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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
突撃!売却!バンサ伯爵邸

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234/561

いけ好かないない肖像

 あらまぁ、なかなか大きなお家ですわね……。

 これだけ大きのなら一等地にあるのも納得ですわ、公爵地区があった時代から構えていたのでしょうね。まぁそのへんはキャスやアーデルハイドやクラウにベスの仕事なんでワタクシはほとんどノータッチだったんですけど。


 こんな家から売れそうなもの持ち出したらすぐ通報されるし、国王も罪を捏造してでも殺して財産ごと接収にかかるでしょうね。ライエン侯爵家の財産もあるらしいですし。これだけで結構儲かりそうですわ、でも買い手がつくかは別ですけど。

 そんな手段で手に入れたものを買ったらそっぽ向かれるでしょうし、王家の派閥なんて金欠でしょうし……。まぁそのへんもあって積極的な手にでなかったのかもしれませんわね。どう考えても目立ちますわ。


 馬車を止めてから見渡すと伯爵家の規模とは思えないもがちらほら。

 もしかして意外と国政への影響力があったのかしら?キンゼー男爵家って影響力を行使するには少しだけ遠いですしね。

 考えをまとめながら馬車を降りると当たり前ながらすでに全員がワタクシを待つ形になっている。

 一応、雇われ護衛らしき人物たちが馬車を移動させているものの、やはりバンサ伯爵家自体の雇用ではないらしく案内もなにもなく軽く頭を下げるだけだった。

 まぁ、雇われ護衛がそこまできっちりしてきたら疑いますわ、いろんなことを。


「あらためまして、ようこそいらっしゃいました。屋敷を管理しておりますピアです。中へどうぞ」

「ええ、ありがとうございます」


 流石にこの状況で執事が開けるとかあーだこーだ突っ込むキャスではありませんわね。いないことを知ってそんな事を言うのはバカというものです、事情を知ってもなおも言うものは愚か者ですしね。

 一昔前ならそれでも苦言程度は言った気がしますわ。いや、流石に言わないかも……。多分ワタクシ相手には言う気がしますわね。


 扉を開けて目に入るのはなんだかいけ好かない、ワタクシと会話したら2秒でやり合いそうな金髪の中年の肖像画が飛び込んできた始末。

 客が帰るんじゃないですの?食欲が失せる顔してますわね。絶対陰険ですわ。


「あの……肖像画は?」


 ナイス質問ですわ、アン。聞きたいけどなんかムカついて聞けない顔してますわね、あの肖像画。


「あれは高祖父のノーバールです」

「高祖父というと……バンサ伯爵の……ああいや先代のオドニー・バンサ伯爵の……祖父?」

「っすね」


 ああ、そうなりますわね。


「左が嫡子のオズワルド、オドニー・バンサ伯爵の父です」

「オドニー・バンサ先代伯爵ですわね」

「ああ、すみません。オドニー・バンサ先代伯爵のお父上です」


 そう、あなたは当代バンサ伯爵なのですから。過去のこととしてちゃんと振る舞うべきなのですわ。でも、なんか引っかかりますわね。


「ふむ、どうも父親には似てないな」

「必ず似るわけでもないやろ」

「あーしもどっちにも似てないしね。身長が……」

「そこがいいんですわ」

「うっさい……」

「先々代伯爵のオズワルドは母親似だったそうです。高祖母の肖像画はすべて高祖父が亡くなった際に小さな一枚を棺に入れて後は誰にも見せたくないから廃棄せよとの命令を下して廃棄したそうです」


 うっわ、アンが好きそう……。


「ほう、純愛だな……。自分以外にはもう見せたくないと思い出と肖像ごと持って行くその様は一つ内の完成形のように思える。ロケットや遺品ではなく一枚の絵というのもいい、わざわざそれ用に描かせておいたというところがな。棺に入る大きさなどたかが知れてるし飾るのには小さすぎる。これぞ死出の旅、愛のための準備というやつだな。私も死するときは夫にそうしてほしいし夫も私にそうしてほしいのではないだろうか?」


 聞かれても困りますわね……。

 それにいない相手のこと汲んでどうするんですの?いや汲ませる?まず相手を探したほうがいいと思いますわ。いるのかしら……?


「もう少しのこのノーバール氏のことを」

「話していたのはオズワルド……なんだけど……?」

「そうですわ、後にするといいですわ」

「と、いっても私も又聞きや箇条書された日記の記述位でよくは知らないんですけどね」

「うーん……そうか……」


 アンもベスも落ち込んでますわね。そんなに?興味はありますけどもそこまでとは。


「えーと、少し離れてるけど似ているあの方はどなたかしら?」


 まぁ話を変えるに越したことはないですわね。


「あの肖像画はバンサ伯爵家からライエン侯爵家に嫁いだ私の祖父であるジャック・ライエンです。家を出た人間は数台は保管されるのでホールにまだ飾られていますが……。私には似てませんね」

「祖母のシャルロット侯爵の血が濃かったのではないか?」

「それだと嬉しいですね」


 まぁあんなゴツいオジサマに似たら令嬢としてはショックでしょうね。

 内面が良い人物なら褒め言葉になり得ますけども……。


「こちらはグヴィネス・キンゼー夫人、オズワルド・バンサ伯伯爵の息女でキンゼー家に嫁ぎました」

「ふーん……オズワルド先々代伯爵までは金髪やったけどこの人は茶髪やな」

「キンゼー家は全員茶髪なので、嫁ぎ先のアーチボルト・キンゼー男爵も当時の第1王子で先代国王の側室になったアガサ様も全員茶髪です」


 ふーん、茶髪ということはオズワルド先々代伯爵の奥方様が茶髪だったのかしら?

ノーバール・バンサ「……」

画家「もっと自然体でお願いします」

オズワルド・バンサ「親父絵画映り悪いな……」

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