財布の紐も握ってますのよね
「子どもの死刑を……話のネタにはしたくない……」
「そうでしたね、すみません……」
「まぁネタっちゃネタ扱いやな」
「いえ、ピアからしたら当然の疑問ですわ、明日にはある程度広まるでしょうけど」
「平民たちにも伝わるっすよ、新聞があるから……」
まぁ、どうして子どもが死んだのだろうも突き詰めていけば父親が嫌われていたに行き着きますけど。
本当に嫌われてただけでは子には罪が重いくらいの声は上がりますからね。
上がらないのはワタクシがいたからではないでしょう、アウストリ死刑囚はともかく子どもの方の助命はあるのなら熱意によっては考えましたわよ?
ワタクシが本気で死刑にしてやろうという態度を見せたうえでも立ち向かうならね。
それこそ、アルベルド・ゲルラッハ伯爵のように王を立件する勢いで立ち向かう覚悟があれば……ワタクシより先にマッセナ・ゲルラッハ伯爵が裁判長として動いたと思いますわ。
まぁ多分ですけど。
正直子どもも嫌われてたんでしょうね。わかりますわ、ワタクシも5歳の頃は遠巻きによくされてましたから。
それでも5歳の頃にワタクシが処刑となれば裁判所の傍聴人も数人は庇ってはくれたんじゃないかしら?ここにいる方々のお父様以外でも。
一応、まともな貴族にはまともに……いやワタクシはいつもまともですけどね?礼儀を持って接していましたし、支援が必要で利益につながるならバンバンお金を貸しましたわ。
あの手の裁判の傍聴人って家の関係者もいるものですし、利権関係がある家も来てるものですからね。あってこないならもう死刑だし、もしも嫁と子ども飛び火してもどうでもいいしなー。とか思ってるわけだから結局人望がない話には戻りますわね。
まぁ……そこでせめて子供だけはと誰も声を上げない時点でちょっと、クソガキだったんでしょうね。伯爵家だし、ああいえ!子爵家の血を引く準貴族かどうかもあやふやな存在でしたわね。
子どもも自分の行いで破滅するなんて世知辛い世の中ですこと。
「なんか今日1日は激動感あったな(小声)」
「数ヶ月で起こってほしいくらいのことが全部押し寄せてきましたわ」
「なんとまぁ面倒なことばかり押し寄せてくるものだ」
「そんなもんっす」
「事前に予定された出来事が起こるなら貴族としてはこれほど楽なことはないでしょう」
「そうするとバカ王子も王太子になる予定通りに進むと思ってんじゃね?」
「現実は……夢ではない……」
「夢か現か……」
「夢に決まってるやろ、そんな悪夢みたいな現実起きてたまるか!ウチら負けとるやないか!」
「ここから負ける道筋が見えない」
「最悪の場合ば……」
マーグ?蛮族は出すんじゃありませんわよ?ピアには伏せてますから。
ぎゅっとしたらわかってくれて何よりですわね。うーん柔らかい、もちもちしてますわね。
「バーンとやっちゃえばいいから!」
よくできました、アン?なにを呆れるように見てるんですの?
普段の乙女モードのあなたをワタクシ達がみるような目で見るなんて失礼極まりないですわね。
「バーンですか」
「そうだよ、バーン!ピアもきっと分かるよ」
「わかりますわ!」
「わかるのか……?」
だって王都に蛮族を増やしてるのってそれですもの。
ワタクシが本当にピンチになったら蜂起させるために異動してきてるんですわ。
移動のほうが良いかしら?それとも逆?
「利益も上がってきましたし、金貨の重さで押しつぶすことだってできますわ!」
「お金で国を買うとか?」
「財政難っすからね、意外と買えるかもしれないっすよ?」
「ウチが買うかな、経営権は貰うけど領地とか国防諸々はエリーにやるわ」
「流石に平民に国は売らないから無理ですが、シャーリーの国家はすごそうですね。税金が」
「流石に抑えると思うで、高くする理由があれば税金あげるけど、ないなら適正な金額かそれより少し低くしとけば市場も経済も回るしな。回らんで溜め込むなら税金上げる宣言して使わせるのも手かもしれんが、景気が悪くて回らんか景気が良くて使わんかでも全然違うしな」
蛮族全員に利益供与できるワタクシには無用の長物……。
まぁ人口が増えたらその限りではないので色々対策を打たねばなりませんけど。
貴族免税権は廃止したり色々改革して金を貴族共から絞り上げないといけませんわね。
肥えるのはワタクシたちだけでいい、というやつですわ。
まぁ富の独占なんかしたら全員が敵に回るからそのへんはうまく立ち回ったりしますけども。
「実際に経済はシャーリーに任せる予定ですしね」
「正直それがありがたいっす、貴族的な経済政策は結構付け焼き刃でなんとか数字出してるんでレズリー家としては結構厳しい仕事っす。長年無任所大臣を適当な看板すげ替えやってたわけじゃないっす、前任がどこぞへ言ったから奪い取っただけで別に得意な職務というわけでもないっす」
「のわりに上手くやってたなぁ?商人もびっくりやで」
「情報は味方っす、マッセマー商会と組んでから伸びに伸びてるっすよ」
「そらぁ不思議やなぁ、誠実に仕事してるだけなんやけども」
「レズリー伯爵家も大臣として真面目に仕事をした結果っすね」
「それだけ稼いでも財政が付け焼き刃とは恐れ入るなぁ」
「王家が金を借りたところが悪いんっすよ、公爵家の手が入ってるとこに借りるから」
「そらアカンなぁ」
白々しいこと言って責任を押し付けてきましたわね。
そこに誘導したのはあなたたちですし、利益によって配分を得るように関わったのもあなた達でしょうに。
「羽振りが良いんですね」
「ピアも手を出したらどうや?この後の査定次第やけどな」
「うーん、投資は不安だからやめておきます。よほど高く売れたらそれもいいですが」
ピアは堅実ですわね、クラウはなぜ死んだ目をしてるのかしら?
レズリー大臣「カネを借りるしかないです、金利が安いです」
国王「そのようにせよ(最悪権威で踏み倒すか御用達の看板与えておけばいいだろ)」
エリー「いらっしゃいませーオーナーのエリーです、こちら頭取のシャーリー、役員のクラウ、アーデルハイド、ベス、ジーナとなっておりまーす。貸付金利は2%、返済が遅れた場合は担保募集に金利アップです」
ジーナ「この国の法定利率は5%、だが返済が遅れた場合貸付金利が上がるのはギリ合法だ、国に貸し付けた場合は規定がないから150%でもOK。王家が踏み倒すこと前提でガバガバだったんだな」




