それとこれとは別でしょう?
「どちらの王子懐妊時もグリゼルダ王妃、当時第1王子婚約者の不義密通の噂はあったんですわよね?」
「「はい」」
「婚約前からありましたの?」
「いえ、わかりません」
「なにせ婚約が決まって婚姻までが早かったので……。少なくとも社交の花でもなければアバズレ……いえ、おおらかな方である噂もなかったもので」
うーん?婚約から婚姻までが早い?なんでそんな訳のわからないことが……。
それに性的にも恋愛的にも奔放な方ではなかったのですかね?いや、これだけ疑惑があったらどうなんだって話ですけど。
隠すのがうまい方だったのかしら?バレてる時点でうまくないですわね。
はて?そもそもどうやって決まったんでしょうね。
「当時の第1王子は学院在学中でしたの?」
「いいえ、卒業の翌年ですね、それまで決まっていなかったのはガリシア帝国との縁談話が……」
「……もしかしてその相手がワタクシのお母様でした?」
「「……はい」」
あっぶな、危うくお母様があんなのに嫁ぐ寸前でしたのね!
あやうくワタクシが産まれないところでしたわ!でもお母様が王妃に成ったらこの国結局滅びるのでは?
じゃあこの国の結末は変わりませんわね。ワタクシが無事生まれたことに感謝ですわね、同時にこの国の葬式も決まったみたいですけど。
「それはどうして破談になりましたの?帝国がこの国を乗っ取るから?」
「流石にそれは…………そう思われても仕方ない方でしたが……」
「使者の方も強烈な方でしたからね、不安は貴族感にあったと思います」
「乗っ取りそうな帝国の皇帝に対して?乗っ取られそうな当時の第1王子に対して?」
「ノーコメントです、後者だけはイエスと」
「まぁ、いいでしょう。でもそれだけで破談にはならないでしょう?いくらなんでもガリシア帝国をわざわざ敵に回すなんて……」
できるわけ無いですけど……。
そうなっていないのはお母様が公爵家に嫁いだから?そもそも初耳ですわね。この2人が知っているということは貴族みんなが知っているというわけではない。
「この破談は貴族関でも共通認識ですのよね?裏でひっそり破談になったのではなく」
「ええ、もちろん」
「破談ですからね、本来の同盟に発展するであろうことですし……」
「で?なぜ破談になりましたの?その程度で破談にはなりませんわよね?」
そんなアホみたいなことしたら戦争一直線ですわ、ロバツと組んで襲ってくるでしょうに。
でもそんな戦争があった話は流石に知りませんわ、お祖父様といい、お祖母様といい、やけに黙ってるから困りますわね。
「……宮廷道化師に馬鹿にされからです」
えっ?あの帝国の使者を激怒させたのってそのことですの?
愚かなる愚者に煽られてブチ切れて緊急帰国したとかいうあれ?宮廷道化師相手に切れたって帝国の面子丸潰れになったあれ?
「それで?」
「破談です、そもそも年齢差もあったのでお相手の皇女殿下のほうが嫌がっていたという話も聞きましたがそれは事実で?」
「さぁ?最近は国外にいるので知りませんわ。その手の話を娘にするように皆様には思えまして?」
「……思えませんが」
「家でもあのような感じなのですか?」
「外も中も態度は変わりませんわ、それが普通ではなくって?」
「そう……ですか……」
「家での態度は外より柔らかくなるものなんですがね……。さすが帝国皇女というべきでしょうか」
「そう言うものですの?まぁ家それぞれですわね」
ワタクシは他所様の事情や家庭内の態度なんてしりませんしね。
「じゃあ宮廷道化師に煽られて破談になったってことでいいんですのよね?」
「ええ、まぁ……」
「当時の国王陛下の意を受けたのでしょうが……。とにかく粘着して嫌味を言い続けてひどかったとは聞きました。その後公爵家との縁談がすぐに纏まったと。報告に行った際、先代公爵が大層愚かなる愚者に煽られたと聞きましたが平然としていたとか。さすがですね」
いや、後年に宮廷道化師でなければぶっ殺してやるところだったって言ってましたわ。
平然と見せていただけですのよ?まぁ貴族にとって大事なのはそれですけどね。
「それで破談になった縁談が公爵家に移行したと……」
「「はい」」
まぁまぁ面白い話は聞けましたわ。なんの役に立つかまでは知りませんけどね。
「じゃあ、話を戻しましょう。どちらの子供が国王の子供であっても不義密通がなかったわけではないと思うですけどどうでしょう?」
「「………………」」
なるほど、意図的に隠していたわけですわね。
ワタクシを支持するといえども、このような醜聞で追い落とすのは王家でなく王国の権威が落ちるから辞めていただきたいということですわね。
いや、それくらいは聞き入れますわよ?ワタクシ他人の提言は聞き入れるタチですわよ?
まるでワタクシが天上天下唯我独尊で他人の話も聞かず全てゴリ推してるとでも思ってるみたいですわね。
それくらい言ってくれればいいんですのに……。貴族の会話ってどうしてこうも察して察して(チラッチラッ)みたいなのが多いんでしょうね?
そんな事をした相手の逆手に取ってやるがワタクシは大好きなんですけど。
よっしゃあ!暴露してやりましょう!落ちた権威をかっさらえばいいんですわ!エリーゼ帝国の誕生ですわね!これで継承者は……。
馬鹿でも血の繋がりが確かな以上は権威が落ちるだけで別に転がり込んできませんわね、チッ!
「グリゼルダ王妃には婚姻前も後も浮いた話はなかったんですの?遊ぶとかそう言うものではなく、誰かを懸想してるとか、他と婚約話があるとか」
「アルベルド法務大臣からも特には言われてませんでしたし……。司法は検察含めて噂に敏感ですがその手の噂はありませんでした」
「調査しましたが……婚姻後の不義密通で結局怪しかったのがジョージ第2王子殿下でしたので……」
「では結局冤罪ではなかったという可能性もあるわけですわね?」
「だから表向きはジョージ第2王子殿下がグリゼルダ第1王子婚約者の暴行未遂で賜死になったのです」
「そう囁かれるとなるのは想定内でしたので……暴行未遂で賜死なのです」
「そうでしょうね……」
馬鹿げた情報量があったから流されましたけど後でお茶会で言ったら絶対馬鹿にされてましたわねこれ。
帝国皇女「アホそうだし年上だし興味ないわ、政略の価値もないんじゃないの?」
帝国皇帝「タダで国を手に入れて血筋で帝国の一部にできるぞ、お前に似て聡明なら未来は明るい」
帝国皇女「能力はあっちの第1王子似て、性格は私に似るかも知れないわ」
帝国皇帝「3人も産まればあたりが出るだろ!」
帝国皇女「当たりくじ入ってないかも知れないじゃない?」




