整理しましょう
なんとなく流れはわかってきましたわね。
職務不定のリッパー医師の御子息が急死する、おそらくリッパー医師関連か、ルーデンドルフ侯爵ですら口に出すのは荒唐無稽すぎて何もいえない噂を信じた誰か。
そこから急に前国王の悪友であった市井の評判も良いリッパー医師が王宮医師になった。その直後に前国王がおそらく当時の王宮筆頭医師に毒殺、もしくは普通に暗殺される。
多分リッパー医師は暗殺者か護衛としての起用だったのでしょうね。信頼に足る人物が欲しかった、といったところですわね。
直後王宮筆頭医師を始め医者が後追い自裁、急死。まぁ……処理されてますわね。
そして王太子の儀のあと先代モレル伯爵が推薦者不明で王宮医師にスカウトされる。程なくしてアルベルド大臣が急死。まぁ先代モレル伯爵が善意で殺したと言うべきでしょうか。雇用理由が胡散臭い辺りこっちも無自覚な暗殺者としての雇用でしょう。
なんか普通の暗殺者よりたちが悪いですわね。
そしてアルベルド司法大臣が死亡したときにはリッパー医師は休暇で旅行中、アリバイは完璧。
きな臭いといえばきな臭いですけど……昨今は、もとい第1王子が事故死した後は省庁清掃課が暗殺を担っていた。
ではこの2人は?
何処で何を?暗殺の棲み分けでしょうか?治療する暗殺者と……リッパー医師は?王城の医務室のような危険地帯に誰がいくのでしょうか?
行けば先代モレル伯爵に高確率で殺される。そんな都合良く王家が殺したい人間が殺されにいかないでしょう。
少なくともヤブ医者としての評判は確かなのですから自ら進んでいく人物は限られるでしょう。
ではリッパー医師が診察して先代モレル伯爵の薬を投与していいた?
いいえ?だとしたらリッパー医師がヤブ医者という話になるはず。
そもそもヤブ医者ということは絶対に殺してるわけでもない。ということは先代モレル伯爵の薬は確殺ではない、そのため薬がダメだということになったのでしょうか?
はて?では、たまたま殺せていたのが死ねば王家に利する人物だったとか?
そんな人間は大体中央か引きこもっているでしょうね。あの時代を考えても公爵派閥は王城で暗殺されないよう気をつける指示を出していた。
よって公爵派閥で医務室を使う人間はいないでしょう。地方から来てその指示する、教えてもらう、調査もする。それができない人間が毒牙にかかる。
そんな人間が死んでも利があるとは思えないんですけどね。
見せ札?
つまり暗殺要員だということにして詳しい人は接触も治療も避ける、ワタクシのようにヤブだと知ってる人間も接触も治療も避ける。
じゃあどうやって……?お目当ては……?
深く知るには急死した人間のリストが必要ですわね……。
「どうぞ、左がミルクインファーストで右がミルクインアフターです」
ゲルラッハ伯爵の紅茶が入れ終わったようですわね。
「ではお先に、ほう!美味しいですね」
「でしょう?2つとも楽しんでいただきたい。私はちょっとミルクの追加を命じてきます」
まぁいきなり6杯も入れればミルクもなくなりますわね。
多分今日来たときもここで休憩しながら飲んでいたのでしょうし。
「ミルクインファーストのほうが美味しいですね」
「あら?そうですか?どれ……」
たしかにミルクインファーストのほうがなんとなくいい感じですわね。
茶会では面倒だからミルクインアフターのほうが多いんですけど……。
結構奥深いものですわね。
まぁ誤差といえば誤差な気もしますけどね。
「同じものなのに後か先かでこうも代わるものなんですね」
「まぁお茶はあったかいですからね冷たいミルクの中に熱いお茶をいれるか、熱いお茶の中にミルクをいれるかで変わるのはそう言うことでしょう」
どっちにしても冬以外はワタクシは冷ましてして飲むんですけどね。
同じものでも後か先かで代わるなら冷めたあとに入れても変わりそうですわね。
そういえば……どうしてそもそも当時のアルベルド司法大臣を殺したんでしょうね?
先代国王の信頼厚かった彼を殺したら露見した場合終わりですわ。
まぁ今では露見してるようなものですが。
なにか理由があったとは思いますが……。
王太子の儀が終わってすぐ1年を置かずに国王となろうとして諌められたこと?
愚王は愚王ではありますけど第2王子ほど問題があるわけではありませんわ、それに反対した程度で殺していたら話になりません、そもそも王宮で急に医務室のお世話になったとはあまり思えませんし。
しかもアルベルド大臣ほどの方を入ったばかりの新人が担当するとも思えませんしね。
謎が増えましたわね。
とりあえずこの辺を調査する必要がありますわね。
この後はマッセマー商会に行くんですけど、どうしようかしら?クラウやベスでもいたらいいんですけど多分いないでしょうね。
では……マッセマー商会で働きますか。
「結果は同じなのにどうして味が変わるんでしょうね、砂糖も先に入れておいたら変わるんでしょうか?」
「溶けやすくはなると思いますわ」
いれるときのほうが熱いですものね、すぐ溶けますわ。
もしかして薬を渡したのではなくこんな感じで毒でも盛ったのかしら?
先代モレル伯爵「市井での評判を来て雇ってもらえるそうだ」
ケルステン「じゃあなおさら雇わなくないか?」




