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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
王太女就任ですわー!

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王太子選定会議終焉

「やれやれ揃いも揃って若造共が集まったじゃないか。私が控えていたら遠巻きにして、まったく……年をとっても臆病なまんまだね。私ブタン子爵夫人、フッティ・ブタンはエリーゼ・ライヒベルクの王太女推薦を支持する。これでいいね?」

「はい、ありがとうございます、ブタン子爵夫人」

「で?あんたたちは?」


 やるべき仕事を終えたとブタン子爵夫人は宰相の椅子を奪い座り込み一緒に入ってきた貴族に発破をかけた。


「アルフレッド・ルーデンドルフ、エリーゼ・ライヒベルク大公女殿下の王太女推薦を支持します」

「王国最高裁判所長官マッセナ・ゲルラッハ、同じく」

「リーヤン・シュテッチ子爵、代表して支持いたします」


 のんびりと入ってきた貴族もその声を聞いて次々と賛同していった。


「前軍務大臣アルデナー・ヘス、ヘス伯爵家としてエリーゼ嬢の王太女就任を支持します」

「スタルヒン伯爵家代表として同じく支持いたします」


 その他に続く10以上の各家の賛同に飲まれていく国王は断固として反対し続けていた。

 国王に王太子選定会議でそのような権限はないのだが。


「だめだ、まだ有力とは言えない!そうだろう!」


 失言の度を超えた国王に場の苛立ちも募るが破滅が見えた相手だと思い直したのか何人かが落ちついていく。


「ケルステン!そうだろう!」

「……ケルステン・モレル。エリーゼ・ライヒベルク大公女殿下の王太女就任に賛同いたします」

「ケルステン!お前もか……!」


 ガクリとうなだれる国王に対する追い打ちは止まることなかった。


「御三家、リッパー男爵家、ジャックが申し上げます。エリーゼ・ライヒベルク大公女殿下の王太女推薦を受け入れるようにと」

「バンサ伯爵ピアも同じ意見です」

「バンサ伯爵だと!」


 パンと手を打ったのはレズリー経済・財務大臣だった。

 なにかの希望を見言い出した国王は彼を見るが答えは無慈悲であった。


「レズリー伯爵家アウグスト、各御三家と同じ意見にございます。エリーゼ・ライヒベルク大公女殿下の王太女推薦を受け入れるよう奏上いたします」

「ば、馬鹿な!御三家が!御三家が王家を裏切るというのか!」

「公爵家は王家の血を付いでおりますれば」


 バンサ伯爵家の継承を御三家が認めた。その事実すら流されるように王家を捨てた。


「まだだ!王家相談役を……」

「お呼びですか?」


 タイミングの良い登場に流石に国王ですら察した。


「国王相談役、パウエル子爵。賛同します」

「まだ続けますか?」


 うなだれる国王は最後に願いをかけるために軍務大臣を見た。もし彼も寝返っていたら終わりであると思いながらも……。


 彼は悩んでいた、ここでどうするべきか。

 もしもここで一人反対してどうにかなるのかと。

 悩む彼を急かすように一方的な通達が来る。


「大公女殿下入室です」


 許可を得ずに近衛騎士団長に騎士団長、王国軍総司令官代理を先頭に入ってきたのはエリーゼ・ライヒベルクであった。


「終わりましたかしら?」

「大公女殿下、今より決を取ります」


 ぞろぞろと取り巻きを引き連れたエリーゼはそうですのといい決を待つ姿勢だった。

 ポート軍務大臣はここで諦めた。

 王国軍と近衛騎士団、騎士団が支持を見せた以上は次回の会議では王太女就任が通ること確実。

 その時軍務大臣は別のものになっているだろう。自分の命もあるかどうか……。


「では……この人数なら聞き方を変えましょう。エリーゼ・ライヒベルク大公女殿下の王太女就任に反対のものだけは声を上げてください」


 誰も声を上げなかった。

 国王はただうなだれるだけですでに折れていた。


「全会一致を持ってエリーゼ・ライヒベルク大公女殿下を王太女として認めます」

「こちらは王太女宣誓の書類です。ポート軍務大臣、サインをどうぞ……。結構です。では国王陛下、この場合なくてもよいのですが一応どうぞ」


 ポートは土壇場の寝返りに安堵していた。宣誓書すら出来上がっていたのに反対をしていたらどうなったことか。

 おそらくアレクサンダー女伯爵・ゲドリドル近衛騎士団長・バルカレス騎士団長の誰かがその場で選ばれ軍務大臣の任命書も出来ていたのだろう。

 リューネブルク典礼大臣のサインもあったのをみて自分だけがすげ替えられる予定だったことも理解し、屈した。

 国王も大人しくサインをしてただただ諦めていた。


「それでは、ライヒベルク朝創設にあたってサミュエル王朝時代に貸付けたものを返していただきたい」


 彼女にしては珍しい口調で貸付書類を持ってきたシャリー・マッセマーは長年にわたる踏み倒されるであろう借金の借用書を積み上げていた。


「…………国が変わっても条約や借金は消え去るわけではない」

「重々承知しておりますぅ。ですがそれは武力による滅亡などで踏み倒した場合に使う理論であって王太子が選ばれ通常の継承をした場合は違いま……す」


 多少ボロが出そうになるもののシャーリーは強く対応していた。


「王朝は正当な交代をします。そしてその原因は国家の財政に問題があります。第2王子にもありますが一番はこの放漫財政と総収益の減少が挙げられます。この総収益低下の原因は公爵家の納税拒否にありますが……そもそも原因は公爵家に辛く当たった王家にあります。この王家の失態を新しい王家、しかも被害者に背負わせるなんて商人は怖くて出来ませんね。そもそもこれはサミュエルの名前で記名されています。支払うのは当然でしょう」

「しかし、支払いに関しては……」

「はい、王家の貸付に関して返済を要求することはありませんでした。それは不文律ですが明文化されたわけではありません。違いますか?」

「あらあら、大変ですわ。王太女として直ちに返済する必要があると思いますわ。国王陛下。この金額は踏み倒せませんわよ?王太女としてサミュエル家の貸付返還を約束しますわ。反対の方は?……いませんわね」


 本来であればその権限がないエリーゼは一気に押し切り王家に枷をつけた。


シャーリー「(標準語ってこうやっけ?)」

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