暗殺組織の長に暗殺の噂がある時点で終わりですわね
「解体した王宮部署とは無関係だったんだろう?」
「私も……特にそのような話は聞いていない……。私はだけど……」
「もちろん、調べたうえでリッパー男爵家はライヒベルク公爵とエリーの暗殺未遂事件に関わっていなかったっす!」
「まぁ、当時から噂自体はありまし……たっけ?」
「あった……。確実に……」
「あったっす……」
「噂程度で信用はしてませんでしたが……当時は聞いたことがあったはずです、おそらく程度ですが」
ベス、クラウ、キャスが言うのならあったでいいでしょうね。
暗殺者としての噂自体の認知度がどこで上がったのか?あれはたしか……。
「広まったのは二省炎上事件の頃ですね」
「ふーん、そうですの……あれは……アーデルハイドの婚約が内定する直前直後?」
「ついでに言うのならオレガ・ベガ子爵令息が亡くなった時期っす」
「え?あー……誰でしたっけ?」
「今話したばかりっす、アーデルハイドにつきまとっていたベガ子爵令息っす」
「あれ?断絶したのはそれよりもだいぶ前だったはずでは?」
「ほとぼりが冷めた頃に病死するのはちょうどいいっす、そう思わないっすか?」
ものすごく純粋な目で見てくるクラウ。さすが王国の諜報を司る家ですわね。
たしかに、見せしめでもないならそれでも……。
「それに他の家族も数年かけて病死してたんだからどうとでもなるっすよ」
「ああ、そうですわね」
こういうときのクラウには何言っても無駄ですわね。私も同感ですわ、ワタクシは見せしめのほうが好きなんですけどね。
「あっ!そうだ!それだ!」
「アン?なにかありましたの?」
「ベガ子爵令息の暗殺をフリードリヒ第1王子が命じたという話だ!」
「ああ、それが?」
なんか気になることでもあるんですの?第1王子と第2王子が区別つかなくなりました?どっちがどっちかわからないとか?まぁ名前で呼ぶことはあんまりないですからね、アーデルハイドがうるさかったから。
「いいですの、アン。現国王がウィリアム元々第1王子で王弟で国王就任前に亡くなられてどっちで呼べばいいのかよくわからないのがジョージ第2王子。現国王の息子がフリードリヒ第1王子でアーデルハイドの婚約者だった方で第2王子はバカ王子ですわ」
「そんなことはわかっている!問題はそのフリードリヒ第1王子が暗殺したことだ!」
「え?それがなんですの?」
「なにが、何がって……何がとはなんだ!」
はて?何かあったんですの?ちょっとワタクシには意味がわかりかねますけど……?
「アンは何に関して怒ってますの?」
「第1王子が暗殺を命じたのだぞ!たかだか子爵令息、もはや断絶もした家にだ!」
「はぁ、それが?」
「断絶時点でもうどうにもならないだろう!百歩譲って父ならわかる、近衛騎士で働いていて醜聞になると始末したと、断絶した後も身を立てたからこそ負債になるから手を下したならわかる、どういうことなんだ!なぜ!」
「そこまで言われてもワタクシが殺したわけではないですし……。キャス?」
「すぐ殺せないから間を開けるのは妥当かと思いますが……」
「ですわよね、皆様は?」
「さっき言ったとおりっす、ほとぼりが冷めたからだと思うっす」
「んー、まぁ……ほとぼり冷めたからだと思うけどねー」
「すぐ殺したら疑われるからやろ?」
「王家ならそれくらいするのでは?」
「難しく考えすぎ……だと思う……」
「アン、俺が思うにそもそも根本的に間違えてないか?(小声)」
あら?ベスとジーナは違う考えみたいですわね。
なにか見落としてるのかしら?
「アンは……なぜ第1王子が断絶して没落したベガ子爵令息、正確にはベガ子息を第1王子がわざわざ殺したか、つまり死体蹴りをしたかを……死体にしたかをききたい……んだと思うけど……」
「そう!それだ!それと……」
死体蹴りをする相手を死体にしたから言い直しましたわね、これでもう一度蹴ることが出来ますわね。
「そもそもなぜベガ子爵令息を殺す理由も気になっているんだろう?」
「そう、そうだ!ジーナ!私が聞きたいのはそれだ!」
それって理由必要ですの?王家ですわよ?エンタメ感覚で暗殺してるかもしれないでしょう?考えて暗殺するような頭多分ないですわ。じっさいべガ子爵令息をここまで時間かけて殺した理由なんてくだらないことですからね。
多分……。
「単純にアーデルハイドに言い寄ろうとした男が気に入らないから殺しただけだ、考えすぎだ、当時は婚約者候補でしかないし、有力なのはエリーだったから動いたら面倒くさいことになるから置いておいただけだ」
「第1王子は……あれで嫉妬深いから……ああいうことをすれば……そうなる……。ついでに……エリーのせいにして全部有耶無耶にしただけ……だと思う」
「ではあれか?嫉妬であそこまでやったというのか?」
一番嫉妬深いあなたに言われたらあの世で第1王子も度肝抜かれるでしょうね。
いや、あの2人何でもかんでもワタクシのせいにし過ぎではありませんこと?これではお話の悪役令嬢ですわよ。
ギャルゲ版アン「お前、昨日ベスと小説の話で盛り上がってたよな!」
主人公「う、うん」
ギャルゲ版アン「私以外の女性と私がいないところで話したのか?」
主人公「えっ?」
ギャルゲ版アン「お前ほどのいい男をベスが狙ってないとでも思っているのか?これはしつけが必要だな(ゴッ)」
主人公「(気絶)」
ギャルゲ版アン「一緒に暮らしてもう離さないぞ、お前は働かずに部屋で過ごすんだ、私が働いて帰ってきたら玄関で迎えてキスして愛を囁くんだぞ……お前をパパにしてやろう……」
エリー「人によってはハッピーエンドでバッドエンドですわね、何が幸せかは個人で決めるべきことですわ。アン(から)幽閉エンドクリアですわ」
アーデルハイド「説得ルートが追加されたわ、まず私と仲良くなりなさい」




