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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
ロバツ王国

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それぞれの動き

「国境軍、蛮族に動きなしとのことです」

「よし、秘密裏に移動させてる軍の現在地は?」

「ダレス地方です、5万は集まっています。溜め込んでいる糧食を麦の価格上昇を理由に開放していますのでうまくいけばしのげるかと」

「北部難民のふりをしているからな。この情勢で蛮族が南下してたら終わっていたな」


 本当に、来ないと読んではいたが必ずしも読み切れるわけではないからな……。

 もしも来たら遅滞戦術一択であった。ダレスの兵をいきなり動かして北部に行くわけにもいかないしな。

 国境に隣接こそしてないがあの地方が動けば流石に漏れる。サミュエル王国相手ならまだしも蛮族との戦争であんな場所から5万が湧いて出ればもともと侵攻することが丸わかりだ。さすがに馬鹿王子も気付くだろうからな。


「いつもはもう少し活発なのですがね」

「ヤケクソの密約が作用したと思うとしよう。スカケル」

「はい」

「戦ばかりはどうなるかわからない、いいわね?」

「覚悟の上です」


 戦場では何が怒るかわからない、負ければそうなる。

 勝ったところで生きてるとは限らない。

 だからどちらに転ぶにせよスカケルが……。

 いえ、勝って生きれば問題はないわね。少しナイーブになり過ぎた。

 今の私は国王だ。国王なのだ。


 だが不測の事態は起こる。

 戦場に行く間までの間で落馬で死ぬかも知れないし、父の信仰者が私を刺すかも知れない。

 戦場で死ぬ時指揮は引き継げても交渉は引き継げない。勝てばスカケルをアーバサダーから出してでも講話を結ばねばならぬ。

 負けた時は私を廃位し、スカケルをその座につかせねばならぬ。

 仮に日和見な連中が後で文句を言おうと軍権を持つ姉のクーデターに何ができるか、お前は首都防衛兵すら待っていかれた状態でなにができると言えば黙るだろう。

 私が生きてさえいれば最後に掃除をするのも悪くはない。


 公爵家が動きさえしなければ……。






「整ったぞ」

「あら早い、私兵が多いのはいいことですわ」

「騎士だからな、それより……」

「ええ、問題ありませんわ。それにしても初陣が早まりましたわね」


 ま、そんなに違わないしいいでしょう。せいぜい数週間と言ったところですわ。


「問題ありません、エリー姉さん」

「ドゥエイン君、早い参陣感謝ですわ。すこーしだけ計画と違いますけどロバツを撃破することは変わりません。領兵はどうですの?」

「エリー姉さんの言う通りにしています。練度はともかく実戦次第です」

「ま、勝てるでしょう」

「勝てるのですか?」

「国境の連中は大半が寝返っていますからどうせ抜かれるでしょう。織り込み済みですわ」


 直轄地が増えますわ。良いことですわね。


「エリー、処刑が終わったっす」

「ね?ドゥエイン君、国境貴族の有力者を含め処理は終わりましたわ。まぁ王都にいないのは仕方ないですわね、どうせ寝返ったふりだとか後で抜かすだけなので一緒に平定しましょう。いくつかの制圧をお願いしますわ」

「決戦には……」

「決戦後ですわ、勝てますもの」


 遅いし、早すぎましたわね。

 去年であれば絶好の機会でしたのに……。もしくはワタクシの王太子の儀にでも合わせればもう少しだけ掌握に時間がかかったかも知れませんのに。

 ま、リッパー男爵が想定外の暴れ方しかたらわかりませんけどね!


「さて、面倒ですわね……。まぁいいですわ王太子の儀を行ってしまうのもありですわね。今の位置的に……まぁ抜かれるから良いか。何だ質素で良ければできるではないですの、簡易的に王太子の儀を行って凱旋で正式なものをやってしまいましょう」

「前代未聞ですよ?」

「前代未聞で結構!王太子も王太女も王太子の儀を2回やってはいけない方はありませんわ」

「やる意味がないからでは?」

「意味?ありますわ、簡易的な王太子の儀で出兵した王太女、勝利に後に正式な儀式を上げる。まるで国王になったと人々は思うかも知れませんわ、思わなくてもいいですけど」

「……ま、いいっすよ。では典礼大臣に伝えておきます」

「1回目は質素に、ああ、そうですわ。さあく必要な手順をすべて抜いて惨めに見えてもいいくらい。王国軍が動かない話だけ広めておいてくださる?」

「国王が出兵を阻止したという噂とともに?」

「エクセレントですわ。あとはキャスに後方を任せて終わりですわ」






「シュライヒャー」


 馬に乗った同胞とすれ違いそうになるといきなり呼び止められる。

 私は王都にいかねばならんのだが何か問題でもあったのか?もう1日飛ばせばキサルピナ騎士長のもとに着くであろうに。

 そう思い何用だろうかと腕を見ると緊急配達の証を意味する布の巻き方であった。

 エリーゼ麾下にだけ伝わるそれを見て何か嫌な予感を感じた。


「それは……我らが族長の……」

「はい、ママからのお手紙です」


 王都に呼ばれたと思ったがなんとまぁ動きの早いことだな、1日しかたっていないのだが。最初の手紙は緊急ではなかったというのに。


「ここで確認を、シュライヒャー」


 緊急配達の担当であれば向こうのほうが立場は上だ。大人しく読むとしよう。




 シュライヒャー

 ロバツが侵攻しました。直ちに現地に戻りキサルピナとともに軍を率いてこれにあたりなさい。多分少しは移動してきてるからちょうどいい位置で届くと思うわ。

                              ママより




「ほぅ、それで?」


 読んだ後ならこっちが上だ。この簡潔な手紙で命令が口頭であるわけがないしな。


「読んだのであれば私はキサルピナ騎士長のところへ行きます」

「なるほどな、わかりました」


 まだ仕事があったらこっちが下だ。

 なるほど、私の部下は元貴族が多いからな。蛮族のやり方に染まっても少し遅いくらいだ。

 では現地合流をする勢いで支度をせねばな。

姉の死後に家の扱いが悪くなる中で厄介な連中を後見にしたドゥエイン君(10)「(勢いでやってそう)」

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