カーテンコールのその後で
エリー「ワタクシが主役なのに主役やってなかったような気がしますわね」
ララ「おかしい……こんなことは……」
蓋を開ければ上々でしたわね!
まぁ計算外の乱入はありましたけど……。
何にせよ、うまく行って何よりですわ!こうも思い通りにいくと平民のエリーで豪遊したくなりますわね、喫茶店で一番高いお茶を飲んで帰ろうかしら?
黙ってそのまま処刑一直線だったらとっとと第2王子のことを持ち出せばいいかと思いましたけど公爵家批判をしてくれて我が家の株も上がり一石二鳥どころか三鳥四鳥でしたわね。
王家も貶めることが出来たのが最高ですわ!やーいバーカバーカ!
ま、課題もありましたけどね。
平民は思った以上にコントロールが効きませんわ、然るべき時を考えたらちょっと見直さないといけませんわね。
新聞で煽りすぎたかしら?
あとはアウストリ死刑囚の息子ですわね。
本当は助けてあげたかったんですけど……モレル伯爵に押し付けたのが悪かったですわね。
他の誰かなら、どうとでもなったんですけど。
何ならワタクシのお父さまにでも押し付けていただければもう最高でしたんですけどね。
宰相派閥と国王派閥をしっちゃかめっちゃにしてさっさと宰相を表立って寝返らせるきっかけにしたかったんですけどねぇ……。
本当に子供を殺すのは割に合いませんわ、まぁワタクシを恨んで死んでいったのだったらそれでもいいですけどね。
せめてそれくらいはされて然るべきでしょう。
それにしてもこれではワタクシが思ってるより早く暴発するかも知れませんわね。
制御下で爆発させるための新聞でしたんですけど……。
うーん、そのために第1王子をアーデルハイドで丸め込んで作ったんですけどね……。全社経営権も完全にワタクシのものですけど。
さてさてどうしましょうか?一応当初のお茶会での案件は片付きましたけども……。
後は王宮、まぁ正確には王城ですわね。
モレル伯爵の調査はあっさり終わって事情を知ろうにもねぇ……。
パド家令は王家家令以外は無関心、プライベート空間から追い出された第2王子はどうでもいいと言う感じ。
王城執事長の買収とかもお父さまに聞かないといけないですしねぇ……
まぁやることやってただけだから情報だけ抜き出せばいいですわね。よく考えたら王城の組織がいっぱい解体されたのってワタクシのせいでしたし。
あれでアーデルハイドの寵姫ルートが絶たれたんで感謝はされましたけど、いっそあの時滅ぼしておけばアーデルハイドが死ぬようなこともなかったかしら。
まぁ詮無きことですわ。今より未来を進むことが重要ですわ。
くよくよしてもしょうがない、思い出に浸ることはあっても思い出の湖に溺れて過ごすことはどれだけ幸せであってもそのうち不幸になりますわ。
引きこもっても仕方ないんですの、覆水盆に返らず、割れた花瓶は戻せず、死んだ人間は還らず。
目下のことは王太子の儀の会議ですわね、うーん他にできることと言ったらなにかありましたかしら?
リッパー医師?でもそこまで率先して調べることではないですねぇ。
そもそも王太子の儀をやるかどうかの会議ってなにやるのかしら?
毎回バカ王子は王太子にどう?ダメ!って言って終わるのシュールですわね……。まぁあれが応じなのが一番の悪夢でシュールではありますけど。
「エリーゼ公女」
「どうかしましたか?ルーデンドルフ侯爵」
「明日の新聞は楽しいことになるでしょうね」
あっ、記事書かないといけないですわね……。
うわーめんどくさいですわね……。どうしましょうか?まぁ一応書いておきましょうか。
「ええ、きっと楽しいことになるでしょうね」
「王家のメンツは丸つぶれ、モレル伯爵にどう対応するのか楽しみで楽しみで……。そういえば彼もあのバカアホカスクソ人間に煮え湯を飲まされてましたね、いやぁ、とっとと見切ったのにまだ悩まされるなんて……王家になぞ追従するからこうなるのに」
この人、下手すれば王家への恨みが公爵家を除いたら一番あるんじゃないかしら?
「一応人前ですよ?検事」
「おお、これは失礼しました正真正銘唯一のゲルラッハ伯爵、もとい裁判長」
「ええ、これはどうも。それにしてもまだ自分が貴族だと思っていた死刑囚の姿は滑稽でしたな、貴族として死にたいとは……まるで貴族として働いていたようで」
「平民のくせに貴族だと思い込むとは精神的な病だったのでしょう。王家も分家ゲルラッハ家は先代ゲルラッハ伯爵の死亡で断絶したと言っていますしね。いやはやあれほどの人物の息子を名乗るのであればもう少し……ねぇ?」
「ええまったく、正義と公正な法を体現したような方でしたからね、司法大臣としての薫陶は先代モンタギュー司法大臣、当代スペンサー司法大臣と続いて何よりです」
一番驚いたのは当代ゲルラッハ伯爵ことマッセナ・ゲルラッハ伯爵が本心からアルベルド・ゲルラッハ伯爵を尊敬して、称賛していたことですわね。
息子は眼中にないどころか汚物扱いですけど、まぁそれだけの人物の息子があれでは……。
尊敬していた人物の息子が腐敗しているあげくに分家のくせに同格で家柄と王家に媚びへつらいその関係性でマウントを取って敵視してくるのではやってられないでしょう。
ワタクシでも殺しますわね。
「ああ、全く彼が王宮で急死しなければ公爵家が王家に悩まされることもなかったでしょうに」
「あら?王宮で急死でしたの?」
「ええ、あの頃は先代陛下が亡くなりましてね。確か今の陛下が王太子の儀をする……前だったか後だったか……どうでしたかね?ルーデンドルフ侯爵?」
「後ですよ、王太子の儀のあと即座に国王になろうとしたのを諌めたのは覚えてます、そもそもアルベルド司法大臣急死事件を調べたのは当時警察庁の刑事局捜査課にいた私ですし」
「あら?当時から花形でしたのね?」
「まぁ家柄でもありますが……そこそこ働いてましたからね……警備局から移動してすぐでしたし」
「あら?警備局にも」
「細かい課は今はご勘弁を……」
「ええ、耳が多いですからね」
警備局から捜査課に?逆ならわかりますけど……多分課に関係があったんでしょうね。
種銭擦って帰るパド家令「……明日は掃除ですから」
かろうじて擦った金を取りもそしたクラウ「わかりました!」
ボロ勝ちのピア「~♪」




