ここから始まりそう、今まで始まってなさそう……
「服の意匠も……できるのですね?」
「え?ええ、上から縫い付ける感じですけど……。毛糸ほどではないと思いますけど」
そういえばこっちだと別の意匠を上からそのまま貼り付ける感じで糸通して形つくる感じは主流じゃないんだっけ?
マッセマー商会で商品を見せられる時にこれを貼ったものはみたいなこと聞かれてちょっと驚いたのよね。そういうやり方なんだって。
私作っているけどそこまで詳しくないんだから。
マフラーの意匠のほうが楽だしね。
細かいくやらなければいけないからふくは手間がかかるし、その割に儲からないから結局セーターとか手袋編んだ方が良いのよ。
「例えばですが、その……納品のセーターと同じ意匠を服に付けるとしたら?」
「糸を補足して細かくしないといけないのでうーん学院を休んで集中しても1ヶ月くらいですかね?意匠は使い回せるだけ楽ですが。それにそれ用の道具もないので慣れるまでを入れたらやはりそれくらいはかかるのではないかと。あくまで付けるだけなので服自体を作れと言われても困りますね、型紙から……は無理ですね」
そもそも意匠で評価されてるみたいだしそっちに手を出してもかえって減点要素になるかも知れないし。
そこまで手がかかる割に利益がないなら作ってもしょうがないしね。
「そもそも意匠もララさんが考えているのですか?」
「はい、そうです」
「多彩な方なのね……」
「なるほど……なるほど……ひょっとして王太女殿下は……この事を考えて?」
「……さて、エリーの考えることは私には判りかねるところもあるので。予定を急に変えたり、ね……」
「…………ララさんは事が終わったらどの地位に付けるご予定で?」
「「えっ?」」
「ほう」
「…………」
「それはエリーの考えること、私は存じません」
私が?なんで?地位に?なんの?どういうこと?
「ララさん、あなたは平民の代表として働くことになるでしょう。どのような形かはわかりませんが……この私、マルバッハ男爵家次期当主であるローズが全力でお力添えをいたしますわ」
え、ローズが力を貸してくれるの?
もう勝ち確じゃない!借りる、借りる!全面的に借りる!ノーマルエンド後にも友人で就職先とか紹介してくれるのよ?
もう乗るしかないわよ、乗った!全部乗った!
神様!仏様!ローズ様!様々よ!
「ローズ様がそうおっしゃられるのなら平民ですが粉骨砕身頑張らせていただきます」
「ローズでいいですよ。同じ派閥で高い地位で働くことになるのでしょうし。堅苦しいの話にしましょう。ボクはそっちのほうがいいな。ララでいいかな?」
「喜んでローズさん」
「違うよ?」
「ありがとうございますローズ……」
友人になるイベントがようやく始まったと思ったら恋愛ゲームが終わってた……。
私のゲーム1ターン目が今からか……。
口調もようやくゲームと同じものになったし……。
まぁ、いいか。
よく考えたら今までの稼ぎでお金もいっぱいあるし、これから私の毛糸職人としての経営ゲームが始まるのよ。毛糸アトリエ経営下ゲームよ。
「毛糸の魔術師と友人になるれるなんて光栄だね、それとも装飾の錬金術師のほうが通りがいいのかな?公式ではどの名前を使う予定なの?北の魔女?」
「え、知らない名前ばっかり……」
「まぁ自分で名乗る方は少ないでしょうしね」
「偉大なる王子と名乗る馬鹿者がおりましたが……」
「馬鹿者ですからね」
「悪役令嬢……」
ゲームではそう言われてた公爵令嬢エリーゼ・ライヒベルク。確かそう噂されてたのを思い出す
「ああ……バカが広めようとしてましたね。そのあだ名を……」
「ご存知だったのですね、全く広まら……ああ、あのバカか」
「ララにも吹き込んでいたのは違う意味で流石というべきね、ララほどの腕のある職人に伝えてもそれが広まらないのは向こうも計算外だったでしょうけど」
「そもそも……あの体たらくでバカが何を言ってもエリーを調子づかせるだけです。気に入って自分でも悪役令嬢を宣言しても広まらなかったくらいですし」
え?それヴィリーが広めた後が自分で名乗ってたの?
ゲームで悪役令嬢と囁かれるって自称だったの?それ自称するの?
悪役令嬢自称するの……痛くない?聖女とか天使とかよりはマシだけど。
あれ?ゲームだと1年目から……。
いや、キャラ紹介だっけ……なんで広まった……。
ローズが広めたのかしら?
ローズが?
ローズかも?
ローズに違いない気がしてきた。
やっぱりローズが味方じゃないと詰むってことでは?
本当のヒロインはローズだったんじゃ……。
まさかそんな、好感度チェックキャラが新のヒロインだなんて……。
男版でも女版でも実質そうって言われることあるわ、男版はしかもヒロインで実装されてた気がする。
じゃあ最初に友人にならなかった時点で詰んでたってことじゃない!
「汚い手とうまくいかない悪あがきだけは一丁前というわけですわね。さて……ララは国外で商品を売るのはどう思う?」
「え?特に……来たら受けるだけですけど……」
「まだ口調が硬いね、村の人と同じ感じでいいよ。じゃあそこまで国内注力する決意を持ってるわけじゃないんだね」
「まったくないかな、仕事だから作ってるだけで」
「じゃ……ボクは国内の知り合いの貴族全員にララの作ったものを買いたいか聞いてみるね。ブタン子爵夫人っていう方が大金持ちだから多分買うと思うよ、ただ120キロくらいある人だからすごく大きな物が必要だと思うけど……そこはわきまえてるからちゃんとそれなりの金額出す人だよ」
ああ、太っててオーダーメイドにする人ね。ふーんそんな面白い名前なのにでてこないんだ。
次作とかに出る予定だったのかな?
アーデルハイド(リーゼロッテ)「私が広めました」
エリー「悪役令嬢ですわー!」




