理解されてるのはそれはそれでいやですわね
「そうなると……ああダメだ、もう少し必要な情報がほしい」
探偵みたいですわね。別にそのへんの問題はどうでもいいっていうのに、まぁレズリー伯爵家としては放置するわけには行かないんでしょうね。
ジキル・リッパーがどう死のうが、殺されようがワタクシにはどうでもいいんですけどね。
ジキル・リッパーの死の真相が王家にとどめを刺すとも思えませんし。ダメージになるかも怪しいですわ。
バカ王子がバカだからワタクシを王太女にしようって方向性に持っていったんですから、いまさら……何をどうあがいても無駄でしょう。
あとは蛮族がロバツを襲って、敵対派閥を蛮族に襲わせて、ワタクシが出来レースで撃退するか恭順させるフリをして終わり。
王国民からの支持を受けて私が即位して、大陸を取りに行く。
問題は国王ですけど、まぁ……どうとでもなるでしょう。王太女にさえなれば第3王子を誰かに産ませようが覆らない。ワタクシを殺せるものなら殺してみるといいですわ。逆に殺して差し上げますから。
まぁ、殺すほどの理由はないから好きに生きればいいですわ。あったら即殺してやりますけども。
目障りな置物でも価値があるなら飾っておく程度は許して差し上げますわ。
「全くわからないっす。なんにせよ、どうして先代国王が先代公爵に暗殺者を送ったのかも、そのまま和解提案を押し切ろうとしたのかも。一応聞いておきたいんすけどグリゼルダ妃は公爵家が手を下してないんっすよね?」
「ないですわ、興味もないと思いますわ。政治的にはあんまり……自慢話でも失敗話でもでてきたことがないですし。ピアも一定の時期から面識がないくらいですもの。公爵家と何かはなかったと思いますわ。そこまでやってたら多分国王は兵を挙げて公爵家討伐にでもかかるでしょう。そもそも対立路線は父を殺したことと国王就任後も明言したのです、そこに妻を殺したことを入れたところで誰も口は挟まないでしょう。まぁ、対立路線自体は反対したらしいいですけどね。仮にやったとしても公爵家すら別にそれでいいかと思うんじゃないかしら。だってほら、第1王子妃と先代国王が公爵家に陰謀を働いていたから先手を打って殺したぞと喧伝できますもの。そもそもお父様やお祖父様が討伐されてないのはお祖父様の暗殺未遂が真実であったから国王といえども限度があるからと静観に回ってやる気のない貴族が大半だったからですわ。実際国王も嫌がらせはしても国政が回らなくなるような手段は使ってませんしね」
「たしかにシャハトすら最後は和解提案をしてたっすからね……。先代国王は何がしたかったんっすか?」
「ワタクシに聞かれても……。お祖父様のほうが知りたかったんじゃないかしら。暗殺未遂の後知らん顔して和解提案してくるなんて舐めすぎてるとか怒ってましたしね、脅すにしろとぼけるにしろ何にしろ知らん顔してるのがおかしいと。暗殺未遂に関しても貴族言葉で聞いても見事にとぼけていたと。使いっ走りかと思った大きな権限を持っていたからここまでして知らないわけがないし、そうだとしたら破談させる気しかないから喜んで拒絶してやったとかなんとか。大体話すたびに盛られてますけどこの辺じゃないですかね?」
「……キャスはどう思うっすか?」
「とぼけるのは普通では?会話内容こそわかりませんが……。暗殺という手段に出るのであれば失敗した際の立ち回りも重要ですが、王家の手のものとバレていたわけですよね?それは先代公爵も確証あって聞いていたと思うのですが……。そこまでバレているのにとぼける一択は流石に、嘘でも暴走したとか謝罪と賠償をしたほうがいいとは思います。実際のところ……表に出た際に貴族も王家に味方しなかったくらいです。成功しても公表したでしょうし、悪手だとしか思えません」
「一応聞いておきますけど、実はお祖父様の狂言ということはないのかしら?ワタクシはないと思いますけど実のところみなさんの感想を知りたいですわ」
ほら、あんまり信用されてませんし。ああいう感じですからね。陰謀と暴力の間の子みたいな方ですし、曽祖父様とは違うらしいから環境のせいかしら?
もしくは曽祖父様を美化してる可能性もありますけどね。
「正直ないと思うっす、先代ライヒベルク公爵は自作自演の陰謀は使うタイプじゃないと思うっす。仮に使うとしても自分の暗殺未遂なんてしないと思うっす。もしやったとしたら蜂起して王都を攻め落とすくらい攻めた計画のはずだと思うっす」
「私もそう思います。陰謀は張り巡らせても余り使うとは思えません、敢えて危険なところで襲撃させるまではあると思いますが……。そもそもあの先代公爵が自分が暗殺未遂にあったとでっち上げた時バレたらバカにされるのでしないと思います……」
「それは……否定できませんわね……バレたら恥ずかしいからやらないっていうでしょうね……誰に似たんだか子供っぽくて」
「そ、そうか……」
「ああ、うん……そうだね……」
「なんだかキャスのほうがワタクシよりお祖父様を理解してるみたいですわ」
「似たような人間がいますから」
「あっ……大変ですわね……」
「今は一人なんでだいぶ楽になった気もします」
「ああ、お祖父様お祖母様くらいになると亡くなってることもあるでしょうしね、病気が流行った時期もありましたし……」
「ええんか?」
「直接言うほうがめんどくさいから辞めとけ(小声)」
シャーリーとジーナも知ってる方ですのね。
ライヒベルク公爵「板挟みで死ぬ……」
先代公爵「ほぅらほぅら、嫌がらせで食料も止めるし税も払わないぞぉ~」
公爵令嬢「飢饉ですのね?貸付の返済は10倍でいいですわよ?暴利なら他に行けばいいじゃありませんの、こちらは蛮族のせいで大変で……え?王家が払ってくれる?ワタクシ達に何も払ってないから支払いはあなた達の現金交換以外受け付けませんわよ」
先代公爵「自分の借金を他に払わせるのはいけないなぁ、ほら、嫌なら爵位でも担保にしたらどうだ?」
公爵令嬢「あーこれでは領地も担保ですわねぇ……」
国王「どうなってるんだ!」
公爵「適正な取引です!嫌なら肩代わりすればいいでしょう!(また財務大臣と経済大臣と打ち合わせかよ……)」




