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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
王家の狂騒曲ですわー

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ミルク缶の中のカエル

「それでアルベルド司法大臣はどのような……いえ……急死でしたよね?なぜ刑事局捜査課が?」


 まぁ出張ってきた事自体が答えみたいなものですけどね。急死に警察権力が、捜査課が介入するわけがない。

 そこを詳しく聞かせていただきたいですわね。

 さぁさ、どうぞどうぞ、お部屋を用意していただけますか?伯爵?


 ちらりと視線を向けるとゲルラッハ伯爵はニッコリと笑った後、裁判所裁判長室でお茶でもいかがですかと丁寧なお誘いをしてくださり、ワタクシ達は気分上々で裁判長室へ入っていった。


「いい茶葉が入りましてね、蛮族領域のものですよ」

「あらあら、ワタクシの大好物ですわ」

「ほう、私も職が手に入ったし給金が安定したら飲めるようになりますかね?」

「初の裁判勝利を祝して公爵家から5缶程送らせていただきますわ、これからもよろしくお願いいたしますわ、次長検事」

「おお、これは楽しみだ!エリーゼ公女の舌なら確かですからな」

「私もおすすめしますよ」


 まぁワタクシ主導で作ってますしね。いっぱいありますわよ。

 地味に公女呼びしてるあたり完全に旗幟きしを鮮明にしましたわねぇ。ライヒベルク公女じゃないところがミソですわね。

 ワタクシを認めた、王位継承者として支持する。お父さまはそうでもないと言ったところですか。

 王太子の儀は大臣級らしいですけどまぁ警視庁と検察に影響力を行使できるから会議の票なんて問題ありませんわね。


 あら?よく考えたらジーナはそれに関して何も言ってませんわね。

 もしかして知らないのかも知れないですわね、ちょっと後で聞いてみましょうか。


「実は趣味は紅茶をいれることでしてな、この入れ方以外に美味しい入れ方があったらぜひ教えていただきたいですな」

「あらあら、ミルクを多めにすると意外と合いますわよ?元の味を引き立てないのなら蒸らす時間をほんのちょっと、元から1分もはいらないですけど30秒くらいにしてミルクをいれると良くなりますよ、ストレートなら逆に時間を短くするのもいいですわ。細かい茶葉ですが2分位でストレートだといいとこ取りみたいな味になりますわね」

「いいとこ取り?」

「試してみてほしいですわ、クセがあるのですけど」

「では試してみましょうか、初めの一杯はストレートで」


 鼻歌を歌いながらお湯を沸かすゲルラッハ伯爵は本当に紅茶が趣味のようでティースプーンを出しながら保冷庫のミルクを確認している。

 良かったですわ、市井ではカエルをミルク缶の中に入れて保管してますからね。

 なんでか知らないですけどミルクが痛みませんのよね、世の中不思議がいっぱいですわ。

 ワタクシは全然平気ですけど一応平民のシャーリーも嫌がってますわね、お父さまのローレンス商会長は経験者だったみたいで庶民用のレストランで会談したときも気にしてませんでしたけど。

 ワタクシは平気ですわ、カエルは好物ですし。キサルピナが串焼きで出したものが美味しかったですわ。

 お父さまはうるさかったですけどお祖父様もお祖母様もお母様もお気に入りでしたし、お父さまだけ苦言を呈してましたわね。

 でも庶民では食べてる人結構いますわよ?


 そう考えるとワタクシが目指すのはミルク缶の中のカエルですわね。

 この大陸というミルクを腐敗から救済するカエル。

 ついでに美味しい、ワタクシそのものですわね。

 ワタクシやカエルをどれだけ疎んでも大多数には必需品なので拒絶は出来ない。

 つまり大陸のトップはミルク缶のカエルだった……?


 デウス・エクス・マキナはミルク缶の中のカエルでワタクシということですの?

 まぁこの大陸を悲劇から救うのですし似たようなものですわ。

 人々を救うのがワタクシでもカエルでも機械仕掛けの神でもいいのですから。

 他が役に立たないからワタクシがやるだけ、そうでしょう?


「まずはストレートです」

「ほう、野性味ある香りですな」

「蛮族領域でも西方のものですわね、クセがあると思ったら砂糖をおすすめしますわ」

「ほう、西方以外の茶葉もあるのですね?ああ、公爵領ですものな、もし別の場所からの茶葉が仕入れられるのなら」

「国境沿いの茶葉と東方数種類に北方茶葉。今のところ25種類ですわね。もっとあるかも知れませんけど」


 売り出してるのは25種類だけどしれっと裏から高値で売り飛ばしてたりするのでもう10種類くらいあると思いますわ。


「買付は出来ますか?」

「もちろん、マッセマー商会に伝えれば問題ありませんわ。この後伝えておきます」

「おお、新しい茶葉を試せる」

「私は美味しければ何でもという感じで、娘のアレクシアは詳しいのですがね……。もう少し勉強しておけばよかったかな?刑事時代の経験で土や草が何処の自生かなんてのは何となく分かるんですが。これは美味しいですね。美味しいとしかいえないのですが」

「ほう、それはアドバンテージですね、茶葉を見て把握できるのなら後は組み立てるだけです、推理と同じですよ?試してみたらどうでしょう?それに茶葉で証拠を掴むことも今後あるかも知れませんよ?建前では検察は警察の上位組織ですしね、直接捜査もするのですし」

「なるほど、仕事と趣味を一致させればいいのですね、ふむ確かにこれを濃くしたらミルクが合うような気がしてきますね」


 ミルクが合うのではなくミルクを紅茶に合わせるのですわ。

 そのほうが売れますからね。

キサルピナ「ママ!串カエル焼いたよ」

エリー「おいしいんですの?」

キサルピナ「おいしいよ?」

エリー「くっそうめぇですわ!」


エリー「カエル美味しいですわ!」

公爵「公爵令嬢たるものがそんな串焼きでしかもカエルを食べるなんて……いいかい?」

公爵夫人「あら美味しいわね」

先代公爵「それ?食わせてみろ……こんなに美味いのか!晩飯はこれにしよう!おい!カエル仕入れてこい」

先代公爵夫人「久々に食べたわね、珍味で食べて以来だけどその時より美味しいわね」

公爵「えっ……?」

先代公爵「お前も好き嫌いしなくて食え!」

先代公爵夫人「文句は食べてから言いなさい!まったく食べない理由は食べてから言いなさい!そう言うところがあなたはダメなの!」

公爵夫人「これ定期的にディナーかランチで出してね」

公爵「悔しいけどうまい……」



公爵「私の好物のつまみです、材料は聞かないほうがいいでしょう」

男爵「(カエルだな、毎晩食べてる)」

子爵「(カエルだな、たまに食べる)」

伯爵「うおお!なんだこれは!鳥ではないのですか?これは何処で!?」

公爵「それは秘密です」

男爵・子爵「(沼か田んぼだよ)」

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