老人と誤算まみれの日々
それから数日、墓参りが終わったピアが帰ってきた。
そう言えば行かせてたな……。
「無職になるかと思いました。同僚が消えてるし何がなんだか。パド家令からメイドに配置転換になってよかったです」
「危ないところだったな」
「ジャックさんが墓参りを進めてくれたおかげです。いや本当に危ないところでした。行ったほうが良いと自分でも思っていましたが……」
まさかこんなことになるとは暗殺未遂翌日にもう事を起こすなんて公爵は相当な武闘派だ。先代も先々代もそうだが流石に暗殺という手段は放棄するだろう。
公爵も公爵令嬢も殺せないどころか無傷で全滅ではな……。
しばらくフリードリヒと会うのが多いから遠ざけたかっただけなんだが……。
こんなの読めるわけがないだろう。
公爵父娘暗殺未遂発表と王宮部署の解体はずらされるな。
むしろまだ暗殺未遂の方は実際の事件より前にあったことになっている。政治的賜物だろう。子供を使って襲撃とは公爵家も大概問題があるがキサルピナ嬢が本命ならそんなものか。逃がしさえしなければただの追いかけっこだ。
王宮自体が包囲されてたのかもしれん、それで令嬢でも人質に取ればこれ幸いと王城ごと攻めたかもしれないな。
なんにせよ、この騒動で各省大臣室が王宮部分から離れた。省庁掃除課は始動し、各省庁のはいる。もっとも各省庁の警備課はレズリー家が抑えている。妥協の産物、というよりは王家の、フリードリヒの歩み寄りだろう。前とは違う、次代に期待してくれという感じか。
間をおかずに第1王子政務代行を正式に発表した。
国王陛下は少し休んだほうが良いからな、しかし皮肉なことにフリードリヒが働けば働くほどジョージ殿下を思い出すのか自分おこではないという事を認識させられているらしい。
本当はジョージ殿下ですらないと知ったら憤死するのではないだろうか。気がついてまだジョージ殿下のほうがマシと芽を晒しているのか、再調査をしてはいなそうではあるがフリードリヒが嗅ぎつけた当たりどうなのか。
件の公爵令嬢が茶会で活躍しているらしいがまぁどうでも良かろう。私が知っているのはライヒベルク公爵令嬢とブランケット侯爵令嬢の仲が睦まじく事実上の派閥化していることくらいだ。
この関係で派閥化するのか?どっちの手腕かわからんが大したものだ。
フリードリヒは惚気しか話さないから実情がわからない。
「──というわけでアーデルハイドはとても可愛くて。さすが未来の私のお嫁さんというべきですね。ああそうだ近々蛮族領出兵で敬承の形を付けます。すでに働きかけていますからね。私の出兵の間省庁掃除課の指揮をお任せします。ワイトもこの前のロバツ間諜を10人自白させたことでお祖父様におまかせするべきであると推薦しましたからね。彼から推薦させる方に持ってくの大変でしたよ。頑固ですからね」
珍しくそんなことをいうものだからなるほどと言いつつ内心は驚いていた。
今更何ができるのかと。だが孫のために働くのも悪くはない。
この次期少し前向きになったのはピアのこともあったからだろう。
そしてパドとピアの食事の会話で私が父親としてすべきことをしていないことを見せつけられていくのもそうだ。でも私の父上もやっていなかったぞと言いたいが兄上にはやってたんだよなと少し傷つきつつ後ろ暗さを捨てて頑張っていた。
「軍務省も司法省も協力者だ。父上の威光を借りたが……ああこの父上は国王陛下ですよお祖父様」
「わかっている。そう気を使わなくて良い……軍務省燃えてないか……?」
「へ?何をおっしゃいますお祖父様。軍人が火の管理を誤るなど……えぇ?」
窓の外で燃える軍務省を見つけポカンとした私達は永劫とも思える時間をレを眺めていた。本来であれば政務代行をしているフリードリヒは直ちに戻らねばならないが流石に意味がわからなかったのか呆然と2人して炎上する軍務省を眺めていた。
我々の横側を見れたらさぞそっくりであっただろうな。
我々が再起動したのは司法省が炎上したのを見た時だった。流石にこれはおかしい、2つも一度に燃えるわけがない。
反乱か?誰が?何のために?公爵家?絶対にないな。友人を見ればあんな事をせずとも……そもそも司法省なんてあんまり意味がないだろう。
「失礼!戻ります!またご連絡します!掃除課の臨時指揮をお願いいたします!攻められたとしたらです」
「ああ!行け!掃除課へ向かう!」
向かう最中ワイトに会い指揮権を引き継いだことを話すとそれは今ではないと一蹴されたが軍務省と司法省が炎上してると告げると顔面を蒼白にして走り出し見晴らしの良い部屋の鍵を開け、カーテンを開けた瞬間萌がある二省の建物を見て崩れ落ちた。
「なんだこれは……これでは計画が水の泡だ……」
「ワイト王宮家令!いやワイト第1王子侍従長!私がダメなら君が指揮を取れ!早く!王城の守備をしろ、私が王城正門前に行く!時間を稼ぐ間に動かせ!キサルピナ騎士長レベルでなければ少しはあしらえる!」
「あ、ああ……頼む。わ、私は掃除課へ、そうだ正門に問題がなかったら君が指揮を私はその旨通達しないと。掃除課は今数人いるはずだ」
我々の大騒ぎをよそにライヒベルク公爵令嬢が二省を焼いた。ブランケット侯爵令嬢が謀反員を捕らえたと情報が錯綜し。なんやかんやで数日後ブランケット侯爵令嬢が婚約者に内定した。
エリー「なんでワタクシが全責任を……?」




