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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
ロバツ王国

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430/560

よくわからないけどそうらしいですわ

「第6陣、アルベマー領軍へ向かっています」

「ふむ、我々手持ちは今はどれほどいる?」

「43000以上です」

「やはりおかしいな、減りが少ない。負傷兵を入れてもか?」

「負傷兵はいれておりません」

「…………それでアルベマーか、これは撤退の目くらましだ」


 キサルピナは少し考え込みそういい切った。


「残念だ、ハーン将軍が精鋭を率いてこちらにくればあるいは抜けたかも知れないというのにな。騎兵隊、敵逃走兵の追撃を開始、敵第7陣は打ち止めだ、精鋭の可能性はあるが構わない。処理せよ。これよりアレクサンダー軍の方へ兵を移動させよ。我が主が移動し始めたのが運の尽きだな……逆落しでは今更どうにもなるまいよ」


 ふと、キサルピナは何かを思い出したように尋ねた。


「いま昼ぐらいか?」

「ええ、そうですね」

「そうか、馬鹿なことだ。我々の勝ちだ。では……行くとしよう。勲功1位は得られんがな」


 つまらなそうな顔をしたキサルピナは簡易な椅子から立ち上がると軽く伸びをして歩き始めた。

 もう数人は決闘で戦いたかったなと思いながら。






 バルカレス領軍は少ない精鋭を構えながらその光景を眺めていた。


「あー下策だね。これはあれかな?思った以上に弱兵まみれだったとかそういうこと?」

「わかりかねます、マーガレット様」

「うーん、まぁいいや。キサルピナ騎士長が移動を開始した。詰みだね。残念、活躍の場はなかったか。昨日の戦功で我慢するしかないね」

「追撃をしますか?」

「それもキサルピナ騎士長がやってるからね。重装兵では無理だねー。一応構えておいて、最後の逆落しのほうが本命かもしれないかんね」

「はっ!」


 マーグは冷めた目でハーンの軍を見ていた。


「一頭の羊に率いられた獅子の群れを恐れない。一頭の獅子に率いられた羊の群れを恐れる。故事にあるけど獅子も限界はあるということかなぁ?」






「クラウディア様、敵軍は周辺におりません」

「なるほど、わかった。ではこれで終わりだな……」


 やれやれ、増援が来た時にはどうしたものかと思ったが……。


「敵軍は……か」

「なんか引っかるもの言いするやん」

「さぁ?気のせいじゃないっすか?」


 全部エリーの手のひらか?肝心なことは全然言わないんだから困ったものだ。

 この期に及んで大将が出るなんて……。


「王太女にも困ったものっすね」

「それがエリーやしな」





「ハーン軍、向かってきます!」

「あ……やはり……?」


 無駄な逆落しを見て想像はできたが、こちらに来たか。

 準備ははしておくものだな。


「歩兵部隊で抑えつつ突破させるように道を開けろ……。撤退の指示と同時に歩兵部隊を引かせ弓兵部隊で斉射を……。エセルはこちらに来ないから防備は捨てよ、来たところでアルベマー軍の撃破では勝利には釣り合わない……。間違いなくエリーのところへ行く……」


 歩兵部隊をハーンの逆落としに合わせて丁字方に配置し、蓋をするように弓兵を置いている。

 そして後方の歩兵部隊もあえて弓を持ち、弓兵のふりをしながらその時を待ち続ける。


「エリー次第……」






「ドゥエインくん、どうやらもう終わりのようだ」

「ジーナ姉?」

「空気が変わった。どうやら勝ち筋があったみたいだな。こちらではよくわからないが……」


 ふらりと陣を出て敵陣を眺めるジーナはああ、なるほどねと心で呟いた。


「いかがなされました?」

「キサルピナ軍が動いた、エリーも動いた、ハーン軍はキサルピナ軍にいかない、エセルは突撃体制。後は終わりだな。我々の仕事は2つ、まずはブースを潰す、次に丘を駆け下り包囲を手伝う。もしくはブースを放置しており多彩に反応を見るのもいいが、スペンサー軍だけでどうとでもなる数だ。どうする?」

「逃がした兵含めても合流されたらまずいと思います。このまま押し切りましょう」

「堅実でいい、では後のことはエリーに任せるか。攻勢に出る」






「我が軍勝利!ってどういうことですの?」

「知らん、まだ決定的ではないと思うが?」

「キサルピナ騎士長を抜けない時点でそうではないでしょうか?」


 まぁそうではありますけど、一発が怖いですわ。


「何を持って勝利が決まったのかわかりませんわ?」

「キサルピナ騎士長に聞けばいいだろう」

「恥ずかしいじゃないですの、なんで?って聞くの」

「聞くは一時の恥だぞ」

「大将がそれだとダサいからダメ。少なくともヘタをうたなければ勝てるということでしょうね。そこまで複雑ならああしろこうしろって言うでしょう」

「キサルピナ騎士長がエリーに言うのか?」

「言うときは言いますわ」

「聞く耳持つのか?」

「どういうことですの?」

「そういうことだ」

「聞くに決まってるでしょう、右腕が剣が折れると言っても折れずにできると思うほど甘くはないですわ。あ、エセルが下ってきましたわね」

「耐えられますか?」

「同数でエセルはまぁ……でもこちらも精鋭ですしね。敵は親衛隊の数も減っているしや利用はありますわ。ワタクシの親衛隊を出しますわよ」

「いたのか?」

「と思ったけどそもそもそれキサルピナでしたわね。ワタクシの騎士団を出しましょう。公爵家騎士団2000!出番ですわ!」

「騎士で2000か、相変わらず数字がおかしいな。当家ですら全部騎士ではないぞ」

「それが力というやつですわ」

ジーナ「(喋りすぎて戦うより疲れた)」

ドゥエイン「(的確な指示だなぁ)」

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