実はあんまり良く知らないですわ
決まりましたわね、ワタクシの宣言が……。
「もとからそれは既定路線ではあったのでは?」
くじけましたわね、ワタクシの宣言は……。
「それもそうやな、改めて言うもんでもないわ」
泣きそうですわね、ワタクシの心が。
「ま、まぁ……ほらな、えー……再宣言だろう」
「意味あるのか?(小声)」
ふ、ふん!もうくじけませんわ。
「そもそも何でしょう?王太子を決める会議とは?」
「流石ですわね、ピア!それは王太子を決める会議ですわ!」
「そのままじゃね?」
「頭が……悪そうな文章……」
「そもそもエリーの内面の心情って頭悪そうだし(小声)」
「言いましたわね?」
「それより説明まだか?ウチ全くわからんのやけども」
「ここは下がっていただけませんか?」
「……いいでしょう。王太子を決める会議とは……クラウ?」
「……ふぇっ!?あ、はい……。えーと王太子選定会議は国王、宰相、国王相談役、大臣、有力者で構成される会議っす。そこで全会一致で王太子を決める。ただし国王自体に決定権はないっす、あくまで見届人っすね。もしも問題があった際に絶対に自分の息子を選ぶ可能性が高いので出来るのは質問や、説明くらいっす。たとえばバカ王子はバカだから嫌だと反対をしたらどのへんがバカなのか?その事例の判断はあっていたと言わざるをえない。みたいなことを言うくらいでバカ王子を王太子にしたい?いいな?では通らないっす。それでは会議をする意味がないっす。あとは当事者の王子は絶対参加拒否っすね、大抵は見苦しいことにしかならないっす」
なんか急に話ふったら驚いてましたわね。自分が説明するとは思ってなかったみたいな
「じゃあバカ王子無理やないか」
「無理っす、ただ別の人間を候補にいれると国王が殺しに来るだろうからこの1年はずっとバカ王子を推薦して周りが対案なく全員反対してることを繰り返してるっす。幸か不幸かバカ王子はバカ王子で改めようともしないので、一応推薦があって反対で終わってるから何も言わないっすね。どうせバカ王子しかいないから自然とそうせざるを得ないと経験則で言ってると思うっす」
「経験則?ああ、そうか……」
「ジョージ第2王子死後、先代国王が暗殺されるまで現国王は王太子ではなかったっす。つまるところ王家の血が残る限りは自分が死にさえすればバカ王子をその地位に付けて王位を継がせるしかないと考えているっす」
「甘くね?」
「そうっすね、甘いっす。砂糖菓子みたいな想定っすね。正直国王が王太子になった時と状況が違うっす、不出来ではあってもバカ王子のような不祥事を連発することはなかったし、その手のエピソードは先代国王のほうがあるっす。笑えるエピソード寄りっすけど……。ジョージ第2王子死後の第2王子派閥解体やらが重なって自分が王太子だと確信はしてたっすけど……当時は国王相談役も多く大臣職の兼任が多かったこともあるっす。有力者のガルニ・ライヒベルク公爵は国王暗殺をそれとなく公言していて、ゲハルト・ライヒベルク公爵子息は内務大臣で会議参加者、エリーは1歳になったかどうか。ゲハルト公爵子息に暗殺を匂わせる父を推薦できるわけもなし、参加者で新参大臣でもあり国王暗殺のをしたらしい人間の息子である自分を推薦もできない、かといって生まれたばかりの娘を推薦するのは論外。血縁を考えたらそのまま第1王子を王太子にするしかなかった。一緒にしてはどうしょうもないっす」
その言い方だとまるで王位が転がり込んできたみたいですわね、そもそも第1王子の時点で有力だったんですけども。
ジョージ第2王子が相当できたんでしょうね。
「そもそも貴族学院入学時になったら王太子選定会議の候補になるっす、ジョージ第2王子がいたからというのもあるっすけど……。2人が学院を卒業しても決まってない辺り結構熾烈だったと思うっす。第1王子の婚約者問題があったので第2王子婚約者が決まっていなかったのもあると思うっすけども……。婚約者次第では色々変わったと思うっす」
「ちなみにワタクシのお母様が第1王子妃になっていた場合は?」
「うーん……流石にわからないっすね、帝国を脅威に思っている人間は反対に回るっっす。その場合ジョージ第2王子は無難な婚約者で反対派の安定を取ると思うっすけど帝国寄りの人間は離れるっすね、これだけで政治闘争になったと思うっす。あとは帝国脅威論を取るか、おそらく婚姻にはならないとは思うっす、王太子が確定するまでは婚約として帝国に滞在するから……第1王子が負けたら介入して、勝てばそのまま婚姻したと思うっす。だから愚かなる愚者を使って帝国の使者を煽って破談に追い込んだんじゃないっすか?もしかしたら勝手にやって想定外だったかもしれないっすけど」
「宮廷道化師ですからね……先代国王の意を汲んだか、勝手に煽っただけか……それはさっぱりですわね」
「しかも……宮廷道化師でなければ殺してやると言われるレベルで……帝国の使者が激怒するレベル……」
「正直聞いてみたいな、討論で使えるかもしれない(小声)」
「討論が暴力披露の場になるんじゃないか?」
「それは困るが、そんな相手なら対処は楽だな」
まぁ普通は候補が複数いれば複雑化しますわよね。
クラウ「(私が説明するの!?)」
エリー「(だってあんまり知りませんし)」
友人たち「(これ、知らないな)」




