同じ立場だったらワタクシでもどうすればいいのかわかりませんわね
「冤罪発覚は第2王子領解体後、シャルロット・ライエン侯爵の死後にシュライヒャー達が冤罪を書けられ逃走、その後に冤罪発覚という。シュライヒャー達からしたらもう少し粘っとけばよかったと言ったところで終わったわけですわね。まぁ、残ったところで先代国王が庇いきれないのか庇う気がないのか、それともシュライヒャーが愛想を尽かしたのか。それはわかりませんわね。それでその次は何だったかしら?お父様が内務大臣になったんでしたっけ?」
「それより前にバカ王子の懐妊っす」
「それじゃバカ王子が産むみたいですわね……」
「忌み子が生まれるかと思ったら忌み子が産むのか……。絞めるべきでは?」
「バカ王子を懐妊っす?」
「解任してほしいですわ」
「できればやってくれ、軍部は顔も見たくもない」
「ノーコメント」
「同上……」
不義密通疑惑が晴れたからってところかしら?4年はなかなかですわね、時間がなかったのか、それでもなお疑っていたのか……。ワタクシも妹とか欲しかったんですけど……。バカ王子に固執してるところを見るとこちらも実子であることは疑ってなさそうですわね。
これで疑ったうえで王家の血をつなげようとしてるなら大したものですけど。ただバカ王子の教育を考えると甘やかしたんだか、宰相の方針を信用して興味を持たなかったのか?と言いたいですけど第1王子の扱いと早急な王太子決定を考えるとやはり両王子は実子だと思ってるのかもしれませんわね。まぁ、冤罪だったわけですし、そりゃあそうですわね。
単純に出来が悪いから雑に扱われただけか、一定の年まで育てばスペアの出番は極端に減りますからね、単純にどうでも良くなったのでしょう。顔の作りも似てるし。
能力のある恋愛バカと能力のないただのバカなら前者のほうがいいに決まってますわね。
「それで出産後にグリゼルダ妃はなくなって故王太子妃になって故王妃になったと」
「その4年の間にホルガー・ランツィンガー宰相が会議中に亡くなったり、キンゼー男爵家が全滅したんすけど……」
「前者は会議中なら本当に病死でしょう、後者は暗殺でしょうけどね。なにか掴んでいるのかしら?病死ではないとか、なにか……」
「ないっすね、前宰相は病死だと思うっす」
「ん?毒殺かもしれないだろう?」
「リッパー男爵家の可能性だってあるんじゃないのか?」
「確かに、毒殺の可能性も捨てきれませんね。そのあたりはどうなのですか?」
「予算会議中に亡くなったっす」
「……病死ですわね!」
「うん、病死……だと思う……」
「まだ早ないか?」
「なぜそれで病死だとわかったんですか?」
「まぁまぁ、ピア。いいではありませんの。病死ですわ」
「え、はい。わかりました」
「なぁ、なんで病死なのだ?」
「歳入が激減した王国の予算会議中だったっす。公爵家が納税を拒否した翌年の」
「ああ、そうかわかった。病死だな」
次期王太子として有力だった第2王子の賜死、その後に次期宰相の呼び声の高い人物が亡くなって、第2王子の右腕で次期宰相の右腕になる予定の人物は冤罪をかけられ逃走。第2王子派閥は壊滅して国家の建て直しを図らなければならないが公爵家は蛮族問題を盾に納税自体を拒否。生まれた王子は不義密通ので生まれた子どもでもなく正当な第1王子の子息である王子でしたとさ。
もうこの時点ですべて投げ出したいですわね。
国家のためだと大鉈を振るい、第2王子派閥がごっそり消え去った挙げ句、公爵家は納税拒否。貴族として取り潰されず残った家も媚びを売るか、完全に王家に対して距離を置くか……税収は確実に悪化するでしょうね。取り潰された時点で逃げるでしょうし、死刑になるほどではないから徐々に理由をつけて排除されたからとっとと逃げるか財産を逃すかしてたんでしょう。
多分この後でしくじった時に断絶に追い詰められるんでしょうね。逃げるのが遅い家は。
その時の会議は地獄でしょうね、歳入の確実な悪化。来年の予算配分をどうしようと確実に不足をする。それを続ければ国家のほうが財が尽きる。
これで会議をしたら予算の取り合いどころかどこから持ってくるか、誰が折れるか、来年も増える見込みはなく減る可能性のほうが高い。公爵家が静観するわけもないですしね。だからこそ王家も蛮族支援やら王都の商会の支店を直轄領に置いて税金を払わない意趣返しをして公爵領に嫌がらせをしていたんでしょうけど。
おそらく、財政を盛り返せなかったことは間違いありませんわね。
公爵家と和解を図るのはこの4年後、第2王子が生まれる前にお父様を内務大臣にした時。つまりこの前年くらいには内務大臣の任命調整に入ってるはずですわ。
いきなり内務大臣に任命したらそれこそミスを誘発させるためでしかありませんからね。
つまり直接のきっかけはお父様がお母様と婚姻したことか、グリゼルダ妃のバカ王子懐妊でしょう。
あるいは王国の財政が限界だった可能性もありますが……。
いや、おそらく公爵家が不義密通事件に関係ないとでも思ったんでしょうね。さすがにこれほどの譲歩を一方的にしているのであれば間違いなくそうでしょう。
かといってお祖父様の先代国王への恨み言を考えるとやはり和解には至っていない、歩み寄りはこの時点でも失敗した。少なくとも和解寸前にすら至っていない。そうであれば裏切り者とでも言って文句を言ってるでしょうしね。
そして翌年の先代国王暗殺になると。
シャハト経済・財務大臣「まず歳入は公爵派閥全体の納税拒否と旧第2王子派閥の理由をつけた納税拒否、遅れ、失脚後のお家騒動で3割、4割は減るかと思います。この場合適切な対策を取れないと物価の上昇などが……」
ホルガー宰相「うぅ……」
シャハト経済・財務大臣「そもそも公爵領の麦や交易品が入ってこない場合が以下の獲得手段も……」
ホルガー宰相「ゼェ……ゼェ……」
シャハト経済・財務大臣「それと王宮部署の予算割当に関しては減らすことには拒否しており、新ライエン侯爵も公爵派ではありませんが引き継ぐまで減税猶予が数年はほしいと申し立てており、断った場合公爵家にそのまま接近することが……」
ホルガー宰相「いたしかたない、それでは認めて……」
シャハト経済・財務大臣「その場合歳入減少は5割の可能性すらあります、同時に経済の大幅な悪化は避けられないかと」
ホルガー宰相「国庫の積立から捻出して……そもそも根本的な解決案は……」
シャハト経済・財務大臣「ないですね、大幅に貴族を失脚させた後で第2王子殿下の冤罪が証明されたのです。旧第2王子派閥は我々と距離をおいており、第1王子殿下がちょっかいを掛けているので旧第2王子派閥は第1王子が国王になっても距離を置くでしょうね。第1王子の陰謀ではないかと疑ってるくらいで公爵派閥に合流する可能性すらありますが」
ホルガー宰相「公爵家と和解の可能性は……」
シャハト経済・財務大臣「蛮族の支援がバレているようです。完全対決姿勢を崩さないかと」
ホルガー宰相「なぜもう、あれだけの小規模な…………うっ……」
アルベルド司法大臣「宰相閣下!」
ヘス軍務大臣「医者!医者を呼んでこい!」
ノーベリー農林大臣「はい!」
先代国王「宰相が死んだ!?」




