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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
ロバツ王国

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423/561

ブース軍とブランケット・スペンサー連合

「国王陛下から3000の増援を派遣するとのことです」

「うん、感謝を……」


 おそらくはエルティア伯爵……いや将軍の敗残兵だろうな。

 盾を構えて登ってくるブランケット軍を見据えて弓兵を後方に下げる。

 増援は間に合うだろうか?


「臨時徴兵を下げるなよ?」

「はっ!」


 本来であれば徴兵されることのないものをかき集めた臨時徴兵集団。

 戦うことがむずかいいものも見れば戦うより働かせたほうがいいものもいる、学者などをこんな戦場で使い潰すようではロバツの先はないな。

 いや、ここで陛下が死んでも先はない。

 全くどうなろうと我々は終わりに向かっているのだ。

 先日の突撃でミエゾッバ・ガールディン博士が戦死したという話もある。ロバツの兵器研究者で戦場での実際状況を見る理由もあっての従軍だがこうなっては仕方ない。

 投石機の改良を考えていたのだがな。

 悲しいかなその投石器は機動で無用のため持ってきていない。

 ハーン将軍の手元にあったのかもしれないが、この状況で前進命令がでた際に放棄したのだろう。

 その分、機動が上がって早めに到着したというわけだ。


 もっともその大軍は張り子のまま。

 殆どが臨時徴兵である時点で攻撃力は望めん。

 それにしてもこちらの弓は嫌がらせ程度にしかなっていないな。

 敵の本陣らしきところにスペンサー家の家紋が見える。

 まぁある程度の指揮はできるだろう。森林戦の名手とはいえ率いる軍勢が少ないのが玉に瑕。かと思えばブランケット侯爵軍の指揮か参謀役に収まった。

 だが指揮するのはスペンサー式の訓練を積んでいない兵であればまだしのげるさ。


「とにかく柵から槍を出し続けろ、突き続けろ!陣地は鎧である!兵の身を守るにこれほどふさわしいものがあろうか!」


 それらしいことを言って士気を上げようとするも、一般徴兵ですら苦心するのに臨時徴兵となるとそのへんも難しい。

 賢いやつは欺瞞であると見抜いているからな。


「ここで我々が耐え忍べば好機は必ずやってくるぞ!」


 撤退の好機だがな。

 臨時徴兵が多い中でそんなことも言えん、軍が崩壊してしまう。

 ちらりと陛下の陣を見ればマッセマーが弓射攻撃をしているのが見えた。


 牽制か、それとも臨時徴兵が隙を見せて狙われたか。

 わからぬが……陛下の軍は崩れてはいない。それならそれで良い。

 せいぜいアルベマーに矢を消費させれば良い、拾って使えばこちらも持久戦ができる。している時点で負けなのだがな。


「臨時徴兵の指揮官が狙われています」

「狙われている?そうか、積極的に狙いに……いや元からか?」


 しかし戦死はありうる範囲だったしな、偶然か必然か?

 仮に暗殺だとしても戦場の行いに問題があるわけでもないが……今更になって狙われるとまで言うのだ、何かあるか?


「何が原因でそういう結論になった?」

「大声で命じたものが積極的に射殺されています」

「まぁよくあることであろうに」

「特に旗を多く降るものほど積極的に」

「それだ、なぜ旗を?」

「指揮官の見分けがつきあませんので……大声を勝手に上げて命令する兵もいるため……」

「頭の良いバカか本当に戦の才能があるのかもわからんな。かまわん、もとよりそういうものだ、敵に少しでも矢を使わせると割り切れ」


 その死んだバカが意外と村の自警団団長とかで後々統治に響くかもしれんがな。

 こちらはそれどころではない!


「守りを固めろ!陣地から出るな!亀のごとく閉じこもり、スッポンのように食らいつけ!」


 もっともスッポンほどの力はないだろう、亀ほどの力もないだろうな。






 敵の前衛は間抜けか?旗を振り命令をするなど狙ってくださいというようなものだろう、掲げるならまだしもなぜ振る?

 それで飛んでくる矢は落とせないとはどうしたことか?


「攻撃を続行する」

「よろしいのですか、ジーナ姉上」

「もとより続行する予定だった。今のところ前衛がアホなのか、それともこちらの矢の消費を増やすための道化か知らないが随分やりやすい。あれが囮だとしても構わない、毎回殺せば士気に差し障るだろうからな」


 あるいは使い捨てか?


「左に回り込む動きを……ゴホン」

「ジーナ姉上?」

「声の出しすぎだ、気にするな」

「そうでしたか……」

「左側に回り込む動きを見せよ、迎撃が早ければ下がれ」


 ドゥエインくんも大変だな。姉が死んだと思えばエリーが後見で一苦労だな。


 軍を左に動かし即座に迎撃されるのを見てあれは使い捨ての防御用前衛だと確信する。


「これは前を崩したほうがいいな」

「右にはしないのですか?」

「ドゥエインくん、あの兵は約3000ほどだろう。おそらく増援だ。ベスの攻撃をしのげると判断したうえでこちらに送っている。私であればゆるやかに右陣地を捨てて引き込み敵増援と挟みうつ。だからいかない」

「なるほど、では敵は右に精鋭を固めているのですね?」

「敵からしたら左翼だろうがな。ロバツは左翼偏重にする将軍は多い」

「それはなぜですか?」

「中央で敵を守り突破するために偏重すると両翼どちらかを突破される。だからどちらかを多めにするのだが主な敵は蛮族だ。右は山になるように布陣することが多いからだろうな。本来で偏重させるのはあればどちらかでいいのだが蛮族戦の経験がそれを招く事が多い。無論自信がある将軍は中央部に兵を集めて敵中突破をする」

「なるほど、そちらの方が兵が強ければ強力ですね」

「中央偏重をするやつは戦がうまいか自信家のどっちかだからな」

「例えばどのような方ですか?」

「一人はエリー、後2人はあそこにいるエセルとハーンだ」

「……」

「普通は騎兵も使ってバランスを取ることだけは言っておく」

「は、はいわかりました」


 なんでこんなフォローをしなければならないんだ。

エリー「ワタクシが突破すれば良し!」

キサルピナ「私が突破すれば良し!」

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