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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
ロバツ王国

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433/561

ワタクシ出陣ですわ!

 前線は止まっていますわね、結構じゃないですの。


「ふふん、真面目にやればこんなものですわ」

「不真面目に兵は死んだというのか?」

「真面目にやってもエセルは倒せないでしょうに。あいつ引き際はなかなかのものですわ。昨日の時点で、あなたがエセルの立場で全力でワタクシに突撃しますの」

「するな、全軍なりふり構わず突っ込む。側面を突かれようとなにをしようと数で押し切り殺しに行く」

「それで?ワタクシを殺せたとしてその後はどうしますの?エセルは命をベットしてスカケルに次の王位もに委ねるように手筈を整えていたでしょうけど?アンに出来ますの?」

「私がしている可能性だってあるだろう?」


 そんな根回しができるなら婚約者と円満でしょうよ、いくら相手の知性も知能もなくても。


「じゃあ……してたとして、ワタクシを討ち取ったあとどうするんですの?」

「ん?」

「ワタクシはあくまでサミュエル王国の肩書で一番大きいものがサミュエル王国王太女。それだけですわよ?次の王太子選定会議をしたとしてバカ王子を戻すくらいならお父様を担ぎ上げるでしょうよ。なにせ、すでに皆王家に弓を引いているのですから、あのバカを据えたらまっさきに粛清に入るでしょうよ。バランスもすべて無視して。今頃宰相はワタクシが負けたことも考えて立ち回ってるでしょう。未来を考えてもなかなか重いですわ。戦場で私達指揮官を全滅でもさせない限りは」

「だがエリーだけでも公爵家は大幅に弱体化するではないか、それに旗振り役がいなくなれば貴族共はまとまらないぞ?それならロバツ王国軍が大打撃を受けたとても……あの時点なら戦場に到着していないハーン将軍も後方だ、そのまま離脱すればよかろう」

「公爵家は弱体化などしませんわ、盤石そのもの。ワタクシが何も考えずに動いているとでも?」

「ノリで突っ走って、後で考えて走って壊したものを補修してる感じだな」

「壊していいから壊してるんですわ、花瓶割った子どもじゃないんですから」

「割ったら高いものに変えて黙らせるタイプだろうに」

「…………思い出の品はそんなところに置かないものですし、割らないようにはしますわ」

「語るに落ちたな」

「とにかく、現状ワタクシの後継はキサルピナですわ。何かあったら守り立ててくださいまし。継承権とか小賢しいことは置いておいてワタクシになにかあったらキサルピナ。これだけは周知しておいてくださいまし」

「正直初耳だがな」

「あら?そうでしたっけ?あなたが欠席してたお茶会でしたかしら?ワタクシのものは最も強きものが継承するでしょう!」

「崩壊する国にありがちな言い回しだな」

「ワタクシの手札でキサルピナ以上がいますの?あの娘はワタクシのかわいい娘ですわ」

「年上の娘か、倒錯してるな。いや公爵のほうが?いいのか夫人にバレたら逆さ吊りで王都を練り歩かせるのではないか?」

「お母様を何だと思ってますの?やるかやらないかではまぁ……答弁を差し控えさせていただきますけど」

「まぁ、いい承知した。殺しても死ぬとは思えないが」

「アーデルハイドも死ぬたまじゃありませんでしたわよ?」

「…………だから後継を考えたのか?」

「…………さぁ?どうでしょうね」

「騙るに……落ちたな……」

「…………」


 やめてくださる?気まずい雰囲気は嫌いでしてよ?


「まぁやはり全軍でエリーに行ったほうが良かったと思うがな、主導権があった昨日はなおさら」

「あなた達ワタクシが討たれたら引きますの?」

「ああ、そういうことか。引かないな。引いたところで未来はない」

「共倒れでは意味がないのですわ、だから各軍にも打撃を与える必要がある。これは軍事だけではなく政治もありますの。各軍に打撃を与えて疲弊させる戦術と、ワタクシを打ち取る戦略面。あなた達が戦えても末端の兵はわかりませんわ。うちの蛮族もワタクシが討たれたら恭順に転ぶ可能性だってありますもの」

「よくそんなもの連れてくるもんだ」

「負けること考えて攻撃するバカがいますか?」

「そこに……」


 勝てるから攻撃するんですわよ!騎士かぶれ軍人!

 王太女じゃなければ一時後退してますわよこんなん!


「そこがあなたが騎士じゃない理由でしょうね」

「どういうことだ?」

「そういうことですわ、軍の指揮は任せますわよ」

「何をするんだ?」

「蛮族の士気を上げるにはこの手に限りますわ」

「いや、士気は十分だが?」

「もう一捻り!」

「いや、無用だが?」

「万全でいきたいんですわ!」

「知ってるか?それは死亡フラグという」

「そのフラグを!へし折ってこその!勝者!」

「もういい、前線指揮をしてくるといい。後ろから射たれてしまえ!」

「あたりませんわよ!サれたら教育不足ではっ倒しますわ」


 さーて、まるで活躍しなかったからちょっとばかしぶん殴ってきましょうか。


「族長、鎧はどうしますか?」

「あんなへなちょこな攻撃でワタクシが傷つくとでも思いますの!鎧なんて不要!それに着たら邪魔ですわ!」

「乗馬服で行くのですか?」

「ドレスは昨日汚れましたし、それに鎧の着方は忘れましたわ。さ、とっとと行きますわよ!」

「おお、何と勇ましい」

「大族長は防具を軟弱と言い切るか……」

「いや、ワタクシにとって防具は邪魔なだけで。その姿を見せなければいけないなら着ますわよ?着てるほうが戦えるなら着ればいいだけですわ。ワタクシはそうでないだけ。この剣ひとつで十分」


 さーて……締めにかかりますわよ。

ローズ「敵は基本的な防御も出来ていない?これは……次が本番かな?」

エリー「最前線指揮ですわー!」

ローズ「えっ?」

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