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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
王太女就任ですわー!

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出番ですわー!

「誇らしい勲章がいずれあなたを圧迫するでしょう、世界の謎を知ってもあなたは何も知らないでしょう、欲しいものすべてを手に入れても本当に求めたものは手に入らないでしょう。……あなたには何も見えてないないでしょう」

「なんすかそれ?」

「さぁ?唐突に思い出しただけですわ。私達の友人の言葉を」

「私達、っすか」


 ワタクシが本当に求めたものは手に入らないのかしら?たしかに本当に求めているかと言われれば王位も国家も違うと言い切れますけど。

 ワタクシに言われた言葉ではなかったけどなぜだか時々ワタクシに言われたような気分になるんですの。

 不思議ですわね。


「一ヶ月迷宮を歩き回ってるような気分ですわね」

「気の所為っすよ、少しだけ目撃を避けて遠回りしただけっすからね」

「そうですの?ひどい回り道の気分ですけど」

「急かしすぎっすよ」

「急がなければいけない理由もあるんですけどね、じゃ突きつけに行きましょうか」

「ピアはいいっすか?」

「聞かせるほど野暮ではなくってよ?察しはついていようが何でもするべきではないことはすべきでない」

「感傷的っすね、アーデルハイドの言葉を使うなんて」

「完勝的?まぁ圧勝できるでしょうけど」

「…………ふ」

「オーッホッホッホッゲホッ」

「慣れない真似するからですよ」

「なれる慣れないでやるもんでもないと思いますけどね、さ……やりましょう」


 さて、なんか昔来たような記憶がありますわね?マッサージ師としてではなくもっと前。そうあのときもこんな感じで裏口から兵を入れて……。


「失礼しますわー!」

「医務室は一個隣っす」

「…………」

「…………」

「予習ですわ」

「いるんすか?」

「……………………」

「……………………」


 これはあれですわ、クラウの緊張を解きほぐそうという私なりのあれですわ。

 本人は気がついてないけど緊張してたからですわ。

 いやー緊張がはほぐせてよかったですわー!


「………………」


 あー感謝は求めてないから、いいんですのよ?こうして道化を演じることも大事なんですの。

 いい役者は主役を貼れば良いわけではないんですの、稀代の悪役も稀代の道化も演じて心から憎まれ、心から馬鹿にされる必要もあるんですわ。

 いいですこと?本気の演技だと錯覚されてこそ一流の女優というもの。

 だからその蔑むような呆れるような目線はワタクシへの称賛ですわ。


「隣っすよ?」


 わかってますわよ!

 ここでしょう!

 ほーらガチャリと…………本当にあってますわよね?


「あってるっすよ」


 よし!


「遅れましたわー!ワタクシこそが公爵令嬢エリーゼ・ライヒベルク!爵位はいっぱいあるから個人の地位はどうでもいいですわね!しいていうならこのあと王太女になりますわー!よろしくお願いいたしますわ!」


 あーらあらあら!そんな唖然としてしまってどうしたのかしら!

 まるで葬式の後みたいじゃありませんの!この王国の葬式はこの後ですわ!ワタクシが正式な王太女になったその時ですからね!


「恥かいて勢いで乗り切ろうとしてる(小声)」


 はー!?違いますわよ!?誰にそれをする必要があるんですの!?全く困ったクラウですわね!ぷんすかですわ!


「ジャック・リッパー男爵ですわね?お人払いをお願いいたしますわ。バンサ伯爵家についていくつか聞きたいことがありますの、いえ伝えたいことかしら?」


 決まったわ!これで決まりですわ!


「そ、そうはおっしゃいましても。そもそもエリーゼ嬢は登城禁止では……?」

「禁止ではありませんわ!ちょっと登城要請をするうと今忙しいという理由で拒否され続けただけですわ!正式にそんなものはでていませんわ!そもそもちゃんと入っていいか聞いたから関係ありませんわ、こんなメイドもいない廃城まっしぐらの城」

「誰が許可を……?」

「お父様と宰相閣下とその他大臣」

「…………まいりましたね、パド外してくれるか?」

「お、おい……」

「元貴族とはいえ家の秘密を聞かせるかどうかは別でしてよ?パド家令、バンサ伯爵家の秘密でも聞きたいのかしら?それともリッパー男爵家?聞けばリッパー男爵は殺さざるをえないのではなくって?」

「…………」

「本当にまずい秘密なのか……?」

「何を握られてるかによるな」

「……そうか」


 まぁ、大抵こう言えばどこの貴族家も後ろ暗いことがあるから怯えるものですわ。

 私知ってるわよと言えば勝手に怯えるのが男とお母様も言ってますからね。

 まぁ覚えがなくても怯えるのだから可愛いものだと言ってましたけどね。


「では私は……」

「ピアのところへご案内いたしますわ、パド家令。最もすれ違いになるかもしれませんが……」

「シャディさん……?」

「クラウディア・レズリーと申します。この姿でのご挨拶は初めてでしたね?違いましたか?」

「………………そうですか、なるほど……そういうことでしたか」

「左手廊下の突き当りにいるレズリー家のものがご案内いたします、どうぞごゆるりと向かってくださいませ」


 令嬢モードのクラウってなんか違和感がある時ありますわね。まぁ初めてあったときはもっとあれだったし別にいいでしょう。

 そのへんが気に入らなくてアーデルハイドと絡みに……そういえばアーデルハイドとは顔見知りだったような気がしますわね。


「……そうか、レズリー家はそう……そうか」


 なんか納得したみたいで指示されたとおりに歩いていくパド家令。

 なんか老けました?

ララ「私の気分わかった?」

エリー「……」

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