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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
老人の回顧録、あるいは内側の真実

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老人と計画

 ハーバーはそういいつつも王家の血は途絶えることを確信しているように思えた。

 血が絶えることより王家の醜聞の方が与える影響が大きいというのはそうであろう、ハーバーが新しく嫁を取ったところで王位を継ぐ可能性はない。

 どれだけ優秀であっても次期国王はウィリアムだ。5歳でウィリアムより賢ければ可能性はあるがその場合間違いなく暗殺者を放つだろう。買収で事故死でもいい。

 そもそも……公爵家と全面対決をした場合は社交界デビューまで持たないということだ。

 すべてが悪い方に向かっている、ジョージ殿下が手を出していなければ、ジキルが手を出さなければ……もっと解決は楽だったのだ。奇跡にすがらずともそれで良かったなんのためにジョージ殿下を賜死にしたのか。ジョージ殿下がバレなければ……こうならなかった。ジョージ殿下が生きておられれば……ウィリアム殿下にもう少し能力があれば……。


「髪を見てジョージを殺したことは私の一番の失敗だと思った。報告を聞いて更にそう思った、ジキルに関する報告を見てもそう思った。愚かなる愚者から聞いて……間違っていると思った。それは父としてではなく生きていればこちらを王位にして改めて血統を残せばよかったということだと自分で気がついた時……玉座というものがつくづく嫌になった。私はいい父でもなかったし……いい国王でもなかった、数もすれば公爵家が私の首を掲げるか、息子に殺され公爵家との手打ちの材料にされるか……。なんいせよ、私は個々で死んでおかねばならん。王国を続けるにはそれしかない、ジャック……お前は奇跡を信じるか?」


 信じない、私は普通の貴族だ。教会を尊重する姿勢は見せても信心深さなんてかけらもない。


「私は信じたい、優秀であればきっとジョージの子供だ。なあ……そうだろう?」

「ジェーンの血かもしれない……」


 私の精一杯のジョークは今思ってもできが悪かった。


「ふふ、そうだな母親の血が濃いと優秀になるのかも知れない。ウィリアムは私の血が濃かったんだろう。ジョージは残念ながら私の子供だな、お前があやつ(王妃)を抱いてなければ」

「私は妻一筋です」

「だろうな、他に出入りする人間を考えても間違いなく私の子供だ。残念だな、私もそうであったらどれだけジョージを殺したことに正当性を持てるのか。それを……ああ、ダメだ。こんな事を考えているからダメなのだ。王としては私は無能なのにこのようなことしか浮かばなない、どうしてこうなった……」

「かといって酒場の前で土下座する生活はいやでしょう」

「いいや、あれは余の人生で最も有意義で生きていた時間であった。酒場の主人に土下座をして、胴元に頭を下げてツケで飲む酒は何より美味かった、周りが良かったんだろう」

「ロクデナシどもしかいませんでしたからな」

「筆頭はジャックだろう?」

「まさか?アーチボルトでは?」

「だからあいつは奥方に幽閉されるんだよ、遊びすぎだ……最後はどうなったんだろうな」


 ようやく私がハーバーの顔を、目を見たときには馬鹿騒ぎをしていた頃の彼に見えた。


「ようやく目を合わせたな。気にするな、どうあがいてもダメだったのだ。ロバツのことでしくじってからは遅いか早いかでしかないんだからな。どちらかを公爵家の令嬢と婚姻させよ。そうすれば続きはするさ……」

「不仲であったら?また……」

「大事なのは公爵令嬢だ、間男がいたところで血はつながるからどうでもよい。優秀な方を公爵家につけろ。選ぶ側ではなくこちらは選ばれる側だからな……。流石に公爵家も知らないはずだ、知っていれば暗殺者ではなく手紙を一通出すだけで事足りるのだから……。たのむ、私の死後は公爵家との和解を……婚姻を……そうすれば……せめて夢だけは見させてくれないか?公爵令嬢がどんな人間でもいいのだ、本当だ!才女でも愚物でもいい……どう育ってもいい。明日にはまたみんなを集めてこの方針を徹底させる。暗殺者への対応もその後の方針も全てだ」


 この時点ではまさか公爵令嬢があれだけとんでもない女だとは誰が思うだろうか?これならば愚物であった方がよほどマシであったであろう。能力もあるがとにかく……問題児だった。能力がありすぎたせいで問題児であっても一流の令嬢にもなれる。

 貴族をやりつつ道化師をやっていた兄を見てるかのような……。

 私が見た時の彼女はまるで人生をただの消費される劇のごとく振る舞う主演女優のような……あの公爵令嬢は……貴族を捨ててから会った兄を見てるかのような天真爛漫さを持っていた。

 高位貴族には持ち得ないだろうとも思ったが……取り巻きも同じようだった。

 まるで在りし日の我々のような……。


「公爵家は飲んでくれるのだろうか……」

「提案して無下にすることはできないだろう、私が死んだ後であればだがな」

「私はまだ君を殺すなど……」

「受けないのであれば最後に言うしかなくなるぞ?」

「これ以上言うようなことがあるのか?」


 私はこれ以上はないと思っていた、断絶で脅すかなにかだろうと。

 友人を殺すくらいなら断絶したほうがマシだという気持ちもあったし、息子も死んだ今となっては妻と市井で暮らすのだっていいと思っていた。公表できない以上は死罪も合わせては来ないだろうと。

 幸い医者としての稼ぎは貴族の時よりある、すぐに失脚したからリッパー男爵家としての稼ぎはそれより遥かに多かったのかも知れないが。

 少なくとも妻は助かるだろう。


「お前の息子を殺したのは私だ」


窓のない部屋に幽閉されるアーチボルト「……」

グウィネス「外に子供がいたら切り落とすからね?」

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