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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
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272/562

詰んでいるジョン

「バルカレス男爵はどうか?」


 どうもこうも近衛騎士を上位として王家が騎士団を下に見ているのだから懐柔は難しいのでは?


「前のマルスン近衛騎士団長と子息がバルカレス男爵家に対して大層横柄だったそうで……。王家の近衛騎士偏重と騎士団軽視によって騎士団は王宮からでたのではないでしょうか?近衛騎士が役に立たなかったのは去年の騒動を見ても確かです、フリードリヒ殿下の事故死の原因をさするわけでも責任を取るのでもなく他人に、しかも殿下を助けるという貴族の役目を果たしていた下級貴族に押し付けるなど」

「なに?」

「え?」


 しまった、近衛騎士を悪く言い過ぎたか?


「マルスン近衛騎士団長は冤罪ではなかったのか!?」

「少なくとも収賄関係は私の知るところだと事実です、同じく下級貴族に押し付けたことも……そのために公爵家の介入を招いたことも、それを見て下級貴族も近衛騎士団……及び王家に対して距離を取りましたから……」

「…………では自裁は、あれは公爵家の……」

「あれは王家が手を下したのではないですか?公爵家からしたら生かしたまま追求したほうが王家に対して強くでられますから」

「いや、私は知らない……そうか、たしかにそうだな。冤罪でないのなら」


 余をやめてしまった。

 こうも政治に関わっていなかったのか。


「では……バルカレス男爵家は味方に引き込めないか?」

「今のゲドリドル近衛騎士団長はバルカレス男爵……いえ、妻であるギャル伯爵の子飼いですので」

「ギャル伯爵か、苦手だな……。なにを言ってるかわからない……」

「……ギャル伯爵は一応話そうと思えば標準語も話せますが」

「話す気もないか」

「夫を小馬鹿にされたギャル伯爵をなだめられなければバルカレス騎士団長を説得したところでひっくり返されるでしょう」

「バルカレス男爵令嬢を側室にしたらダニエルとの婚約も破棄して丸く収まるか?」

「喜ばぬかと……。1年早ければもしかしたら……現状では近衛騎士団長の肩を王家が持った挙げ句に始末して特に改善もしなかったのです。近衛騎士団を手中に治めた今となってはギャル伯爵は、失礼バルカレス男爵家が王家の側に立つことはありえぬかと」

「マルスンも父上も余計なことをする」

「同様の理由で近衛騎士と比べられたアレクサンダー女伯爵も寝返りますまい。王国軍は殿下への忠誠を失っておられます」


 私ですら度肝を抜かれるであろう失言をしたと聞いた際はまず謀略を疑うほどだったくらいですからね。


「では……私の認識である王国軍は近衛騎士ほど働いていない無駄飯ぐらいだった、わけではなさそうだな」

「むしろ近衛騎士が無駄飯ぐらいでした。外野の目線でしたが」

「それはどのような点で?収賄以外でだ」

「騎士団の功績を近衛騎士団のものとし、王国軍の賊などの討伐記録を近衛騎士団が文体などを派遣して得た功績のように誤魔化していたことは有名でしたし、財務記録からもそもそも出撃していないのは確かです。ゲドリドル近衛騎士団長就任後は彼と公爵家の介入した粛清により多くの貴族は死にましたが……」

「公爵と戦うものはいないか……」

「むしろ近衛騎士団は嫌われていたので称賛はあれど非難はあまり……。これを非難したのは粛清された関係者でしたので、反省していないとみなされ領地で隠遁したものも、経済封鎖を受けているものもいます」

「近衛騎士団が腐敗の温床だと誰も教えてくれなかった、父上はなにをしていたのか……」

「おそらくですが……国王陛下が主導していたのではないかと」

「何!?」

「雑なのです、指摘できればそれで終わるような……。悪くいえば頭の回らぬ小賢しい策しか使っておりません、公爵家なら必ずつけいるでしょう。それができないということは無駄だったということです。つまり、矛盾ある報告を上げたうえで本来疑問に思うであろう人物が全く気にしない事がわかっていた、追求したところで当事者を処断して、あるいは冤罪をかけて有耶無耶にするので証拠を掴むだけで動かなかったのです。事実王太子の儀の事故の後で近衛騎士団が責任を下級貴族に押し付けた際には即座に証拠を揃えて提出されています。いつでも殺せるが見逃されていたとしか思えません」


 ヴィルヘルム殿下はクッキーを手に取り、パクリと食べると押し黙り俯いた。

 糖分補給か、あるいは本人にとってだけは衝撃の事実を知ったからか。

 公然の秘密はあくまで秘密ではある、知らぬものは知らぬ。

 そんな言葉があった。

 俯いた殿下の去就をはなんだろうか?


「つまり、2家の関係修復は即座には難しいか」

「はい」

「そうか、兄上はどうやって……。いや、兄上なら信用できない近衛騎士団の粛清を騎士団に任せるか。そうか私が……王国軍への失言が、妄言が首を絞めたか……。これは私のミスだ、まごうことなき」


 このお方は自分の失敗と自分の責任を認めることができたのか!?


「そうなると……排除か?」

「トップ2人が騎士団と王国軍から信望を集めている以上は排除すれば公爵家が息を吹き返すかと、それにどちらも王家に良い感情を持っていませんのでその行動は反逆に繋がります。積もり積もったものがあるので。特に近衛騎士団のこともあってもしもそれを行えば前の近衛騎士団が戻ってくるのかと貴族層も公爵派が敗北していたとしても一斉に反旗を翻すかと」


 もっとも公爵派閥が負けるとは今や思えませんが。


「…………そうか、ならばほかを崩すしかないか」


 崩せるんでしょうか?

ギャル伯爵「夫を軽視するの良くないよね~」

アレクサンダー女伯爵「わかる、わかるが……」

ギャル伯爵「やられたらお仕置きっしょ!」

アレクサンダー女伯爵「挙兵はやめろ、挙兵はやめろ……」

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