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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
ロバツ王国

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軍事作戦

「国境の防衛軍をすべてサミュエル王国へ、そのための備蓄だ。鎧も何もかも蛮族戦線の供えとして移動させていたものを使う。蛮族戦線は完全に放棄する」

「首都を突かれた場合はいかがなさいますか?」

「首都を放棄せよ、この戦争に負けたら首都が残っていても同じよ。サミュエル王国を倒し、王位を固定せねばどちらにせよ滅ぶわ。ここで王都を襲撃できるのであればそもそも安定しないとは思うが、サミュエル王国を降したうえで攻撃を続行するようならそれこそやりようがある。そもそも……。いや、やかろう。たしかに首都を放棄すること前提での侵略戦争は狂気の沙汰だからな。そうでもしないと勝てないと思って欲しい」


 そう、全ての条約も法も無視して奇襲せねばならん。

 王都にいる公爵令嬢が公爵軍を動かすラグ、そこからの徴兵などの期間を考えれば価値はある。勝ちもある。

 国境貴族はすでに手を回している。内部も軍務省補給部長ガイツァー伯爵、財務省国際局イルモー侯爵が遅延工作を行う予定だ。数日でも稼げればよい。

 国を売るやつは信用できんが長年の付き合いであるからな。果たしてロバツ貴族なのかサミュエル王国貴族なのか……。

 第1王子死後こちらにすべてを掛けたあたりはサミュエル王国に未来がないと察したのもあるが、公爵派閥が牛耳れば自分たちに未来がないこともわかっているのだろう。

 調べれば数十年にわたっての内通だ。断絶お家取り潰しは待ったなしだろう。


「そういえば……馬鹿な連中がいましたな」

「殺せ」

「……よろしいのですか?」

「くだらぬ計画に乗ってやったのは油断を誘うためだ。あやつらにそのような力はあるまい。もとからその慢心と油断を突く予定だったのだ。それともクラーク将軍はあの馬鹿王子が王太子になることができるとでも?」

「…………てっきり支援なさるものだと」

「どこをどうやっても無理だな。向こうの宰相ですら王太子就任を引き伸ばしてる以上は公爵派との政治的対立が激しいうえでも手を取って阻止に動いている。つまりあの馬鹿者は支持母体からも見放されているのだ。いっそ死んで継承権が公爵家に移ったほうが団結しやすくてマシだろう。なにせ持ちあげるべき神輿が持ち上げてはいけない危険物だ。もし公爵派が国政の混乱のために支持にまわったら宰相は反対派に回るしかない。それでも今はまずいから妥協の産物で引き伸ばしているのだ。この均衡はいつ壊れてもおかしくはない。もし公爵派が蛮族戦線を完全に安定させてしまえば……どうとでもなる。王太子の失政を理由に兵を挙げるもよし、決まらぬ王太子に業を煮やして簒奪するもよし。枷の外れた猛獣を制御することはできない。去年事を起こせればな……」


 本当に惜しい。

 原因は先程殺したが。

 とにかく夏季休暇までに事を起こさなくならなくなったのがまずいが……。

 よりにもよってなぜ流れるように有力貴族子息がああも馬鹿げたことを……。

 それほどのことをせねば公爵派閥が強力になっているのはわかるが、息子を切り捨ててでも一か八かの策に出たのだろうか?連中の報告を聞いても何があったのか流石に嘘ではないかと思う事例が多すぎて私もスカケルも頭を抱える日々だ。


「スカケル、兵力はどれほど?」

「国境防衛全て放棄、根こそぎ動員で15万ほど」

「最も根こそぎですので本来の動員は良くて8万、臨時徴兵7万は役には立ちません。使い捨てで敵を削る以外役に立てぬかと」

「主力8万が蛮族国境を突破し、サミュエル王都に届いた後で臨時徴兵を進ませる。我々が陽動と思ってくれれば良い。公爵家は攻撃せずそのまま南下する。臨時徴兵を主力に見せること叶うか?」

「私が率いましょう」

「ほう、ハーン将軍が率いるなら頼もしいな。臨時徴兵であっても耐えられよう」

「王国兵であれば撃破できましょう、優雅に勝てはしないでしょうが」

「勝利に必要なのは優雅さではない、泥臭くも勝つことよ」


 先の戦争でも公爵家相手に善戦できたハーン将軍であれば王国軍は耐えられよう。

 馬鹿な前軍務大臣からは軽視されているが王国軍には勝っているからな。

 サミュエル側も公爵側も彼には警戒しているはずだ。特に公爵家はハーン将軍失脚の陰謀を仕掛けたこともある。

 これほどの戦争で囮部隊の指揮官にするとは思わないだろう。

 ロバツは公爵家と構えたくないことはそれなりにアピールはしている。それなりにだが。

 仲違いをしている今ならサミュエル王国を見捨てる可能性もあるのだ。


 一貴族である公爵家とはロバツという一国家として手を組めない、サミュエル王国とも手は組めない。

 ライヒベルク王国なら可能性はあるが。それはサミュエル王国の継承では困るのだ。

 国家の流れをそのまま継げばオーランデルクが邪魔になってくるのだ。

 あの国がサミュエル王国に優位を主張する以上対立と調整に苦心する。

 そしてサミュエル王国は認めない、ライヒベルクが継いでも認めない。戦う限りはロバツはオーランデルクを支援せねばならない。

 巡り巡って二国ともオーランデルクに悩まされているわけだ。


 もっともオーランデルク側の情報収集能力がこの絶好のチャンスに繋がってる以上無下にも出来ない。

 公爵家は必ず簒奪する。独立は良くてもサミュエル王国の立場を引き継がれてはロバツは負ける、オーランデルクも負ける。

 これを断ち切ることさえできれば、国家として手を結び、北と東を見ることができる。

 ロバツはもう強国にならねば未来がないのだ。

エリー「夏はバカンスで国外旅行の予定ですわー」


エセル「だったらずらしたよ!」

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