へー王宮部署で働いてましたのね
「王宮部署の解体と言うと……」
アン!やめなさい!こっちを見るんじゃありませんわよ。
「まぁ同僚がどうなったのかは知りません、死んだのか生きて何処かに行ったのか。残った人も少し前にやめてしまいましたしね」
そっとこちらに目配せをする皆様方……。違いますわよ、最近のはクラウですわ。
いや何をエリーがやったんすか?みたいな眼でこっちを見てますの?冤罪ですわ。
「まぁ、解体されたということは……何か危ないことでもやっていたのでしょう。私は所詮案内役女官にすぎませんしね」
「あら?女官でしたのね」
「ほう、なかなかの地位だな」
「王宮部署の?それは……確かにかなりの地位ですね」
「そうなん?」
「そうっすよ」
「王宮部署は省庁大臣執務室を含めて各大臣の動きを把握するための場所でもあった……。奏上が必要なものであれば……必ず王宮部署に出向いて処理する必要がああった…………。だからこそ……権威があった……あった?」
「ありましたよ?」
「権威はあるが品位はなかったな(小声)」
「今は昔のことですわね」
先代国王の時代でしょうね、今となってはなんと無惨な……。
「…………昔と言うほどではありませんが、4年前は……いや、人によりますね」
「まぁまぁ、一応王城枠じゃなくて王宮だからね、他に出して恥ずかしくないのをそこで使うって感じー?礼儀作法とか色々めんどいみたいよ?あーしには無理だね」
「俺も声を張り続けそうで面倒くさいから嫌だ(小声)」
「一応上級職っすよ」
「はー意外と細かいんやな、売りつける相手でもないからそこまで見てへんかったわ。最も最近は商人として王城いくこともないけどな」
「それはそれでどうなんですの?」
「顧客にならない相手を見極めるのも商人の仕事っす」
「それなら金のない王家に言っても仕方ないな(小声)」
「そういわれりゃそうやなぁ……そもそもウチの商会は結構昔から第2王子出禁やで?友人はどっちも第1王子婚約者筆頭候補やったしな、互いに失礼さえなければそれでええわ。そもそも王宮の女官だからああしろこうしろってウチに言う度胸はないやろうし」
「いえば無職になりますわね」
「でもあの高慢なバカ女たちならしそうなもんだったけどな(小声)」
「見ては……見たい……」
なんかベスもエグイ趣味してますわね。
そのうち高い位置で椅子に座りながら貧乏人が闘うを冷めた目で見ながら勝った方を処刑して勝ったから助かると思ったその絶望の顔が素晴らしいとかやり始めそうですわね。
そんなワタクシの目線に気がついたベスが「?」みたいな感じで見ましたけど特に伝えたいことはないので微笑んでおきましょう。
「いややわー、ウチが王城で働いてる人間をどうこうできるわけあらへんやん」
「あらあら、その女官のご実家にご連絡すればいいだけではなくって?勝手にやめてくれますわ」
「別に貴族と決まったわけでもないしなぁ」
「一応王宮部署の案内役ともなれば最低でも貴族令嬢ですよ」
「特例はあるけど……基本的には……そうだったはず……」
「一応法的な制限はないな、不文律の範囲だよ」
ジーナも今日はたまに普通の声で話しますわね、まぁお客さんがいるからでしょうね。
というか、そもそも小声の言葉はワタクシ達にしか聞こえてないでしょうしね。
「たぶんピア先輩が最近の特例っす」
「元の地位が侯爵令嬢に国王陛下の姪で王子の従兄弟ととにかく厄介だったので……」
「ああ、わかりますわ……」
「特例にしなければ困りますね」
「むしろ女官のほうが扱いづらいのでは?」
地位が高いと面倒事が多いんですわよね、護衛やら何やら……。
ワタクシ一人で十分なんですけどね。何でもありならこっちのほうが強いに決まってるでしょう、ワタクシは逃走も強襲もお手の物ですわ。
決闘はもっと楽ですわね。勝てば良し!
あれ?よく考えたら国王の姪が女官程度ですの?侍女として王の周辺にでもいたら監視も出来て一石二鳥なんですけどね、断絶しようと家名剥奪ではなかったはずですわよね?多分返上か自分で使うのをやめたかくらいでしょうし。
うーん……。ま、いいですわ。多分せざるをえないとかそんなところでしょうしね。
「それでその後は?」
「細かいことならいろいろと、後見人が後始末をしてくれたので」
「後見人がいますの?ああ、いや、そうですわね」
「まぁ、当然でしょうね」
「ええ、2人ほど……」
「え、2人?ああ、まぁ……そういうものですわね」
ライエン侯爵家の後見人とバンサ伯爵家の後見人がいるのでしょうね。パド家令が後見人のはずですから、彼はライエン侯爵家の後見人の方かしら?
ライエン侯爵家の方は役に立ってるかわかりませんけど、バンサ伯爵家の後見人が主導してるんでしょう。
「なんで2人も居るんや?」
「ライエン侯爵家とバンサ伯爵家の後見人でしょう。もしくは親族が生活の面倒を見て後見人になったのかもしれませんが」
「騎士の推薦人みたいなもんでしょ?多分だけどねー」
「まぁ…………そういえばそう……かな?」
ベスの歯切れが悪いですわね。そう言えばワタクシがパド家令のこと知ってるのまだ話してませんわね、まぁ、ピアが補足するでしょう。
「いえ、父の友人とバンサ伯爵の継承1位だった方です」
「えっ?継承1位?」
なんで継がなかったんですの?
父親と一緒に参内するシャーリー「(顧客にならない、ならない、ならない、ならない、身分で値切ってきそう要注意)」
ローレンス・マッセマー「(顧客にならない人間を顧客にしてこそ一人前なんだけどな)」




