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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
王太女就任ですわー!

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361/561

いらっしゃいませ、リューネブルク女侯爵

「ワクワクですわー!」

「まぁ一応このバルコニー王族専用っすからね」

「自分が偉くなったみたいですわね」

「公爵令嬢は十分偉いっすよ」

「そこまで感じたことはないですわ」

「そうっすか」


 なんですのその……はよ、だれか来いよ、めんどくさいなみたいな態度は。


「来たでー」

「こっちは上々、そっちは?(小声)」

「万全ですわー!」

「の割には計画と違うやん」

「上方修正ですわ!」

「本当か?(小声)」

「本当っすね」


 商人は疑い深いですわね!まぁ、仕方ないといえば?仕方ないかも知れませんけど。

 ジーナももう仕事終わったんですの?早いですわね。

 そして後ろの方は……。


「正式にお目にかかるのははじめましてかも知れませんわね、マチルダ・リューネブルクでございます。女侯爵家当主を務めております」

「これはご丁寧に。エリーゼ・ライヒベルクですわ。公爵家の令嬢を務めさせていただきますわ」

「務めるですか……確かに私としては舞台で見るほうが多いので務めるとつけない方が違和感がありますね」

「おや、何を?」

「王弟を失落させる劇で」

「ああ、ブロンテ先生の作品を脚本にしたものですわね」

「ええ、素晴らしい劇でしたわ」


 なかなか大物を釣れて……連れてきましたわねぇ。

 アピールになるから大変優秀ですわね。


「典礼大臣に観劇されたととは思いませんでしたわ。一部は粗が目立ったと不安なんですけど」

「まさか、脚本のほうが優秀な王族であるところがリアリティがないですが。第1王子殿下が生きていて他の王族があのレベルなら違和感もないでしょう?」

「そう言われるとありがたい話ですわね。典礼大臣に脚本修正を頼むわけにもいきませんので」

「もしも王太女就任演劇があるのであれば監修はさせていただきますわ」

「ええ、典礼大臣に頼むのは心苦しいですが」

「いえいえ、王太女殿下の演劇の助けになるのであれば劇の出来次第では市民の溜飲を下げることにも役立ちましょう。大臣として働けること誠に喜ばしく……」

「ええ、大臣としてよろしくお願いたしますわ。典礼大臣としていきなり王太子の儀を指揮するのは大変かもしれませんが」

「いえいえ、1年前にも同じことをしましたので、準備自体は問題ありません。今からロンドニに馬車で向かっても可能です。馬で単騎駆けでもされたら間に合いませんが」

「あらあら、ワタクシそこまでお転婆ではなくってよ?先代王太子妃のアーデルハイドではあるまいし」

「…………おしとやかな王太女様で我々も仕事がしやすくて助かります」


 まぁ、典礼大臣は続行ですわね。

 マッサージ師のキャシーとしても助かりましたしね。


「王家として先代王太子妃の葬儀も挙げねばなりませんし、1年もずれ込むなんて亡くなってもお転婆なことで困りますわね」

「ええ、まったく……」


 そういうとリューネブルク女侯爵は案内役のレズリー家のものへ数枚の紙を出した後でその中から一枚の紙を渡した。


「失礼。仕事のことで、これを典礼担当者に」

「はっ……」


 こっちとクラウを見るレズリー家のもの。

 いいんじゃないですの?クラウは?


「直ちに向かいなさい。ここは私がいるから暗殺者が来ても問題ないわ」


 あ、クラウも一応令嬢になるんですのね?

 言われれば失礼しますと言って去っていくレズリー家の部下。色々大変そうね。

 頑張ってくださいまし。


「夫へのラブレターですわ」

「大事なことです、夫婦は政略結婚であればあるほど恋愛以上に慈しむことがあるのですから。恋愛結婚だと勝手に慈しみ合うものです、それができないのなら恋愛結婚ではないでしょうしね」

「夫に仕事を渡して頑張らせるのも愛の形といえましょう」


 アーデルハイドの国葬もワタクシが言い出すと思って予定してたということですわね。枚数的にいくつか考えていたみたいですけど。

 ワタクシが何を提案することを想定してたのかは気になるところですわね。


「国葬はいつ行う予定でしょうか?予算をいただければ1月以内には実行できますが」

「そうですわね、戦勝記念と同時に行ってみようかと思います。慶事と合わせたほうが悲しみも癒えるでしょう?」

「と、いうことは北方戦争ですか?」

「いいえ、北方は万全ですわ。何事も起こりませんし、起こりえません」

「なるほど、蛮族に対する手は完璧ですか」

「ええ、完璧ですわ」


 だってもう全土平定終わってるでしょうし。

 ごく僅かな緩衝地を落としても問題はない状態ですしね。あとは野となれ山となれと丸投げしても大丈夫。


「ではどちらへ?今回のことで反逆するであろう貴族ですか?大したことはないとは思いますが……」

「そこまでの気概がある貴族がおりますの?今の王家に対してそこまでする家が?」

「木っ端貴族くらいはいるかと思います。第2王子殿下に侍る小物の実家あたりは現実が見えていない可能性があります」

「ああ、大丈夫ですわ。そっちのほうは家を監視しておりますの、ついでに王宮にいるものは動いたら処分するように言いくるめてありますわ」

「ほう、手のものでしょうか?」

「いいえ、近衛騎士団が討ち取るでしょう」

「なるほど、いつもより多いとは思いましたがそこまでやっていましたか。いやお見事な手際です」

「空き部屋には詰めた人間がいますしね」

「……なるほど」


 レズリー家にしろ、哀れな性癖持ちにしろね。

ジーナ「取り繕ってやんの(小声)」

シャーリー「やめーや(小声)」

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