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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
老人の回顧録、あるいは内側の真実

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老人と軍部の崩壊

 新しい近衛騎士団長は無能以下であったと知るのはそう長くもなかった。

 騎士団と近衛騎士団の対立が深まったのだ。

 本来であれば王族守護の近衛騎士団と騎士団の役割は分かれており、地味ではあるが事件調査など様々なことに指揮権を持つ騎士団は王城の通常警護などの役割を果たしていた。しかしなにを言ったのか騎士団は詰め所を平民街に移動し、我々が守るのは平民でしょう、王族王城護衛は近衛騎士団が務めるとのことですのでと出ていってしまった。

 ウィリアム国王が侮られるだろうと大方の貴族は予想したが口だけは美味かったのか栄えある近衛騎士団がすべて担当する、騎士団は国王より平民を守りたいようだ、反国王派であると捨て台詞を言いように解釈したらしい。

 ここで呼び出して詰問でもすれば近衛騎士団の横暴がわかったかもしれないがどうやら新国王陛下は私の中間通り馬鹿で使いやすい方が良いからおいておこうと判断したようだ。切り捨てやすいだろうが切り捨てるにしても使いづらい道具など無用の長物だと思うのだが……。

 シャハトがなにかしたのだろうか?


 そのようなことを思っているとシャハトがまたもやらかしたのか、公爵領で変事があったらしい。

 なんでも公爵家の令嬢が死にかけるほどの事態だとか……。

 公爵とヘス伯爵らがひどくやり合っているがシャハトは矢面に立たないらしい、いまいち人望がない理由もよく分かる。然るべき地位についていても宰相は務まらなかっただろう。我々の尻拭いで新宰相はボロボロだな。能力のある人間は大変だ。


 事態が変わったのはそんなに月日は経っていなかったと思う。急遽呼び出された私は国王陛下に報告書を見せられた。

 ヘス伯爵がおそらく公爵家に暗殺されたとのことであった。苛立つ陛下の前にどうしたことだ?と尋ねられてもわかりようがない。現地を見に行くと行ってヘス伯爵邸を見聞に言ったが全滅であった。子息は別の場所で保護されているというが王家に不利な書類でも処分しているのだろう。

 見事な暗殺術の山の中で見たヘス伯爵の遺体は首を跳ねられワインを掛けられ辱められてるようにも見えたがワインに塗れた顔を拭けばその皮膚には毒物の反応があった。

 ワインの瓶にグラス、グラスは高級ワインらしいがそこまで詳しくはない。ただ首にかけられていたものとは違うものだ。

 どうやら彼は貴族として敬意を持って毒杯を呷ったらしい。羨ましいことだ。


 国王陛下に合えばなぜこのようなことになったと責められるが私に言われても困る。正直知ったことではないし私が公爵で能力があるならそりゃあ殺すだろう。ただ臆病な私なら証拠を残さずにやるからよほど肝が座っているか……何か理由でもあるのだろう。


「あの護衛の人数がすべて殺されているのであれば相当な数の刺客が来たか、もしくは護衛がすべて無能か、おとぎ話のような伝説の殺し屋がやったかのどれかです。証言はあるのですか?」

「ない、まったくない。だが公爵家を匂わせるものはあるし……リッパー男爵ならできるか?」

「不可能ですね、寝ているところを殺された人間はいません。普通は悲鳴を上げますし、そうすれば護衛もでます。部屋で一律襲撃され死ぬことなぞそうはないでしょう。ゲーリング子爵もついでのように殺されてましたし」

「公爵家を裏切ったからだろう」

「ならヘス伯爵より惨たらしく殺すと思います、たまたま死んだだけなのではないでしょうか?」

「やつが追跡されたという話もあるが……」

「少なくともヘス伯爵の遺体は報告にあるとおりですが毒殺でしたね、毒物の種類はおそらくですが即効性のものです。死斑と毒物反応を考えると苦しむことはなかったかと。遺体の状況だけだと酷いものですが実際に現場を見るとそうでもありませんでした。高いワインを飲んだようですしおそらくは安物のワインを掛けられたと言っても飲んだものはそれなりのものだったと思います」


 まぁだからといってなにかが解決するとは思えないが。


「それは何か意味があるのか……?」


 陛下は怪訝な顔をして尋ねてくるがそれは私の仕事ではないだろう。だが答えなければそれはそれでうるさいのだ。


「警告でしょう。これ以上公爵家を貶めるのであれば……」

「また……王家にか?」

「さて、次はシャハト経済・財務大臣ではないでしょうか?ヘス軍務大臣……元軍務大臣が強く出るということは予算の裏打ちがあってのことでしょう。シャハト大臣になにかあるまでは大丈夫でしょう」

「なるほどな」


 それ以降は嘘のようにシャハト大臣は大人しくなった。なんとまぁ情けのない男だ、人のことは言えないが。


 その後に私は王宮筆頭医師に任命された。おそらくヘス伯爵の暗殺関連でアルフレッド・ルーデンドルフが王国警察長官に任命された。ルーデンドルフ侯爵家も息子がこの地位では安泰だろう。

 度重なる政争に疲れ果てたのか、あるいは先代ヘス伯爵の死後に軍の統率が崩壊したのか公爵家の令嬢をフリードリヒ殿下の婚約者として内々定したのはその直後であった。ヴィルヘルム殿下の話もあったが断固として国王陛下が拒否したそうだ。和解の象徴となるのは第1王子であろうと


 色々言ってもやはり確実に自分の子どもだと信じているのはヴィルヘルム第2王子でフリードリヒ第1王子は人身御供でもよいのだろうかと私は思った。

 公爵家もどうなることかと思うが、私の知ったことではない。

 帰り際に王宮家令になれるやもしれないと言ったパドにうまくやれよと行ったことは覚えている。

 そう言えば彼は近衛騎士団のゴタゴタのときに王家家令になっていたな。近衛騎士団だけではやはり人手不足だったのだろう。

パド「近衛騎士の皆さん、ツケを払っていただけますか?」

近衛騎士「王家家令に推薦して来ますからなにとぞ帳消しに……」


近衛騎士団長「舐めやがって……」

パウエル子爵「おう友人の借金の踏み倒すなら黙っちゃいねぇぞ」

近衛騎士団長「あ、国王相談役のパウエル子爵……払わせます」


近衛騎士団長「騎士団に八つ当たりしてやる……」

騎士団「やってらんねぇよバーカ!」

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