表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
答え合わせ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

281/560

折れるジョン

「バカか?」

「おっしゃるとおりです、ですが先程述べたように領地割譲は知りませんでしたので……。王国軍が健在で騎士団も万全なら……」

「あの状態の王国軍と騎士団が領地割譲の敗北を飲まされたうえで公爵家を見捨てて他王家がそれを追求して乗ると思っていたのか?」

「一応、公爵家が敗北した後で打ち合わせ通りにロバツに勝利して公爵家よりつよいと王国軍や騎士団に示す予定だったのです」

「そんなやらせを昔の近衛騎士団のようなバカどもならともかく、王国軍や騎士団が見抜けないと思っていたのか?」


 もはやクラウディア嬢の口調も違う。

 おそらくこちらが王家の諜報を司る家の次期当主としての態度なのだろう。

 私などとは比べ物にならないと諦めすら感じますね。


「そのあたりは王子がひと当てして敵派閥をロバツに処理させて手打ちにする予定だったと……」

「……それでロバツに押し切られたら?」

「…………」

「いいや、王国軍が押し切られるとは私も流石に思っていない。それは確かだが……王子もそう思っていたと?」

「……おそらく」

「なのにロバツにそのひと当てで勝つとは思っていなかったと?」

「こちらがうまく調整すると思っていたのではないでしょうか……?」

「そもそも王太子でもないバカ王子に軍の指揮権もないのに?」

「えっ?」


 そんな馬鹿な、フリードリヒ殿下は王太子になる前から大規模な出兵指揮などはなかったはずですが軍務は王子の仕事の一環で引き受けていたはず……。

 ヴィルヘルム殿下もそれができるのではないのか?


「は?……あ、そういうことっすか。ノーマンも馬鹿だけど貴方も馬鹿だ。フリードリヒは王太子になるはるか前から王太子が確定していたような王子、王の職務を代行していたんだから軍務も含まれるに決まっているだろう。普通の王子は箔付けでも任命されない。唯一の王子であるなら身の危険に置くわけがない。せいぜい盗賊狩りだ、複数いるのなら陰謀があるから迂闊に出せない。王太子であれば仕事のうちだがその分警護も厳しくなるから介入も難しくなる。そもそもよほどのことがない限り王太子は指揮官としてお飾りだ。実際の指揮は命じられた将軍か誰かが取る。貴方はまだそこまで教わる前に学院を放校されたからな。最初から王太子の目がなく、最低限の教育もされず、軍務すらまともにこなしたこともない唯一の王子が指揮官に任命されるわけがないだろう?しかもその当事者を王太子にしたい国王がそのあたりをすべて捻じ曲げて……その時点で公爵家すら破ったロバツと戦わせると思うのか?国王に話が通っていたとしてもロバツ側があっさり約定を違えてバカ王子を殺したら?王位継承は自動的に公爵家に行くぞ?どうあがいても王国軍総司令官代理であるリンジー・アレクサンダー女伯爵を命じるに決まっているだろう。公爵家に継承が移動した時点で王家の血筋を重視してる連中も公爵家の排斥に賛同しない、新しい嫁を取って子どもが生まれたとしても守りきれるかどうか……。私なら国王を害せなくても王子か新王妃を狙うが」

「つまり……?」

「最初から破綻してたってことっすね、あーあほらし……」


 張り詰めた糸をたわませるように気の抜けた呆れた口調で返したクラウディア嬢に対して私が返せる言葉はなかった。


「たぶん学院でまともに教育を受けてたら破綻してることに気がついたんじゃないっすかね?後は王子がもう少し賢かったらっすかね?12歳にしては頑張ったと思うっすよ?」


 だとしたらあなた達は何なんですか?


「目は口ほどに物を言う、か……。私達の計画は7年目っすよ?今年行き当たりばったりで計画した人間を上回るのは当然っす」

「ララ嬢はいつから仕込んでいたのです?どこで毛糸職人など……」

「フリードリヒとアーデルハイドが亡くなった後、バカ王子が王都で好き勝手してる話は?」

「王都に来たときに少しだけ聞きました、お金を踏み倒したとか、女を侍らせたとか……。まさか……」

「その侍らせてた女がララっすよ」

「愚かな、それでは最初から公爵家の手のひらの上だったのではないですか……。公爵家は平民を……ああっ!エリーゼ嬢が北部パーティーで着ていたセーターを作るほどの職人だったから!それほど重用していた平民だから近づけたのですね!?」

「………………さぁ?どの意図で選んだか知らないっすね。エリーなりに考えがあったんじゃないっすか?たぶんっすけどね」


 そうか、最初から答えは見えていたんだな。

 公爵令嬢のセーターを作るほどの職人が都合よく王都に行って王子と出会って、気に入られて側室どころか正妻になる?公爵令嬢を蹴飛ばして?

 しかも貴族学院生になって?馬鹿げている……。

 しかも件の王子にあてがう人物選定は公爵ではなくエリーゼ嬢か……。

 しかも手持ちで一番優秀な技能を持つような人材、勝負の出方が違う。


 ありえない、あり得なかった。

 なぜこうも都合がいいように……私も王子に呆れていて、適当な金目当ての平民に言い寄られてるだけだと思っていた。

 あるいは平民という建前で何処かの家の隠し子か何かだと思っていた。

 例えば公爵家とか……。


「質問4の時間っすね」


 ああ、尋問だったな。

クラウ「(やっぱこんな動きしてて公爵家無関係とかおかしいな、この平民)」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ