王国行政の混乱
宰相の監禁、各大臣捕縛、司法大臣子息も死刑確定状態。
レズリー大臣以外は全員拘束済み、まぁレズリー大臣はどうやっても無関係だからな。就任直後に我が公爵領で色々とやっている。
正直、王国の諜報部を司るレズリー家を招きたくはないんだが……娘が好き勝手にやっているから仕方がない。
思えばあの娘を理解できたことはなかった……。
第1王子の婚約者を目指したと思ったら急にかなぐり捨ててその座を降りたり、第1王子の新しい婚約者候補と仲良くなり派閥を作り上げたと思ったら蛮族共を手なづける計画を立て実践していると事後報告をされた。
パッとしないが最低限の能力があるベルク叔父を使って好き勝手やってると思ったら山にトンネルを作って蛮族を攻め始めた。
武力、経済封鎖、放火に遺体投げ込みに畑に塩を撒くとやりたい放題の報告書を見せてきたときにはどうしたものかと思った。
蛮族にやられたことかと思ったら蛮族にしたこととはな。
蛮族側の物品を高い金で売払い、金と利益で公爵派閥を黙らせ北方の女王に君臨した。
王都は私が、領都は娘が、外国は妻がと好き勝手にやっている。あれは妻の血かな?
かと思えば北方組合を粛清してベルク叔父や派閥の貴族を一挙に大粛清した。
貸付金の返済拒否を理由に爵位を取り上げたのは王家に対する反逆だが……。
そもそも爵位すら担保にしてるほうが悪い、家ごと巻き上げた金額は莫大で何に使うのか恐ろしいくらいだ。
どうせ教えてくれない、反抗期か?
買付の記録やら軍の移動の提出を止めるときはまだ教えてくれたんだがな。
まぁあれだけ爵位を所有してるんだもうどうとでもできるからな、宰相から爵位の件で色々言われたが担保にすること自体は認められてるし……なら代わりに払えと言ったら黙ったしいいだろう。
爵位は認めないとか言い続け、判例を出して認めさせようとしたら司法大臣が次代は認められない事例が多いと水を指してきたが……まぁ、彼もこれで終わりだな。
「内務大臣、ブランケット外務大臣が近々帰国なさるようですが……」
ブランケット侯爵も娘が王太子妃になる寸前であの事故だからな、宰相から遠ざけられてだいたい国外に訪問させられている。
私が宰相になったら内務大臣をやってもらいたいところだな。
まぁ……エリーが宰相の娘を宰相に付けるくらいはしてきそうな気がする。
うまく辞任に持ち込めれば反公爵派閥が持ち上げるだろうな。エリーとの仲を割いてうまくやれると思ってるみたいだが、多分無理だろう。
そもそも、宰相があの数以外使い道もないバカどもを放置してるのは尻尾切りに使うためで、私が見逃してるのもバカは動きがわかりやすいからだ。
この期に及んで宰相がこの件を仕切ってると本気で思ってるあたりバカはバカでしかない。
「そうか、帰国したら仕事がいっぱいだな。励ましておいてくれ」
「…………励ましですか?」
「そう、励まし。大臣職があいてるからな、いや、空くからな」
「はい」
そもそも学院で何が起こってるんだ?エリーに任せすぎたか?今夜聞いてみようかな……?
バカ王子はまぁいい、なんで2度もあんなバカに騙されるんだ?失敗した実例がいるのに。
仮にも司法大臣子息が超法規的措置に関しての知識もなくちらつかせてるし、仮にあってもそんなこと周りに言わないだろう。
エリーがうまくやったか?子息はともかく司法大臣は中立だったが……何か敵対行為があったか?
私以外は全員監禁されている今はやりたい放題だな。
仕事がやりたい放題だ、全くなんて量だ……。職務とは違うが、国王が超法規的措置の行使を認めてくれれば話は早い。
いきなり斬り殺しても流石に問題にならんわ。
この辺は騎士団と近衛騎士団を手中に収めたエリーの手腕だな。
自分を守り固める存在が既に自分の手を離れているとは思ってはいないだろう。
だから我々は第1王子に賭けたんだがな、エリーも様子見に徹したし……どっちもバカ王子だったらもっと早く事を起こしていただろう。
第1王子とアーデルハイド嬢が亡くなってこの国を見限り1年でここまでか……2人が生きてたらどうなったんだろうな?
「監禁中の司法大臣からこちらを」
「ノーマン・モンタギューへの訴状か、息子を殺すことを選んだか……」
「こちらも」
「第2王子が職員を黙らせた証言か……これは正式に証言させればいけるな。持ち出した書類、現状ではもう突けなくなってる無意味なものだな。被害者側の我々が実物を見せられる前に文句を言われるとは呆れる他ないが……では王の元へいくとしよう」
あの愚物のな。
「ただいま、エリー。学院では何が起きてるんだ?」
「知りませんわ……」
「そうか……」
まだ明かせないか。ポート軍務大臣子息に手こずることでもあるのか?相当出来が悪いらしいが。
「それで、超法規的措置とやらはどうなりましたの?」
「第2王子に関する証言を出したら第2王子が出したと言ったよ、そんな権利はないし継承権を放棄しろと言ったらだんまりだ。自分が出したと言ったら死ぬことくらいはわかってるようだな」
「第2王子に押し付けてその後どうするつもりかしら」
「王の考えることなぞ知らんよ」
そう言うとエリーは呆れたようで馬鹿らしいですわーと部屋に戻ってしまった。もっと家族的な会話をしたいんだがね。
「そういえば、大臣達と家族はもうしばらく軟禁されるぞ。なにかやるなら先にやっておいたほうがいいんじゃないかな?」
「あら?まだですの?いつくらいまで?」
「王が決断を出すまでだ」
「皆行き遅れてしまいますわー!」
まぁそうかもな。宰相も監禁されてるしな。一応は事情聴取中だが我が家の派閥が固めてるからでられんよ。
国王陛下が明日どんな判断を下すか楽しみなことだね。
「お茶会のメンツが集まりませんわー……お父様?そういえばこんな物がありましたわ、お好きなように」
「ああ、わかった」
中身を見ると各官僚の不正の証拠の数々、北方組合と付き合いがあった家のものとベルク商会と関係があったもののようだな。
組合も商会なき今はバーゼル山脈の蛮族に支援した名目で潰すか、大臣も職務不可能状態だしな、第2王子の証言と被ってる人間がいないのは幸か不幸か。
宰相の手足をもぎにいくか。
公爵「え?この仕事全部私がやるの!?」




