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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
王国政治の混乱ですわー!

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救いようの無いバカ王子……

「臣民諸君!このようにワシントン・タボット子爵は卑劣極まりない貴族の恥であり……」


 これが新しい概念である劇場型裁判というものですか?

 チラリとローズ・マルバッハ男爵令嬢を見ると彼女もこちらをチラリと見ている状況、どうやら違うみたいですわね。


「前の裁判も……?」

「いいえ、今日は判決言い渡しですし……」

「なぜバカ王子が……?」

「バカ……ですね……」


 男爵令嬢目線でもバカと言い切られる王子。哀れですわね。哀れというよりなんていえばいいんでしょうか……。

 私の短い人生の語彙では表せない、私には救えぬものですわね。


「このような人間死刑一択ではないだろうか!」


「死刑ではありませんでしたの?」

「王家が茶々入れしてたので死刑だと思ってました」

「こちらで司法は生きてたのかしら……?死刑に変えるためにわざわざ来た……かもしれませんわね」


 王家としては普通はノーマンの方に出ると思うんですけど……。

 よくわかりませんわー!馬鹿の考えることなんて理解するだけ無駄ですわー!

 検察側が何かいじってますわね、折り紙?やる気が失せてますわね。

 弁護側……おにぎりを食べてますわ……無言の抗議ですわね。

 被告は真っ青ですわね。まぁそうなるでしょうね。


「このようなうら若き乙女から財産を奪い取る計画は死刑しかありえない!」


「その程度で死刑と言うなら私のときに罰しろよバカ王子……(ボソッ)」

「……」


 ローズも怒り心頭ですわね。まぁ借金踏み倒しに慰謝料請求は計画ではなく実行した上でですからね、阻止したとはいえそれで罰せられたわけではありませんし。

 平民から財産を奪う計画を考えただけで死刑にするために第2王子が判決言い渡しにやってきて死刑にしろと喚くのは呆れる以外には反応できないですわね。


 しかも今日あった裁判は建前上は超法規的措置を悪用、使用による国家への反乱なのにそちらには出席せず、謀反人の死刑も見ずにこのくだらない演説。

 申し訳無さで行かなかったとかではなく、こっちを優先したか心の底から興味がなくていかなくてもいいと思ってたんでしょうね。

 流石にノーマンに同情しますわ。

 使い潰すどころか使い捨ての紙で手を拭いて捨てただけで存在を忘れるようなものですもの、汚れたハンカチ程度の扱いはあると思ってましたわ。


 傍聴人含めここにいる人間は皆が蝋人形で作ったように表情は変わらず証言台のピエロを見つめている。

 ここは最悪の遊園地ですわね。ピエロが一人芝居をしてこんなに面白くないのは逆に素晴らしいですわ。

 宮廷道化師っているでしょう?この国では王子が兼任してたのですわ。

 たちが悪いですわね……。住んでる側からしたら笑えないことこの上ないですわ。


「間違いなく死刑になると確信している!」


「普通は傍聴人に訴えかけませんわよね?」

「はい」


 やはり普通ではないですわね、これくらいの裁判だとやり方が違うかと思いましたけどやはり変なのですわね。


「では裁判長!裁判を始めて欲しい!」


 始まってなかったんですの!?


「私は刑場で待ってるぞ、公開処刑用なら私にいえば良い。空きがあるからな」


 清々しいほどのクズですわねぇ……クズとクズが合わさり最強に見えますわ、あのバカ王子も刑場に消えてくれれば万々歳なのですけどね。


 ノーマン公開処刑にしないのにこっちを公開処刑にしたら流石に騒がれますわよ?わかってないか……。

 どうしましょう?


「主文、ワシントン・タボット子爵を公開処刑に処す」


「屈しましたわね」

「まぁ損はないですし……そもそも判決言い渡しで終わりですし」


 ただ傍聴人からは軽蔑の視線が突き刺さってますわね。

 裁判長誰でしたかしら?

 そもそもノーマンといいタボット子爵といい死刑案件で単独審なのはどうなんでしょうね?

 まぁ、どうでもいいですわー!王家の威信が勝手に落ちるだけならワタクシたちにとって得があるだけ、勝手に自滅する相手にはありがとうございますわとでも言っておけばいいんですの!


「公開処刑は直ちに実行される、えーと……」


「詰まりましたわね」

「元は死刑でも公開処刑でもなかったんでしょうね」

「まぁ木端案件担当するくらいの人間ですしそう頭の回転は早くないのでしょう、行きましょうかローズ」

「はい、エリー様」


 なんでしょうね、流行りの戯曲を見に行ったらたまたま主演が休んでる日で出来が悪かった日みたいな……なんか損した気分を味わいましたわ。


 ふと、王都の広場を見ると処刑台の上で仁王立ちする第2王子の姿が。

 この後バカ王子が処刑されるのかしら?どちらかといえば処刑される側ですわよ、その立ち位置。そこまで押さえるなら裁判長に王都広場の公開処刑場が空いてるくらい気を使ってあげればよろしかったですのに……。

 そんな気遣いができるのならこうなってないですわね、詮無きことですわ。


「あのまま王子が処刑されればいいですのに」

「はい」


 貴族からの支持はもうダメでしょうね……。

 ワタクシたちが手を回すよりもひどいことになってる辺り静観してたら勝手に終わったかもしれませんわ。

 余計なことをしましたわね。


 やはり教育はちゃんとしないとダメですわねぇ……まぁ事故死は想定外ですからね、せめて最低限取り繕えばよろしかったんですわ。まぁ愚王では無理でしょう。

 だから皆は王太子に期待してたのですわ、生きていたらワタクシはどう立ち回ったのかしら?

 現状別に立ち回ることもないんですけど、最近は勝手に落ちてますから。


 策謀の準備の時点で勝手に落とし穴を掘って自分で落ちて文句を言われる状態ですしね。

 これ貴族側への工作どうなってるのかしら?お父様なら抜かりないでしょうけど。

傍聴人A「今日の演劇は主演がウザかった、10点。劇として最低の出来。見どころがない」

傍聴人B「容疑にパンチ力がない、30点」

傍聴人C「死刑はいい出来だったと思います、主演俳優も殺してくれたら高評価に直したいです、45点(死刑40点)」

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