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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
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280/561

言い訳のジョン

「ロバツ周りの策謀はグリンド侯爵家の主導っすか?」


 は?いや、流石にそんなことはしないと思いますが……。

 身を守るのともかく蛮族側への策謀を含めてもしくじったらこちらにきますし、蛮族の派閥や族長なんかは外からだとあまりわかりませんし。


「少なくとも私は知りません!ただロバツとのつながりはあります!それは確かです!蛮族側の動向を探ったのもロバツ側とのパイプがありました!」

「で、なんでそれが使えたんっすか?元グリンド侯爵子息」

「王子の署名入りの手紙です!対応した人間にグリンド侯爵家時代に顔を知られていたので……行動のため追放されたことにして誤魔化しました!」

「へぇ……ロバツは信じたんすか?」

「疑ってはいましたが王子の名前を出したら信用していました!」

「なんで王子の名前で信用したんっすか?あのバカ王子っすよ?」


 その言い方では反論はできない。

 だが違う!あえてそちらに触れてないだけでクラウディア嬢は私を揺さぶっている!


「待ってください!ロバツは王子を利用しようとしていたのです!それを我々が利用しようと、互いに利用し合っていたのです!外交とはそういうものでしょう!」

「へぇ?でもあなたの発言が正しいなら領土割譲もないのにどうしてロバツが利用するつもりだったんすか?それに乗ったところで蛮族が動いても公爵家を倒せるか、この戦いロバツが負けたらどうする予定だったんすか?前の戦争も馬鹿な貴族が失敗をしたせいでロバツを滅ぼせなかったのにそのリスクを背負うんすか?」

「…………えーと……」


 たしかに都合が良すぎる。

 平民になって必死に交渉をしていたが……なぜロバツがここまで乗った?交渉担当はきちんと正式な書面を持ってきた。

 あのときは領土割譲なんて話は……勝手に自分からポート子息らが下手になって売り込んだ?なぜ?独断?王子がそうせよが訴えたとしてもその分の見返りが本当に婚姻だけなのか?

 そうだ!王家が公爵家が負けた後で抑え込む計画は、そもそもロバツはどうやって……。


「一体いつからロバツは公爵家に勝てるほどの軍隊を作り上げたんすかね?」


 そうだ、そこなんだ、蛮族を頼りにしすぎていた。

 蛮族とあの強かったロバツが合わされば勝てると思っていたが、前のロバツ戦争でも公爵家が押していただけだったのだ!

 公爵家が弱体化してロバツが強くなってる保証なんてどこにもなかったのに!

 なぜその程度のことにも気が付かなかった?私自身が父たちの戦争の話でロバツを過大評価していたのか?


「バカの取り巻きは所詮バカか……」


 クライディア嬢の冷たい声、おそらく拾われても拾われなくてもいいだろうという声量のそれは私を震え上がらせた。

 なんでもいい、言い訳しなければ!

 私が領地割譲交渉の主犯にされたらどうなるかわからない!

 何か!何かないのか!


「エセル王女が軍拡をしているのでそれではないですか!?盗賊退治などをしていたり、東方のデルスク共和国とも国境紛争で勝利してました!」

「軍拡と言うほどのものではないっす、どこに密偵がいると思ってるんすか?そもそも訓練と国境紛争程度だけで強い兵士はできないっすよ。想定より強い敵はいない、蛮族相手に負け越してるロバツがどうして公爵家に勝ちきれると思ったんすかね?蛮族や公爵家はデルスクより弱いのなら理解するっすけど?デルスクってそんな強かったっすかね?」

「負け越してる……?そうだ!それです!負け越しているからこそ王子の提案を受けたのでしょう!今回の戦争終了後に東部戦線に集中するために」

「で?停戦にしたらそれで成功なのにわざわざ旧貴族関係者や統治で問題が起きるような領土と交換で婚姻をねじ込まれて了承する理由は?婚姻がなったからロバツと仲良くしようとなるなら先代国王妃アストレアは子飼い派閥なんて作って大騒動を起こさずに済んだのではないっすかね?」


 …………わからない。

 ロバツが蛮族に負け越しているからその蛮族たちに金銭を与えて公爵家を攻撃させる、この状況で王国が領土を割譲して平民をロバツ王家の養女にして嫁がせる意味は……?

 この言い訳だと破綻している。


「わかりません……」

「舐めてるんすか?」

「いや、本当にわかりません。ララという平民と結婚したかったからなんじゃないでしょうか?」

「………………」


 いけるか……?

 こんなアホな理由で……。

 正直私も信じられませんがこれ以外なにも浮かばない、たぶんこれが真実だと思いますから。

 頼むから信じてください……!


「本当に、一国の王子が、そうしたと、思うっすか?」


 いけた!

 この感じはいけた!


「はい!」


 クラウディア嬢は冷たい目線を少しだけ緩めたあと眉間にシワを寄せて考え込んだ。


「まぁ、そうっすね……」


 良かった……。


「質問3、公爵家が負けるとは思えないこの騒動の後でどう立ち回るつもりだったっすか?」

「蛮族が動けば勝てると思っていました……」

「そうじゃなくて具体的にそう公爵家を追い込む予定だったかを聞いてるっす。蛮族とロバツに敗北して秘密協定を握りつぶしたロバツが来るかも知れない中で」

「秘密協定を公開する予定だったのではないでしょうか?」


 途端にバカを見るような目で見てきたクラウディア嬢。

 気持ちはわかります。

クラウ「(ララを公爵家の密偵だと思ってるのか……あんな平民確かにいたら怖いな)」

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