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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
王宮調査編ですわー!

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なぜクラウディアは王国を見限ったのか

 私は正直言って第1王子を殺したのはエリーだと思っていた。アーデルは巻き込み事故だったのだと。

 だが調べてみれば夫婦岩のある上部周辺で大量の近衛騎士が警備していたことで限界が来て落下しただけだった。あれでは恐らく数日中に落下しただろう。

 平民のララもベルク商会を通じて公爵家と取引があるので動かそうと思えば動かせただろうし運が良ければ死ぬというその程度のお遊びではないかと疑っていた。


 だがその後の対応はエリーの計画だと言うには手落ちが多かった。

 マルスン近衛騎士団長は王家に殺されゲーリング子爵はノータッチでマルバッハ男爵は救済している。

 マルバッハ男爵はまぁ巻き込まれたようなものだからわかるが、もし計画を立てるなら引き込んでいてもおかしくはない。その場合まず捕縛されてることがおかしい。

 ゲーリング子爵も領民を蜂起させる一手間を加えるなら何かをしていてもおかしくはない、そこまでしたらもっとうまく処理するか助命させてるだろう。領民に殺させるか、王家閥の追い込みがゲーリング子爵領の悪政の原因で王家がこの問題の矛先をそらそうとしていると騒ぎ立て死刑だけは撤回させるなりするだろう。操ったのなら処理するし、動かせたならちゃんと助ける、エリーならそれくらいする。


 一番解せないのはマルスン近衛騎士団長だ。実質2人の死の原因とも言えなくもないのだ。

 エリーなら自分で殺しに行くんじゃないか?ヘス前伯爵みたいに。

 本人は隠す気がないのか失言しているのか、それとも匂わせることで相手の反応を見ているのかヘス伯爵の最後は立派だったと語る時がある、公的には急死だと言うのに。暗殺だと公然の秘密であるうえでだ。

 もちろんレズリー家は把握している。毒殺され首をはねられ伯爵家の重要書類と並べてその首を飾られ頭部には安物のワインを掛けられていた。直前まで飲んでいたであろうペトルーズが安物のワイン瓶に入っており恐らく毒もこちらに入っていたのだと思われる。最も確かめることはなかったが……。毒殺であり暗殺でありこうして晒されてる時点でどうでも良いことだったから。

 何処をどう切り取っても立派とは程遠い最後だ。これを立派と称するのは皮肉だろうがエリーの言葉では本当に敬意が感じられた辺り現場にいたのだろう、当時は5歳か4歳だったか……。


 あぁ、いまのエリーを見たらやるかやらないかじゃやる、始めて見た時のエリー基準で考えてもやるかやらないかだとやる。

 多分現場にはいたのだろう、実際首を落としたかまではわからないが最後の会話はしたんだろう、そこで何らかの条件で息子への継承だけは認めさせた。事件直後から公爵家がやったと噂が流れ、原因は怪しい動きをしていたため追跡されたゲーリング子爵だと。そこで一網打尽で暗殺されたのだと囁かれた。表向きは急死や病死、死亡時期をずらして領地に戻る途中の事故死などでごまかした。よほどの醜態があったらヘス伯爵は故ヘス伯爵か故ヘス伯爵子息になっている。

 ヘス伯爵が代替わりと相談役の継承をされなかった時点で公爵家への賠償は反対するスタンスに変わり軍務省大臣に飛んだ、この時点では脅されても戦う気概はあったのだろう。

 だが公爵令嬢の乱心時には動きは見えない、蚊帳の外だったか反対派だったのだろう。王家の活路は公爵家との和解しかないがそれを選ばない王家に呆れてしまったのかも知れない。

 それでも第1王子主導の蛮族遠征の計画を立てて王家の命令で王室典範改正などの法整備に専念した。


 もしこれが通ったら公爵家は危機に陥っただろう、なにせ周辺蛮族はすでに平定している。ここで万全な第1王子の軍勢を蛮族を使って撃破してしまえば公爵家はどうやって今まで耐えていたのだとなる。公爵家が味方を殺すことはできないだろう、結果として蛮族領域か内陸部に引き込み殲滅するしかない。そうなったら第1王子を殺すか、生かして引き込むかに迫られるし第1王子派閥から漏れて第2王子派閥に入れられた連中がお飾りとして立ち上がってしまう。

 エリーがアーデルハイドを敵に回して第1王子を殺せるかという点がメインになる。

 アーデルハイドが王室典範改正問題で激怒した時にこれを使って第1王子の遠征計画を潰してしまおうと思ったのではないだろうか?

 最もヘス伯爵はここで公爵家に王家は公爵家との和解を望んでいる、もしくは見放していないとアピールしたかったのだろうが……。公爵家が、エリーが最もされたくない手段を取ってしまった。


 結果が二省炎上事件である。

 繰り返すがあの時のエリーは全く主体性も見せずリーダーシップすら発揮しなかった。アーデルハイドがまとめ役をやる事が多いと言ってもおかしかった。

 責任を押しつけられても知ってる人はアーデルハイドが主犯だと知っている。それもエリーが主犯だったら死んでるだろうという信頼の上でだが。

 結果的に王家と、そして第1王子から見放されたヘス伯爵の離反を招き軍務省の権力は大幅に弱体化した。それこそ内務省の1,2階に押し込められるほどに。そして内務省の重要部署は別の敷地に移動して防諜管理されることになり公爵家に大いに利することになった。レズリーでも探れぬほどに厳しい管理のもとでだ。


 私はここでひっくり返せなかったらエリーがどうしたのか気になっている。

 アーデルハイドを敵に回したのだろうか?第1王子を殺したのだろうか?兵を挙げたのだろうか?蛮族を指揮して王家を撃退しそのまま王都に攻め上がったのだろうか?

 アーデルハイドはエリーがこの国を統べるのに本当に必要な人物だったのだろうか?

 だから私は王太子として自分の道を阻むであろう第1王子を事故に見せかけて殺したうえでアーデルハイドに協力させるか、もしくは一緒に殺したのではないかと考えていた。

 エリーの演技力は私も持っても見抜けないことが多いので葬式で泣いている姿を見ても確信が持てなかった。調査してようやく確信を持ったくらいだ。ララの存在を本当に把握してなかったことに驚きすらした。


 今にして思えばあの2人が王太子夫妻として立ち塞がりエリーが失敗に追い込まれてたらそれはそれで一興と滅びゆく王国を蛮族と眺めながら他の国を切り取っている気がする。

 エリーとアーデルハイドの間でなにか打ち合わせがあったような気がするのだが亡くなった今となっては聞けないし、おそらく答えないだろう。

 あの2人は時たまに余人が入れぬものを感じる。あれがベスの小説にあった百合というものだったのだろうか?


 父がなんと言おうとこの王国は私が汗を流すに値しない、新しい国を作るべきだ。だからこそエリーに協力して建国のために動く、家の方針を無視し続けて方針自体を変えさせたのはそのためだ。

 何にせよ王家は王国よりも自らの保身を優先したのだ。第1王子を失い、その伴侶になるはずだった相手の葬式すら来ずその父親を国外に飛ばしたまま知らん顔だ。第2王子は語る価値もなし。

 エリーからしたら勝手に王家の信頼が損なわれ、エリーの友人が未来の王妃なら安全だろうと協力せず静観していた人間が慌てて派閥に入ってくる姿は笑いが止まらなかっただろう。彼らは動くのが遅すぎた、エリーは彼らはそのうち使い潰すだろうし、想定内かそれ以下のできなら王家に処分させるだろう。

 生き残ってもこの判断の遅さならエリーは将来処断する、それを知ってるから王家から抜け出せない連中は寝返れない。


 そもそも連中はツテがなく、頼りの未来の王太子妃はその地位につくことなく未来の王太子と一緒に亡くなった。思えばエリーを幼馴染といい始めた第1王子はそれによって王家派閥の引き締めと寝返る人間の牽制か第2王子から寝返りたい人間の橋渡しをしたかったのだろう。

 アーデルハイドを頼ってる時点で別に第1王子が橋渡しをしたとはいい難いが。なんなら宰相の娘であるキャスを利用したとも思うが……第1王子の後見人をやっていた宰相から独立したかったのだろう、多分宰相派閥の引き抜きでも企んでいたのだ。


 この働きで恐らく主導したか、率先して動いていた王宮家令であった第1王侍従長ワイトは同じく岩の下敷きになって死んだ。

 ジーナの暗殺未遂の時のゴタゴタを見れば引き継ぎすらろくに出来ていないのは間違いない、私はパド家令が関わっていると確信している。

 つまりエリーは私に働けと行っているのだ、後手に回り続けた私に実績を上げろと。

 経済ではなく、得意の諜報で……。


 ここまでされたらやるしかないですね。

 見せてあげましょう、レズリー家の最高傑作と呼ばれた私の本気を。


 さて、王宮メイドか侍女を捕まえますか。

 やるっすよ!

クラウ「エリーガチ勢っす、実際はアーデルハイドよりエリー優先っす」

エリー「(百合……?)」

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