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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
ロバツ王国

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親衛隊の奮戦

「あのハーンが隊列を乱してこちらにやってきますわ、これはまずいですわね」


 かつての公爵家が唯一互角に渡り合った将軍が隊列を乱しながらやってくる。

 どれだけ必死なんですの?


「ブランケット軍を……いいえ、耐えられないですわね。ワタクシの指揮下に戻します!敵退路を断つことからハーンに備えなさい!防御の構えを取りますわよ!」


 間に合わなければ流石に尻尾巻いて逃げるしかなくなりますわ。

 キサルピナがいてなお苦戦は免れない。


「敵騎兵は?」

「すべて歩兵のようです」

「騎兵がない……。迂回させている?出している偵察で戻ってこないものは?」

「現状ではおりません」

「偵察が入れ替わっている可能性は?」

「顔見知りです、ロバツに寝返っていたら部族の扱いがどうなるかくらいはわかるでしょう。決闘の結果ならまだしも心服する相手を戦場で裏切ることが称賛されることはありません」

「顔見知りなら大丈夫ですわね、となると騎兵はいない……。ハーン将軍が騎兵を使わないか……」

「7万ですからね、この状況を考えれば騎兵はエセル軍に振り分けたのかもしれません」

「完全分離ですの、まぁ敵地で飼い葉が潤沢に手に入ったうえで進軍も順調に進むってことはないでしょうしね。歩兵の行軍速度だけに注力したほうがいいでしょう。迂闊に騎兵を持てばもしかしたらエセルが死んでたかもしれないし、結果的にいい判断でしょうね」


 ハーンであれば騎兵を置いてでも戦場に駆けつけるでしょうけどそんな無駄なことをするくらいなら最初っからエセルか他の将軍に持たせたほうがマシですわね。


「さすがに戦場は動揺してますわね」

「マルバッハ男爵軍はさほど動揺しておりませんね、一番浮足立ってるのがマッセマーです」

「まぁ、正規軍ではないですしね。致し方ないですわ。うん、仕方ない。親衛隊をぶちのめせればいいですわ」


 せめて右腕くらいは奪い去ってやらねばたまりませんわね。






 状況は最悪。

 この一言に尽きる。


「親衛隊長!攻勢が強まりつつあります!」

「…………陛下は?」

「王太女に届きません……」

「陛下の脱出を見届けたうえで我々も後退する。予備騎兵隊は?」

「キサルピナに葬られました」

「我々の親衛騎兵を出す。連携が薄い部分に突撃、本体は撤退をする。親衛騎兵は突破後に合流を命じる」

「…………はっ!」


 突破ができるとも思えぬし、合流できるとも思えない。


「最終後退ラインはどちらに?」

「最初の陣地であろう、親衛隊は真っ先に逃げることはしない。親衛隊とはそういうものだ」

「おそらくブランケット軍らしき部分が脆い、ここを狙うべきでしょう」

「そこを崩しても挟み撃ちだ、最も崩せないが」

「なかなか硬いですな、こちらに騎兵をぶつければ突破も叶いましょうが」

「公爵家相手にここまで戦えたのだ、いつぞやのエリーゼ・ライヒベルクの国境線の戦いに比べれば随分とうまくやれている」


 国境紛争ではこてんぱんにされたからな。全員負けたと言っても過言ではない。


「ブランケット侯爵令嬢だったら我々はもう負けていただろうかな?」

「さて?おそらく戦場についた時点で国家として敗北することが決まっていたやもしれません。勝敗にかかわらず」

「…………スカケル王女殿下は手玉に取られそうだな」

「国内分裂を煽動するくらいは平気でするでしょう。統治のことは考えていないからどれだけ悪辣な方法も取れる。いや、考えていたかもしれませんが私にはわかりかねます」

「右腕が無くなったと思ったら理性の鎧だったとは笑えぬ」

「どちらが右腕でどちらが理性の鎧かは見解が揺れますな」

「どっちも厄介なことにかわりない。人としては化け物の共倒れを願いたいものだが手を組みおったからな」


 婚約で対立してくれればよかったもののなぜあっさりと友情をはぐくめるのか。

 互いに利益のある家の同盟であれば付け入る隙があったというのに。


 ”エリーゼ・ライヒベルクとロバツという国家のどちらに利益があるか?それはもちろん前者。わらわを動かしたいなら大陸をチップにするくらいはもちろんできるのでしょう?”


 ”ロバツごときがアーデルハイドを蹴落とせるならやってご覧なさい。ワタクシたちがお相手いたしましょう”


 高位貴族の女の友情なんぞ金と男で破綻するものだと思っていたが存外うまくいかん。

 難しいな。


「公爵軍左翼が出ます。おそらく蛮族兵と思われますが」

「決闘を宣言しろ!バルドレーあたりなら持つだろう、運が良ければ1人くらいはやれるだろう」


 どこまで持つかだな。






「キサルピナ大族長代行!敵部隊長アルドレーが決闘を申し込んできました」

「アルドレー……?私を指名しているのか?」

「右翼のフウェ族長の部隊に決闘を宣言しただけです。具体的に指揮官に決闘を申し込んだわけではないので対応に苦慮しています」

「時間稼ぎか、エセルもいい親衛隊を持った。良かろう!誰も指名していないのであれば私が出る」

「大族長代行!」

「おお、大族長代行自らの戦いが久々に見られるとは……!」

「ロバツの蛮族共も良い仕事をするではないか」


 敵をそういうふうに褒めるのは良くないな……。

 まぁ、立派ではあると思うが。


「決闘を受けると伝えよ!私が戦闘中は戦闘行動を停止!ただし攻撃された場合は別だ!私の指揮下のみに適応される!公爵軍およびブランケット侯爵軍は停止せずともも良い!敵部隊は決闘に介入しない場合は戦闘行動を続けることも構わぬ!蛮族の流儀を組んでやるのも文明人の我々の義務だ!」


 急行軍で騎兵隊を蹴散らした後だ。少しくらいは休ませてやらねばな。

ハーン「行軍ですらこれでは数で押しつぶすしかない」

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