表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
勝利の葬列ですわー

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

42/546

何しに来ましたの?

ジーナ「王家のバーカ(小声)」

キャス「王家のバーカ」

遺族「わかる」

「……よって司法大臣としての功績は計り知れない(小声)」

「よって司法大臣としての功績は計り知れないとスペンサー令嬢は言っております」


 なんだか家の領地でたまにやってる腹話術師みたいな感じですわね。

 まぁ皆様は聞こえないみたいですし仕方ありませんわ。

 こんな斬新な葬式があってもいいですわね、どうせ死んでるんですもの。

 死は悼んでるけどそれはそれこれはこれですわ。

 葬式をエンターテイメント化出来ないものかしら?つまらないですし……。


 あれ?司法大臣はよく聞こえてましたわね……?

 やはり大臣ともなると聴力もすごいのかしら?

 ワタクシも初めて会った時聞こえませんでしたしね……。

 喋ってますの?って何度か聞いてたらアーデルハイドから喋ってるじゃないのってドツかれましたわね、あれで淑女の中の淑女ってマジですの?

 よく第1王子婚約者になれましたわね!まぁワタクシ以外にそんなことしてませんでしたわね。


「イアン・モンタギュー子爵はこのように王国に欠かせない人物だった(小声)」

「イアン・モンタギュー子爵はこのように王国に欠かせない人物だったとスペンサー令嬢は言っております」


 なんかキャスが家を乗っ取って実権を握る継母みたいですわね。

 虎の威を借る狐的な。

 家を乗っ取ってこれから謀反騒ぎが起きて最後に王子に助けられる展開ですわ、ジーナ頑張れ!頑張ってくださいまし!


 ……よく考えたら王子はアレですわね?むしろ率先して乗っ取る側ですわね、じゃあやっぱいいですわ。

 キャスに乗っ取らせて王子に乗っ取らせればハッピーエンドですわ。

 哀れ口うるさい継母キャスは断罪されるのでした、めでたしめでたし……。


「……」


 なんかキャスに睨まれてますわね?

 なんでこういうときは察しが良いんでしょう?

 でも暇なんですもの葬式って、やっぱ個人の悪口を言い合うとか遺体にパイ投げするとかそういうエンタメ方面が……。

 おっと、そろそろ働く時間ですわね?


 厳かな雰囲気の中、教会の扉が開かれてアンとマーグが武装したまま入ってきて……それに続くのは……宰相ですわね。

 あとは適当な小物……グリンド元財務大臣もいますわね……行動が早いことですわ。

 服装はちょっとみすぼらしいですわね、幽閉開放後すぐ来たみたいですわ。


「葬儀中ですわよ?儀仗兵の2人はともかくずいぶんと遅れてましたけど何かございまして?席はありませんけど作りますか?宰相閣下?」

「……事情がありましてな、ライヒベルク公爵令嬢。席を用意していただきたい……あなたは何故?」

「あら?友人の婚約者で義父になるかもしれなかった方ですわ、参列は当然かと……隣で良ければ空きましたわ?」

「その関係性の割に随分と近い席ですな、では失礼します」


 グリンド元財務大臣は最後方に座りましたわね。

 まぁ当家との関係を考えれば当然ですわね。


「何故このようなことになったかといえばそれは明確である(小声)」

「何故このようなことになったかといえばそれは明確であるとスペンサー令嬢は言っております」


「なぜ娘が代弁しているんですかな?」

「あら?ワタクシがしたほうが良かったかしら?」

「…………いえ、それなら娘で……いえ、なぜスペンサー男爵令嬢が話さないのですか?」

「話してますわ?ただ声が小さいだけですわ、なにか問題でも?故人を悼むのに声の大きい小さいが必要だなんて……罪の大小は気にしないのに不思議なことですわね」


 ええ、バカ王子の尻拭いで司法省上級官僚をことごとく処分することに比べたら声が小さいくらい大したことではありませんわよね。


「…………それはどういうことですかな?」

「いってもいいんですの?周りをよくご覧になって気が付きませんか?」

「………………」

「気がついていない?おだんまりかしら?」

「…………」


 まぁ被害者遺族の前で言わないでしょうね。

 どちらをとっても危険ですもの、さてジーナの演説も本番ですわね。


「ひとえにこの王国が、他者を踏みにじり、王家の権威と立場のみを重視し臣民を踏みにじっていたからである(小声)」

「ひとえにこの王国が、他者を踏みにじり、王家の権威と立場のみを重視し臣民を踏みにじっていたからであるとスペンサー令嬢は言っております」


「な……」

「ワタクシもそう思いますわ、トップに立つということは下に責任を持つこと。アーデルハイドも同じ考えでしたわ。つまりワタクシ達も同じ考えということですわ」


「この王国の司法は死んだ、国王と第2王子が殺したのだ(小声)」

「この王国の司法は死んだ、国王と第2王子が殺したのだとスペンサー令嬢は言っております」


 言わされてるとはいえ自分の娘が王国と王族批判しているのってどんな気持ちなんでしょう?

 まぁ、キャスも同じこと思ってるとは思いますけどね。


「待て!王族批判と王国批判ではないか!」

「葬儀中ですわよ?宰相閣下」

「……っ!このようなこと許されると思っているのか!葬儀も遺族が執り行うべきなのにこのような……」

「遺族?何処の遺族ですの?参列している方々は遺族が多いのでわかりかねますわ」

「司法大臣の遺族だ!」

「元司法大臣ですわ、それに遺族はいませんわ。沈む船から真っ先に逃げ出す連中が遺族だなんて……随分お優しいことをいいますわね?」

「誰もいないというのか……」

「宰相閣下が拘束されたあと司法大臣にすべて押し付けてとっとと逃げましたわ、だから全部縁を切ったみたいですわね。もしかして司法大臣の遺言をご存知ではないのかしら?元司法大臣ではなくて司法大臣として残したものですわよ」

「金銭的なもの以外……か……。遺族が執り行うべきという発言は撤回し謝罪する。だが今回のことに関する王国批判は別だ、王族批判も」

「王国批判の何が行けないんですの?公爵家の資料を表に出したことは良いと?」

「それは別だ……そもそも」

「超法規的措置は第2王子が出したものでしょう?出せもしないのに出せると思ってるようなバカはアレしかいないでしょう?」

「な……何を……!」

「家族に口が硬いと言ってもそれが正しいかどうか、判断的に聞くことはありますわよね?司法省関係者だった家族もいるのならなおさら」


 まぁ実際漏らしたかまでは知りませんわ。

 でもここまでいるなら一人くらい漏らしててもおかしくないでしょう?ほら、証言自体は上がったんだし思うことはあった人もいたんだし……。


「このような場でそんなことを……」

「最初に葬儀を中断したのは宰相閣下ですわ、ワタクシ達葬儀が終わったら用事があるんですのよ?」

「私も事故死した遺族の方々に話があるのでな……」

「そうですか、遺族の方々はないようですわね?」


 事故死なんていったら向こう側といったようなものですもの。

 幽閉中に疲弊したのかしら?それとも……切り替えたのかしらね?

 どちらに覚悟を決めたにせよ構いませんわ。

 その悪手でチェックメイトでしてよ?


「もちろん、我々”殺人被害者”遺族は新司法大臣の推薦に向うので」

「デストラン男爵……。新司法大臣とは……?それはこちらで決めることだ。貴方がタの推薦では」

「もちろん、ジョージアナ・スペンサー男爵令嬢ですよ、今そこで弔事と今回の事件の糾弾演説をしているね」

「何をバカな……学院生ですよ?デストラン男爵。貴方がいくら司法省出身の元次官であっても……」


「いいえ、俺にはその権利がある」


 教会ではっきり通る声で発言したのはジーナ。

 こうして普通の声量だと凛々しい声ですわね、可愛くも出せるあたり声の仕事でも出来そうですわ。

 公爵家運営の人形劇団の定員あいてるからやりませんこと?ワタクシ3役やるのしんどくて……。

 この声量で出し続けられないか……。

 キャス?なんで違うこと考えると分かるんですの?睨まないでくださいまし……。


「これはイアン・モンタギュー子爵の推薦状だ、司法大臣としてのサインもあり自裁前にこの条件違反していないことを確認している。もしあなたが当時の司法大臣より法律に詳しいのなら何を持って違反に当たるかをここで説明して欲しい、イアン・モンタギュー子爵が設定したこの項目で違反していることはあるだろうか?」

「しかし推薦とは……」

「法的には有効である、あなたが監禁され……失礼、取り調べられてる最中に法律が変わっていないことは間違いない。推薦状自体のことを言うなら司法大臣は罪を犯していない、推薦状における推薦は法的に有効である。推薦状の反対理由は明らかにされねばなならない。反対の理由は?学院生であることは反対理由にならない、前例がいくつもある」

「しかし、この緊急時に司法大臣が学生では……それに司法大臣を支える官僚達が……」

「貴方がたが殺しただけでしょう?自分たちで緊急時にしておきながらそれを理由に却下するなどありえませんね。反論は?」

「推薦状を……拝見しても……?」


 そう言うと宰相はジーナの差し出した推薦状を受け取り読み始める。

 無駄ですわ、2ページ目を見ればそれで終わりですわよ。

 自裁前に確認したのですわよ、今日の日付でサインをして。

 確認してサインしたところでこのサインだけならいつのものかわからない!と突きたかったんでしょうけど抜かりはありませんわ、本当に優秀な司法大臣でしたこと。


「……有効な推薦状だと思います。しかし推薦が通るかどうか」

「司法大臣と此度の遺族たちの推薦が通らないなんて……司法大臣が自裁する原因となった息子の……元息子の第2王子の勘違いである超法規的措置命令における暴走、それを目撃したしてないにかかわらず大臣執務室に席があるものの大量殺人の被害者遺族がこうして推薦しているのですわ。どうして却下されるのかしら?どのような理由かしら?ぜひこの場で教えていただきたいですわ?もっとも……」


 このあと葬儀に参列している皆で王城に向かいジョージアナ・スペンサー男爵令嬢の司法大臣推薦をお願いしに行くのですが、ご一緒にいかがかしら?


 宰相はただご一緒させていただきますといいましたわ。

 あらあら?宰相の推薦はいただけないのかしら?

宰相「(お前喋れるのかよ)」

遺族「(お前喋れるのかよ)」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ