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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
王太女就任ですわー!

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興が乗りますわね

 バルコニーにかつてここまで人が並ぶことなんてあったのかしらね?

 先代国王の時代でもなかったでしょう。

 先々代でもないでしょうね。


 庭にいる貴族は顔を確認して誰がいるのか見極めようとしている。

 時折表情を隠せずに顔にでているのはそれだけ衝撃なのでしょう。ネームバリューというものは結構大事なものですわ。

 大多数は正しいことではなく誰が言ったかに左右されるものですしね。

 だからこそメディアというものを利用して私は名を売った。


 心優しき公爵令嬢。

 篤志家。

 劇団の座長。

 劇場の主。

 無料劇の開催者。

 不正を正す清き貴族。

 平民の守護者。

 蛮族の盾。

 様々な言葉でエリーゼ・ライヒベルクを飾り立てたのはこのときのため。


 貴族の大半が平民にもてはやされて調子に乗ってる公爵令嬢だと舐めてかかっていたが、そのメディアの力で潰してやった人間も多い。

 領土の不正のスッパ抜きと内務大臣でもあるお父様の追求、この戦法でどれだけの家を危機に陥らせたか。

 手元には腐る程に特ダネがあり後はそれをどの順番で使うかだけ。

 勘がいい貴族は露骨にメディアに媚びるよう善行を行うようになった。その流れで自分が狙われてると知ると途端に公爵家に屈するものも現れた。

 賢い方は好きですわ、賢すぎる方は厄介だから嫌いですけど。

 少なくとも愚かな味方よりは賢い味方のほうがいい。


 このバルコニーは私が立った中では最も小さい訳では無いが最も影響が大きく、そして大事な劇になる。

 もっとも一番いい演技になるかはわからないですけど。


 わけがわからなそうなララが一についた時が開幕の合図。

 さて、主演の登場ですわ。


 下に歩き方までは見えなくても優雅に歩く。

 特に焦らすということはそれを待たせるということで上下関係を知らせることにもなる。

 平民から多少の感嘆が上がるのなら成功ですわね。もとより貴族に見せてもどうでもいいことでしかありませんもの。


「皆様、私はエリーゼ・ライヒベルク。ライヒベルク公爵家の息女にしてサミュエル王国王位継承権第2位。そして……これより継承権1位である王太女になるものです」


 周知の事実の容易に騙ればそれで良し。実際お祖父様もお父様もいるので継承順位は4位だと思いますけどね。

 5位くらいだったとしても名が上がっていないほか貴族が今更出しゃばっても無意味ですけどね。

 まぁ公爵家の関係と直系の全滅具合を考えれば4位であってると思いますわ。

 どこからか公表されてない子供でもでてこない限りは。


「祖国は今、危機にあります。乱行を繰り替えすヴィルヘルム第2王子殿下……。血筋の関係を盾に国土と権益を貪りとろうとする自称王国のオーランデルク公国、そして虎視眈々と国土を狙い貴族たちを寝返らせるロバツ王国。そして周知の通り北方の蛮族……。繰り返します、祖国はいま危機にあるのです。フリードリヒ第1王子殿下が亡くなられてからどれだけの貴族の不正があったのか……。先代近衛騎士団長を筆頭に国家の要職にあるものが腐敗し、そして摘発されていったのです」


 まぁ元からやってから別に死後そうなったわけではありませんけどね。

 貴族はすっごい冷めた目で聞いてますもの。逆でも同じ顔しますわね。


「国賊が国内をかき回し、外敵はそれを煽り、掣肘すべき貴族は役に立たない……。なぜでしょう?」


 まぁ理由が多すぎて貴族であっても答えられないでしょうけど。


「それは本来なら次期王太子は確定であるヴィルヘルム第2王子殿下がその器でないから?いいえ、それはフリードリヒ殿下がご存命の頃からわかりきっていたこと。オーランデルクの介入はそれ以前からあり、ロバツとの戦争はそれ以前もあった。そう、公爵家が勝利を収めたのに勝ちきれなかったあの戦争です。なぜ勝ちきれなかったのか?それはひとえに王家のせいです」


 バルコニーも動揺してますわね。

 でもほら、やっぱり派手にやった方が良いでしょうし、こういうのはライブ感って大事でしょう?


「王家が、このサミュエル王国を弱体化させたのです。先代国王陛下の公爵家に対する介入と蛮族に対する支援。蛮族戦線を支え続け、報奨も恩賞もろくになく、国家の危機にロバツを撃破して、王国軍が無謀な攻撃により惨敗し、確実な勝利を逃した際も不満一つ漏らさずにしたがったライヒベルク公爵家に大して行われたのは……蛮族を支援するという利敵・売国行為でした。戦争の敗因である王家が勝因の公爵家に嫉妬し、蛮族を支援し、蛮族とつながりのあるロバツの介入を支援した。これは許されざることです」


 まぁそんなうまいとこいってないでしょうけど構いませんわ。

 これからロバツの懲罰戦争をするんだからせいぜい悪役になっていただきましょう。


「そして対立が深まると王家は公爵家に暗殺者を差し向けた。そして失敗すると即座に手打ちを持ちかけた。蛮族支援を一切打ち切ることもなく。ですから当時の公爵家は……祖父は他の貴族達の力を借りて先代国王陛下を暗殺いたしました。ひとえにこれはサミュエル王国とそこに住まう人々を守るため……。純粋な愛国心の発露でした」


 嘘ですわ、お祖父様がブチギレて殺してやるってなっただけですわ。


「暗殺者を放たれることは貴族にとって日常茶飯事、私もこの年で10や20ではきかない数の暗殺未遂に合いました。そちらはいいのです、本当に王家が放ったとしても、王家に従う誰かが勝手に放ったとしても。大事なことは国家の敵に対して支援をして国内勢力を倒すという卑劣な行いを堂々と実行したということなのです」


 王家の行いを刷り込んでいきますわよー。

リッパー男爵「(え、そうなの?)」

ララ「(え?そうなの?)」


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