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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
忘れがちな裁判ですわー

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かくして勝者は勝ち誇り

 王領賠償問題の反論で貴族の傍聴人も味方にしたエリーはとてもイキイキしていた。

 まぁ領地持ちで同じことされたらそうなる。せめて負けたのなら責任をとれと言われても理解は出来るが防衛を全て公爵家に任せていて税金も払っていないんだからな。


「王領ですよ?王領は別です!」

「アウストリ元次長検事?そのような法はありませんよ?」

「王家は法を……」

「超越するとでも?超法規的措置が気軽に出せない理由はご存知で?権力の乱用になるからですが……。国王陛下の信頼厚いアウストリ被告が言うのであればそのようなことがまかり通っていたということですね。これは恐ろしいですね、公爵家は王家にどのようにされてしまうのか……恐ろしくてたまりません」


 震えてアピールしてるが内心は喜びの震えだろうな。


「そもそも領民を守る義務があるでしょう!」

「もちろん、公爵領民を守るためなら私は命をかけるでしょう!蛮族相手に剣を取り、弓を取り、先陣を進みましょう。私は毎年蛮族相手に出兵して勝利してきたのですから」

「ならば王領も公爵領内部にあるのだから領民と言えるでしょう!」

「言えません、王領を公爵領に併呑するなんてとてもとても……いまこそ公爵領ですが……ねぇ?」


 敬う態度は見せてるが貴族すら信じてない嘘くささだな。


「そもそも領主貴族は税金を払わない領民を救済する義務はありません、払えないではなく払わない領民ですが……ああ、そうでした!領地を持った経験がないのでお間違えだったのですね。この中で領地貴族の方はいらっしゃいますか?ああ、何人かおりますね……それでは挙手で結構です。質問に答えていただければ。税金を意図的に払わない領民や商人になにか問題が起き陳情が要請があった時に救済するという方は挙手を……。やはりおりませんね。このように助ける義務を持ちません。さて、知らなかったアウストリ被告にこれを踏まえたうえでここで質問です。どうして王領に出店出店した後で公爵領に支店を出した上で買付や売買を含めた商売をしているのに王領支店の支店であることを盾にあらゆる税金を払わない王都各大商会を公爵家が救済する必要があるのですか?ああ、失礼。補足が抜けてましたね、王領店舗は別ですよ?王領で店舗で売ってるのですから公爵家が口を出すなんてありえない話です。これに対してお答えを持っているのでしたら元次長検事としての見識を持ってお答えいただきたく存じます。もちろんこの時点では蛮族支援は発覚してないものとして結構ですよ?」


 ないわな、明確な法では存在しない。俺も大抵は把握してるがありえない、勝手に王家の威光で気を使わせて文句をつけただけだからな。


「それでも同じ王国の民を保護するものでしょう!」

「それがお答えで?王家が当家に対して自力救済を打ち出してるではないですか、せいぜい商会が焼かれそこで働く人間が死んだだけ、公爵領領民の死者はありませんでしたよ?」

「それは……運が良かっただけです!」

「王領に王家が兵を置いておけばこうはならなかったでしょう。ああ、でもそうですね、運が良かった。もし王都大商会の各支店が適切に税金を払っていたら彼らを守るために4歳の私は剣を持ち戦うしかなかったでしょう。そうすれば領民はどれだけ殺されたかわかりませんし私も死んでいたでしょう。税金を払わなかった彼らに感謝します」


 きつい一撃だね、平民の反応は同情だな。こういう話には貴族でも弱いもんだ。

 でもまぁ貴族の反応は怒りだな、似たようなことをされてるかされてたんだろう。今はマッセマー商会の支店が大商会支店を軒並み駆逐しているからな。苦い思い出でもあるんだろう。


「それに確かに王領は駐屯費用を公爵家が出せば置くと言ってましたが……対蛮族戦に蛮族に焼かれた村の復興で金銭が必要な中で王領の街から一歩も出ない、そんな無用の長物になぜ公爵家が駐屯費用を出す必要が?それに蛮族が公爵領の大商会を焼きたいというのなら差し出して当然でしょう。断れば領民が大勢が死にましたよ?それはいいんですか?結局大事なのは王領の民でありそれ以外は別に死んでもいいということでしょうか?」

「そのようなことはありません!」

「では何か問題ないでしょう。公爵家は税金を支払う領民への義務を守り、払わなかった人間にそれ相応の扱いをしただけです。傍聴人の貴族の皆様は反対意見はございますか?」


 あらためて裁判の体をなしてないな。まぁ裁判の本題じゃないからこそだな。

 貶められた公爵家の反論という特殊なものだからな。


「ございませんね、領地貴族では共通の考えです。ルーデンドルフ検事?この行動に違法性は?」

「領主の裁判権の範囲なのでなんとも……王国法に照らし合わせてもさほど問題はありませんね。納税義務を怠った時点で庇護対象でもありません。それだけです」

「司法大臣は?いかがでしょうか」

「違法性はない、過去の判例に照らし合わせても問題はない」

「だ、そうですよ?アウストリ被告」


 どうやら平民達はお前には微笑まなかったようだな。傍聴人は俺達の回答に驚きはないぞ?


「それでも……それでも王家が蛮族を支援したことはありません!」


 話を戻したか、敗色濃厚どころか負けだものな。

 当時ですらありえないのだ、今で通るわけがないだろう。


「先程から何を言ってるのですか?」

「王家が蛮族を支援したというのなら証拠を見せていただきたい!」

「繰り返しますが、何を言ってるのでしょう?王家が?なぜ?」

「私は一時期とは言え特捜本部長と次長検事の職にあったものとしてとして、国王陛下の信頼ある役職の一人としてそのようなことはなかったと証言します!これは真実です!王家が蛮族を支援したなど王国の根幹を揺るがすことは起きておりません!」

「職は関係ないかと思いますが……ああ、国王陛下のご信頼が厚いのは役職についていたからという説明でしょうか?それは証拠になり得ないと思うのですが」

「国王陛下の身近にいたものとしての証言です!国民を慈しむ国王陛下がこのような命令を下すわけがない!国王陛下はこの国を愛し、国民の皆様を国父として愛しているのです!国家の父は貴方方を見捨てません!」


 おーおー必死だこと。超法規的措置も合わせて潰したいんだろうけどな。

 お前は別に黙秘でも良かったんだぞ?この件に感しては。

 子供のことが気になって王家を庇い続けて忠臣として死にたいんだろうけどさ。

 いいのか?お前の目の間にいるのは自分の演技に陶酔した化け物だぞ?


「では、蛮族と戦い王国の民を蛮族の魔の手から守り続けた公爵家は愛されていないのですね?」

「それは……!」

「子供を愛さぬ父を誰が尊敬するでしょう、稼いでくる兄からはただただ搾取をして、可愛い弟にはその金できれいなおべべ()を買って上げる。素晴らしい家族愛ですわね。兄が不満を持たないと思っているのは愚かとしか言いようがありませんが……」

「それは……それは……!公爵家ならやってくれるだろうと!王家の、国王陛下の愛情です!」

「進学費用も、就職に必要なものも、親はお金は出さずバイトをして頑張って……いいところに就職したら金をせびる親そのものですね。それで弟は全てせびった金で良い進学先に贈り就職に失敗したら兄の金で面倒を見るのでしょう」


 傍聴人からは怒りが溢れている、経験者多いんだな……やっぱ平民もそう言う面倒くさいとこは経験してるんだな。一人っ子で良かったよ。

 いや、エリーも一人娘だろうに。


「恩賞も報奨も見舞金もない。愛情とは便利な言葉です。でも愛想が尽きるということがが存在するのはなぜでしょうね?まるで公爵家が愛想を尽かすことがないかのようですが」

「それは謀反を……」

「起こすとしても公爵家とは限らないと思いますが?この仕打ちを公爵家だけにしてるわけがないでしょう?公爵閥にしているのです。そして公爵家はこの貴族家を支援して支えております、むしろ地方を活性化させ盛り上げていると言っても過言ではありません、再度お聞きします地方を困窮させ荒廃させてるのはどなたですか?国王陛下の信頼厚いアウストリ被告ならきっと答えていただけるでしょう、私は嘘はいっておりません、別日に公爵家名誉毀損裁判をして王家の方を証人にしても構いませんよ?」


 名誉毀損裁判の引き伸ばしを封じられたな。これで死刑囚として生存しながらあーだこーだと無駄な動きをする計画はパァだな。

 王家の誰かを証人として呼べなければ王家は責があるから出廷を拒否していることになり、呼べたとして集まった証拠の前で嘘を付けば偽証罪だ。傍聴人を排しても、握りつぶしても新聞は報道するぞ。なにせどこもかしこも新聞社の筆頭株主はそこの公爵令嬢なんだからな。


「わかりました……すべて私の無知と勘違いによる失言です。公爵家への誹謗中傷を謝罪します」

「受け入れましょう」

エリー「傍聴席の皆さまー!ノッてますかー!

傍聴人「うおおお!」

エリー「こんな経験ありますわよねー!むかつきますわよねー!」

傍聴人「うおおお!」

アウストリ「みんなー!ノッてるかーい!」

傍聴人「……」


ジーナ「ノセ方が下手くそ」

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