言ったら?」

「リスクス卿?」

「え?リスクスには悪いけどワタクシの騎士で男代表リスクスですの?リスクス!?嘘でしょう?もっとほらいるでしょう!思い出して」


 と言われてもな……基本的にキサルピナ騎士長一強だからな。

 これで他がたいしたことないならまだ笑い話で済むがちゃんと優秀なメンツが揃っているから手に負えない。

 通常の騎士よりも強い連中がライヒベルク公爵家、あるいはエリーゼ・ライヒベルクの騎士であり、その上にきさルピナ騎士長という騎士を手玉に取る存在がいるのだ。

 男の騎士で有力なのは誰かいただろうか?


「……ああそうだ、もう亡くなっていますわ」


 ということは高齢だったのだろうか?

 誰かいたか?そういえば昔、公爵家がバーゼル山脈の一帯を……。


「ガリア?最初にして名誉ある忠臣ガリア?」

「そうですわ、忠義の騎士ガリア、ワタクシの最初の騎士にして蛮族の族長であった男。彼がイルディコの夫でしたの」

「そうか、忠臣夫婦も口を揃えれば信じる他ないと、そういうわけか」

「いいえ、その話を聞いていたものがもう一人おりますわ」

「一体誰……まて先ほど半分あたりだといったな?」

「ええ、もちろん」


 私はキサルピナ騎士長に目を向けた。


「申し遅れました母イルディコ、父ガリアを両親に持つキサルピナでございます」


 名高いキサルピナ騎士長がそう告発するのであれば信じる民衆もいるだろうな。

 なにせ騎士の中の騎士で未だに決闘では無敗だ。信じない人間のほうがめずらしいだろうな。


「おわかりですの?貴方がたが蛮族だったなんて誰でも知っていますの。ただ誰もが政治な問題を含めて公言するわけにも行かない、それはこの国々がロバツの独立の支援をしていたこともありますわ。でもどうでしょうね、キサルピナの出自を明かしたうえでどう告発したらどうなりますの?」

「正当性は薄くなるな。たとえ当時の公爵家の娘を嫁にしても……」

「ええ、蛮族は嫌われ者ですから、しかるにキサルピナが蛮族だと発表して落ちる株がありますか?忠臣で成績優秀で武力も強くいまだ決闘無敗。領地経営もできるすご腕ですわよ?」

「能力が高くて羨ましい限りだ」

「私が育てましたわ」


 嘘をつけ。


「これほどぐうの音も出ない実績を持っている騎士が蛮族だからという理由で貶められるほど相手は優秀ですの?これで非難するようならそちらのほうが蛮族でしょうね」

「それで、何がいいたいんだ?国家の出自を明かしてまで私にさせたいことは?」

「公開したら今までのうっぷんを晴らすために各国が攻めてくるでしょうね。ワタクシたちが兵を引いたらそれはもうひどいことになりますわ。生ぬるい講和条件を飲めば終わりですわね」

「で?過激な降伏か?重い税か?」


 この状況なら通達で済ませてもいいだろうに、なぜわざわざのような迂遠な方法を取るのだ?

 もしや、暇なのか?


「全くいりませんわ、まぁ適切な税は取るかも知れないですけどね」

「それは助かるな、ああ本当に助かるよ。だがもうしばらくは税の取りようもないからな」

「あら、残念。スカケルの手腕を見るために任せようと思ってましたけど」

「さすがに倒れるほうが先だ」

「まぁ……よほど激務ですのね」

「……まぁな」


 お前のせいでな。


「あなたが降伏したのはワタクシ、及びライヒベルク公爵家に相違ありませんわね?」

「……ああ、そうだ」

「つまりサミュエル王国に関してはなんの関係もないわけです。おわかりですの?」

「……なぁ……そうだな」

「つまりロバツが私の領土となったことでも別に構いはしないのですわ。王国はわからないし、気付けない。気づきそうな貴族はこっちがわ。ほーら簡単でしょう?」

「……それで?」


 エリーゼ・ライヒベルクは開いていた扇子を一度閉じて再び思い切り振るようにして広げた。


「選択を差しあげますわ、思想ごとわけてサミュエル王国に編入されて生き恥をさらし続けるか、それも降伏した私のもとで働き栄光を掴むか、さぁさどちらを選びますこと?」


 どちらも最悪の条件だ。

 特に後者はろくなことにはならなそうだが前者は国の疲弊が大きすぎる。


「スカケルは?」

「人事はあなたの仕事になるから口を挟むことはないですわ。でも……」

「でも?」

「敵対は死を意味することだけは覚えておくようにお願いしますわ。それだけは絶対、やられたら徹底的にやり返すでしょう」


 やりすぎるくらいにな。

キサルピナ「ほぼ立ってるだけだな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ