思い返せばあっさり解体できましたからね
「結局2王子が候補者として戦っても王太子は決まらなかったっす。つまり王太子にふさわしいという結論に達しなかった、かつジョージ第2王子死後も王太子にするのは不可能だろうという論調で支持を得られなかった。そして先代国王暗殺で候補者がいないから結局王太子に選ばれた。と言う話に戻るっすね」
「そもそもどう決めるんや?」
「基本は全員一致っす。無関係だと委任状を出したりするっすね。もとから冷遇されてる人間とか」
「ん?それでは決まらないのではないか?」
「普通はすぐ決まんないっすよ、失点が増えていくに連れてこっちのほうがマシだろうって感じで決まるっす、あんまりこの人物は無理だろうというのに推薦をし続けると失脚するから意味ないっすね。実質推薦と投票ができる宰相、国王相談役、大臣、有力者であまりにも阻害するのなら会議からの除名も出来るっす」
「例えばどのような理由で除名に至るんですの?」
「えっ?エリー……」
なんですの?知りませんものしょうがないでしょう?ぐうの音も言わせないほど圧倒的な成果を出せばいいんですもの、そんな細かいところ実績で黙らせればいいですし。
最悪蛮族がいますしね。
「どうせダメなら蛮族で片付けようとしてませんか?」
「してませんわ、心外ですわね」
「自分も殺しに行くから蛮族でかたをつけるわけではないと考えてませんか?」
「……最悪を考えるのは上に立つものとして当然ではなくって?」
「手を打ち切る前に最悪の手段を乱用しようとしてるのはどうなんですか?」
「最悪を常に考えてこその未来ですわ、自裁用の毒を持ち歩くのと変わりませんわ」
「…………持ち歩いてるんですか?」
「え?ワタクシが自裁するわけないでしょう?最後の一人まで地獄に落としたうえで死にますわ」
「エリーは死ぬのか?死ねるのか?」
「そっちじゃなくね?」
「死んでも生き返ってやりますわ、そしたら皆様驚いてくれるでしょう?」
「人類史上最もくだらん理由で復活するな(小声)」
「その気概が皆にあればなぁ……」
「……エリーの気概があったら心労で倒れてると思う……」
「そうですかねぇ?残されるよりは一緒にいてくれる方がいいと思うのですが……」
「それは……そうかもしれない……。でもエリーの気概は……流石に辞めたほうがいい……」
死をも乗り越えられなければトップには立てませんわ。
まぁ一度たりとも死ぬ気は一切ないんですけども。
「……除名の例は、失策や失態の説明を求められても答えを出さない、納得しがたい理由を出されても根拠の薄い推薦とかっすね。顔がいいから国王にしましょう、顔で政治はできない、でも雰囲気が良くなるだろう?みたいな特に解決に至らないような討論になったり。主導した政策が失敗したがどうする?次は頑張ります、よって再度推薦しますでは通らない感じっすね、大体はその当事者の推薦も投票に賛成もしないんすけど……見苦しいと除名っすね」
「それは国王の権限か?」
「ないっすね、あくまで見届人っす。自分のお気に入りの息子がそこで推薦を取れなくても終わりっす。昔は暗殺合戦になったりしたっすけど王宮部署も国王命令でも王太子候補の暗殺は国王命令でも引き受けない不文律があるっすから……。あとは会議参加者も。あくまで不文律っすけど、された時点でその王子の推薦者は王宮部署と敵対するので次代は割と絶望的っすね。まさか全員殺せばいいわけでもないっすし……。そんなことしたら王宮部署自体がとうの昔に潰れてるっすよ、だからバランスを取りつつ上手いとこやってたんすけどね。まぁ仕方ないだろうくらいの納得せざるを得ない感じで手を打たなきゃなんないっす。エリーと公爵の暗殺未遂は王宮部署のもともとの組織でないから受けたんじゃないっすかね?不文律程度だから受け継がれなかったんじゃないっすか?」
へー……じゃあジャック・リッパーが追放されてなかったらもっと面倒な感じだったんですわね。
暗殺未遂はいい方に動きましたから。
「あーなるほどね~。そんな暗殺を堂々とやったり、誰がやったかバレたら貴族全体が殺しに来るもんねー。あんときの内務大臣もエリーも別に王国にも王家も刺激してなかったしさー」
「それで暗殺という方向に切ったらどこの貴族も王宮部署の解体に反対しないわな(小声)」
「明日は我が身……。誰も信用できない……」
「それでフリードリヒ第1王子が政務に関わるようになった、なったのか、なるようにさせられたのかまでは……」
「結局それがいい方に作用されたわけですわね、宰相、大臣、国王相談役に有力者が第1王子を王太子にすることを決定した」
「正式な決定は……アーデルハイドが婚約者に内定したとき……。エリーの可能性があったから……」
「ワタクシだったら?」
「たぶん変わらず王太子だったと思うっすね」
「父次第ですが……多少は揉めるでしょうからこうも早く決まらなかったかもしれません」
「おそらく……第1王子の王太子は変わらない……。そもそも……第2王子の入学前にすでに……決まっていた……」
「つまり現国王とジョージ第2王子みたいにどちらにすべきかとの戦いすら起きなかった、ということですね?」
「そういうことですわね」
エリー「物事が行き詰まったときこう考えるんですの、蛮族を使うか使わないか」
シャーリー「そんな人生が生き詰まったときどう死ぬかではなくどう生きるかみたいな使い方をするもんやないやろ」




