冷静に考えるとろくでもない人間が上にいますわね
「いや、どうやってあれほどの腕を身につけたのか」
「ワタクシが教えましたわ」
「えっ……?なるほど」
やはり理解力が高いですわね。
貴族とは元来こうでなくてはいけませんからね、決して自分の色恋優先で血筋に問題あるとわかってもバレなきゃいいんだよとねじ伏せるような脳内恋愛一色バカ王子や、そもそも責務をは垂らさず平民に手を出しまくったり料理や商館や娼館でお金を払わずむしろ名誉とか公言する食欲と傲慢と陰茎の擬人化みたいな王子や、艦z値に折れて公爵家に対する嫌がらせを繰り広げて恋愛バカ応じに事実上政治的に押込されたり、軍政しか出来ないのに軍の実戦運営に口を出して不和を招いて軍務省と王国軍をセルフで切り離したり、近衛兵の地位を勘違いして横暴を働いた挙げ句その罪を外にいる騎士団に押し付けようとして資料をすべて残していたほど間抜けで王太子の儀の警備すらできない無能や、検察としてまともに働かないどころか癒着してガバガバな運用であっさり平民にまで落とされ絶家にされるアホや、蛮族を支援してもその後ノープランで防衛方針すら決めていなかった無能外交官、王妃をはらませて王家の血筋ごとぶっ壊す御三家令息、善意で人体実験した挙げ句自分お毒で死ぬバカ医者伯爵、婚約破棄を先んじた挙げ句理由のわからない請求をしてやり返され平民から金を巻き上げようとして公開処刑されるアホ子爵なんて国家に不要ですわ。
能力に問題なくても息子がバカだったり、教育に問題ある家もちらほら。
なんですのこの国?あれ?冷静に考えたらこれ武力でひっくり返した後でそれぞれ罪列挙しても行けたんじゃ…………。
ま、まぁ?物言いがない方が楽だから良いんですわよね?
当初の予定よりも5年早いんですし……。流石に一個づつ崩したから尻尾出したわけですしね、それにリッパー男爵家回りは把握できたか怪しいし大丈夫でしょう。
「キサルピナ騎士長は公爵領でしたよね?つまり公爵家の護衛が万全……」
「いや、ワタクシ一人で十分だからですわ。だからワタクシの周辺はあえて隙だらけにしてますわ、暗殺者がワタクシの部屋まで来たことはそうはないですけど」
「自分を撒き餌にしたのですか」
「大物を釣るにはいい餌が必要ですからね、キサルピナが物理的にいない程度でかかってくるほど軽い頭ならそこそこのものは釣れると思いましたけど。ついぞリッパー男爵家は釣れませんでしたわね」
まぁそもそも詳しく知ったの昨日くらいだから特に気にしてませんでいたけど。ぶっちゃけ体が鈍るからそれくらい緩くしておこうという思いもないわけではないんですの。キサルピナがいた頃は一緒に手合わせしておけば良かったんですけどね。
まぁ……ワタクシの騎士団自体が蛮族で構成されているから手合わせ自体はできるんですけど物足りないですからね。なんか手合わせと聞くと急に用事ができるし。
実戦じゃないワタクシはそこまで強くはないと思うんですけど、やっぱり死なない安心感が慢心を呼ぶからちょっとキレが悪くなるんですわよね。
その心構えでアーデルハイドやアンとかマーグを相手にすると普通に負けますしね。マーグは特に同じ土俵だと負けるから実戦じゃないとワタクシが勝つことは無理でしょうね。絶対手の内に入らないとか色々神経使いますしね。
ルール無用の実戦ならワタクシが多分最強、多分!
「まさか、リッパー男爵家の暗殺者は今や私ひとり。勝てない勝負をする暗殺者はただの自殺志願者ですね」
「もし国王から命じられたらどうしましたの?」
「……拒否一択ですね」
今の間は考えたのか、あるいは命じられたけど拒否したかのどっちかでしょうね。
まぁどっちでも良いですわ、寝返ったと見せて油断を誘いワタクシを殺しに来るのならばそれはそれでよし。受けて立ちますわ。
なんかそんな気配を感じませんけど一流の暗殺者にして貴族らしい貴族ですからね。気は抜けませんわ。
「さて、それでは私は会議場でエリーゼ・ライヒベルク公爵令嬢の王太女への支持を表明すればよろしいのですね?」
「ええ、クラウとピアといっしょにお願いいたしますわ」
「ではピアを呼んでこないといけませんね。パドはどこに?」
「丁重に隔離中っすよ」
「っす……?」
よく考えたらクラウのこの口調しらないって相当珍しい部類ですわね。確かに使い分けてるらしいですけどリッパー男爵家が掴んでないとは思えないんですけど。
…………いや、この情報を知ったところで何位も使えませんわね。報告されたところで困りますわ。ワタクシでもあ、そうとしか言えませんし……。
先程のドライな言動と言い全く使わない情報は勝ちがないとして切り捨ててるのでしょうね。ということは彼が知っている覚えている情報こそがかなり貴重な話ですわ。
先程の祖父のようにという匂わせ、いや事実報告?どちらにせよ言動に気を配らなければなりませんわ。
「呼び戻したっす……ましたわ」
流石に厳しいと思いますわよ?
「ところで王太女後の体制はどうなるのですか」
おっと?どうやらそれはそれこれはこれとして協力するのであればそれなりのものをというわけですわね。
「流石に王宮部署の復活はなりませんわ。役立たずでしたし、ワタクシのような小娘一人殺せぬ組織に何の価値がありますの?」
「え?なぜ王宮部署を?」
「……リッパー男爵は監督官に戻りたいのではなくって?」
「え?私ですか?なぜ?……ああ、それは終わった話です。私はそのような職はいりませんね」
あれ?何を求めてますの?子爵位?でも彼で断絶は見えてますしね。ピアにつなげということかしら?
ジャック「(王宮医師団の筆頭医師の地位は守れるよな?)」
エリー「(何を求めているのかしら?)」




