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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
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計画とジョン

 蛮族を抑える軍事力がある。

 しかも公爵は帝都で政務、前公爵は国外、つまり蛮族を抑えていたのはエリーゼ嬢。

 戦が上手いか、もしくは手練れの指揮官がいる。

 蛮族は決闘で勝てば屈するとも聞く、本人か、キサルピナ騎士長が。

 蛮族に代理決闘は認められるのかはわかりませんが……。


 拮抗、あるいは負け越していたであろう公爵家が実は蛮族に勝利していた、そしてその事実を隠していたということは……。

 公爵家は独立するつもりなのでしょう。

 あるいは簒奪か。


 ノーマンが処刑されたのは想定外でしたね。

 まさか超法規的措置が使えないとは、それも司法大臣子息が知らないとは思いませんでしたよ。

 私もあの場にいたのですが、漏れていなくて何よりです。

 ノーマンが口を封じられていなかったら今ごろ私も……。


 気がつくのが遅かった泥舟に乗った後で沈むことに気がついたのだから。

 超法規的措置が使えなかった時点で終わっていたのだから。

 元実家は連絡を完全に絶った。

 エリーゼ嬢の茶会で頭を下げて許しを請うた等と言われてるが、おそらく事実だろう。


 マルスン子息は馬鹿者だった。

 粛清された自分の父親の威を借りて威張り散らし、見放されている。

 あれは役に立ちません、後ろから刺されるでしょうね。

 ポート子息は、論外。

 あれをどうやって使おうというのです?

 マルスン子息と違ってせめて強いくらいはあればいいのですが、軍略もダメ、武の腕もない。

 道化だと気が付かない道化そのものです。

 潤滑油としては使えますが、マルスン子息と噛み合わない時点でどうにもならない。

 私も手におえませんね、ノーマンあたりがいればうまくとりなせたかも知れませんが。


「計画はどうだ?」

「公爵家への計画ですか?ロバツが蛮族を使うことは伏せられていると思いますが」

「バカが!そっちではない!」

「と、いうことは?私はこれ以上は聞いていませんが?」

「チッ!ララに関しては?」

「ララ?」


 はて、どこの令嬢だっただろうか?

 メンフィス男爵家の令嬢だっただろうか?いや、カリス子爵の御婦人だったか?


「ええと、どちらの方だってでしょうか」

「何!?…………そうか、知らぬか!はははっははははは」


 いつもなら機嫌悪く何故知らぬなどと罵声を浴びせてくる王子にしては珍しい。


「そうか、奴らはお前には説明してないか。仕方のない奴らだ。うむうむ」

「はい、存じません」


 部下の意思疎通に問題があることなど喜ぶことではないだろうに。

 部下の団結を恐れているのだろうか?いや、この方はそのような方ではないな。

 部下が団結したところで自分に歯向かうとは露ほども思っていないでしょう。

 なくなった王子も全て自分のお思うがままに動くと思っていたところもありますしね……。

 致命的な差は人望と能力ですが。

 仮にもエリーゼ嬢を抑えられていたフリードリヒ殿下と比べると……むしろエリーゼ嬢に立ち上がる理由を与えたまでありますからね。


「そうか、ロバツが公爵領を襲うように根回ししたのは貴様だろう?蛮族も……」

「蛮族はロバツ側が提案したことです。王国を蛮族に押さわせるなど……臣下として提案できませんから」

「ほほう、そうか……。そういうことにしておこう」


 我々から提案したとしたら発覚時にはまっさきに尻尾切りにされる。

 相手にそうさせるように仕向けはしましたがね。

 少なくともロバツ側が王子の王太子就任が盤石ではないからこそ舐めていたことには気がついていないようですね。

 自分が命じれば戦争に負けたロバツは動くと勘違いしてそうですね、あるいはあっさり通ったから勘違いしたか。


 ロバツもそう思わせるように動いてそうですね。

 ロバツが恐れているのは公爵軍、もしくは前公爵で王国軍なんて眼中にないでしょう。

 いや、流石に王国軍は警戒してるかも知れませんね。

 王国軍はヴィルヘルム殿下を一切支持していませんからどうなるかはわかりませんが。


「ロバツとは約定を結んでいる」

「ほう、どのような?」

「公爵領・国境周辺貴族の土地割譲だ。その後敗北した公爵家の責任を取らせる。なに、蛮族戦線の停滞の責任を10年単位でせめてついでにお前たちが告発した内容が真実であったと周知させればいいだけだ。蛮族に負け越している公爵軍がとロバツとの挟み撃ちを受ければ勝てまい?その後、私……いや、余が近衛騎士団と王国軍を率いてロバツに懲罰戦争を仕掛ける!もちろん打ち合わせ済みだ。ロバツには上記の領土は切り取り次第だからな、余が出たところで手打ちだ」


 なるほど、知らなければ少しは勝ち目があるように思える。

 蛮族を公爵家が下してないのならですが。

 下した蛮族を攻めてきた蛮族にぶつけて公爵家はロバツに注力すれば……ロバツは勝ちきれないでしょう。

 分の悪い賭けです、おそらく負けるでしょうね。


 蛮族を撃退して、ロバツを撃退して公爵家が一人勝ち。

 そして……どうなるのでしょうね?王子は責任を問われるか、あるいは戦場まで引き釣りだした後で公爵家がロバツを攻めて王子をドサクサに紛れて戦死させるか。

 手打ちはなんでしょうね?


「どのように手打ちに?」

「ロバツから嫁を取る、これによって東部国境を安定させ内部の不安要素を取り除く!公爵派閥の粛清!宰相の派閥は未だ必要だが宰相には引いてもらおうか、公爵家に対して押されっぱなしで役に立たん。だが宰相のメンツを傷つけるな……そうだ!やつの娘を私の側室にしよう!それなら専横を防ぐための辞任という形にもていけるだろう。ネルソン辺境伯の息子には別のやつをあてがえばよかろう、いや、ロバツ南方国境だからもしかしたら戦死するかもしれんな。そうしたら手間が省ける。前のロバツ戦でも役に立たたなかったしちょうどよかろう」


 ネルソン辺境伯が役立たずなのは否定できませんけどね。

 一概に愚策でもないのは確かです、公爵家から主導権を取り戻すにはそれくらいが必要です。

 問題は公爵家が負けなさそうなことです、ネルソン辺境伯にはロバツに潰されてもらって救援が間に合わない公爵家を批判し、王子がロバツと即座に手打ちにしてしまうことが大事ですね。

 公爵家が優勢な状態で劣勢条件での講話は責任はこちらにくる。

 ロバツの初戦の勢いと、王子の出陣の速さが勝負ですか。

 そうなると公爵家がロバツに侵攻しても戦術だと思われる後退をして決戦をさせないか、ロバツが公爵家を初戦で打ち破って手打ちまで決戦を避け続けるかですね。

ダニエル・マルスン「形骸化した婚約など勝利の暁にはこちらから破棄してやるわ」

アドマイン・ポート「そうだそうだ!」

ジョン「(こんな時だけ意見が合うのは困ったものですね)」

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