私ララ、どうしてここにいるのかわからないの
私は何しにきたんだろう?とっととセーター渡して終わりなのに何をするべきかもわからないまま王宮に来てしまった。
気がついたら周りは貴族まみれ、百合ゲーに変わったのか?
王宮はゲームだとたまに王太子妃のアーデルハイドに呼び出されてくるんだけど流石にこんなのはね。
これどんなルートよ、伝もコネもないのに。
やっぱゲームと現実は違うわね……。修正力も何もないし。
お偉い貴族が互いにアイコンタクトを取り合ってる中で端にいたお爺さんはピシッとした格好でそれを眺めている。
風格がすごい、間違いなく強キャラ感がある。噂一つで相手を破滅させてそうな雰囲気がすごい。
ちらっと会話を聞いてたけどリッパー男爵だったかな?登場していた記憶がないんだけどメタ的に立派な男爵とか多分そんな感じのキャラなんだろう。ファンディスクか2で出る予定だったのかしら?
となるとやっぱりエリーゼ一派にこそ正義がある感じなのね。
敗因は何だったのかしらね?
「さ、私達も行きますよ。どこに立ってもここにいる時点でよいのですが見る人間は気にしますからね」
「はい、ララさんも行きましょうか」
「はい」
「ボクは端っこでいいかな。目立っても仕方ないしね」
「あら、確かに知る人さえ知ればいいですしね。私もそれくらいの活躍をしたいものです」
「あらアレクシア?警察に行くにしろ検察に行くにしろ輝く余地はありますわよ?」
「ほほほ……問題は私の能力ですね。頑張りたいですわね」
「ボクはどうしようかなぁ……領地経営かな?」
「必要なことがったら言ってくださればお助けできますわ」
「助かりますね。ここまで動けば大手を振るってマッセマー商会の流通拠点も作れますし、王都でお茶会を主催するときは紹介状を書いていただければ助かります」
「あら?その程度でよろしいのですか?」
「ええ、あとはボクが主役を張る必要もないので壁の華で十分です」
「ローズを紹介しないということはないでしょう。少しは目立ちますわ」
「それは必要経費として働きましょう」
「あらあら、助かりますわ。出世が確約されている方の紹介は私にとっても利点ばかりですからね」
「侮る相手をどうするかが大事ですからね。情勢の読めない相手が多くて困りますわね。有力者に爵位で迫るほど愚かとは」
「きっといなくなるでしょうからボクは気にしません。男爵位とは侮られるものですから」
「だからこそ能力の高い人間が一番多いのも男爵位なのですよ」
「数が多いから比率的にそうなるだけでしょう」
「ローズのような方は貴族では少ない方ですわ。実績含めて……。出兵経験もあるのは頼もしいですわね」
「ゲーリング子爵領が、いえ元子爵領から逃げてきた人間が盗賊になるのでボクもそれなりには戦わざるをえなかっただけです。小さな男爵領では人手が足りませんから」
「経験があるというのはそれも強みですから」
「ここ1年は父だけで事足りるので鈍っています。まぁ……明日出兵を命じられても対応はできますけど」
「まぁ、頼もしい。広い領地を抱えるだけで戦うこともできない辺境貴族にも聞かせてあげたい言葉ですわ」
「戦えはするでしょう?権限のわりに弱いだけで、いえ弱くなったのかしら?」
「どこぞの敵国とは関係がいいのに祖国とは関係が悪いものもいますから」
「敵国として処理することになるでしょうね」
どうしてこうなった?
この会話に入れはしないがさりとてでていけという風でもない。
いるのが当然のごとくといったようで気分はメイドかなんかね。いてもいないもののように扱われる感じでもないのは引っかかるけど。
最後方からゆったりいくと先に行ったよくわからない貴族の方々が端に向かっていく。
次に貴族学院の生徒、そして取り巻き……。リッパー男爵のお爺さんとバンサ伯爵?とクラウが控えている。
最後に入った私はスペースが見当たらずとりあえずバルコニーの外にいるしかなさそうだった。
いやあるにはあるんだけど……。
「行かないのですか?」
「え?」
リッパー男爵からそう言われた私はおそらくエリーゼたつであろう場所。その隣になるであろう真ん中すぐ横を指さされる。
いやいやいや、無理でしょ?
「私達は決まっているので」
「…………そうっすね」
「……?」
いやいやいや、無理無理無理!
平民がなんで公爵令嬢の横に!?王太女とかなんか普通に呼んでるし!
私も実はご落胤とかそう言う設定あるの?だからゲームでのあれが許されたとか!?たしかにありがち!
平民の子供だと思ったら実は王族とか貴族ってすごいありがち!まさか!?
よく考えたら平民ごときを公爵令嬢達が目の敵にするのも変なのよね。普通に殺せば良くない?ハーレムルートも最終的な解決手段が殺害とかでもないし。
普通は階段から突き落とすとか暗殺者を放つとかやりそうなものよね、そこを守るとか絶対お約束でしょ!となると私の血筋に秘密が?
まさか前の王家の末裔とか?
そうよね、流石にこの世界の両親は本当の両親だし。
私を殺せない理由があると考えたほうが自然……。自然か?
「さ、どうぞ。よろしいですよね?」
「かまいませんわ」
「どうぞ」
こうして私はほぼ中心に立たされ、王城庭に並ぶ方達からまるでこの出来事の主犯格のように目線を向けられた。
あれは誰だという視線がいたたまれない。
どうして……どうしてこんな事になったのか?
エリー「暴れろ!もっと暴れろ!」
アーデルハイド「ここまで好き勝手に動かす?」
エリー「勝手に向こうが動いてるだけだから関係ないですわ」




