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ワタクシこそがトップに立つのですわー!  作者: MA
王宮調査編ですわー!

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ブロンテ先生のお茶会

「ブロンテ先生、新作が書けたと聞きましたが『王宮の陰謀』シリーズですか?」


 夫が国王相談役の一人であるパウエル子爵夫人、作家名はアンドンキャスと名乗るこの先生は私に向かって笑顔で尋ねてきた。この方は私の作品大ファン……大大大ファンであり新作のネタにどうぞと国政と貴族間の多少の情報を教えてくれる。

 実際のところパウエル子爵の方も私のファンらしくこの情報は……私が妻に伝えた話、つまりこの作品の貢献者は私とウキウキで作家サロンで話す様な方なので問題ない。彼も作家だ。

 作家にとって大事なものは国政や貴族の人間関係や情報ではなく、それをどのように面白い作品にしていくかでしかない。

 だからみんな口が軽くなる、私でも軽くなる。


 私はうっかり友人の情報を漏らしたりせぬよう考えて喋るのだが、それが癖になり変な話し方になってしまった。

 この話し方で何も思わないのは古くの友人に作家サロンの人間、それ以外だとアーデルハイド、そしてそれから増えた友人たちだけだろう。後の友人は背後のエリーを見てるようだからどうなのかは知らない。


「2つほど……陰謀シリーズは最近の情勢が激しく動いてるので……伏線ごと消えそうなので……書き終わってますが……一応様子見中です……アンドンキャス先生も新作を書いてると……」

「私はまだまだ、毒殺医師シリーズはこれで完結ですよ。でも最後はいいですね、そのまま使いますよ。最後の被害者は加害者の自分だった、毒薬を投薬して克明に記録を描きながら息絶える。相応しい最後ですね」

「それは……良い最後ですね……」

「でしょう!亡くなった話を聞いた時にこのシリーズも店じまいかと思ったんですけど、詳しく聞いたらこんな素晴らしい最後はないと思いまして」

「人気絶頂で終わることは……そうできることではありません……」

「今度は息子の方でも書きましょうかね、マッサージ師だそうですがなにか情報は?」

「筋肉フェチ……らしいです……」

「うーんそっち系の本になりますね……」

「需要はあるのでは……?」

「うーん……シリーズにするほどではないですね」

「一目で……蛮族かどうかが……わかるそうです……顧客も多いとか……」

「蛮族もマッサージするんですね……蛮族とマッサージ、もう一声……」

「公爵家の……キサルピナ騎士長のファンという話も……あります……」

「王都武道大会でいつも優勝してたあの?アレクサンダー伯爵令嬢と一戦が望まれたのに殿堂入りで出禁扱いになった最強の騎士キサルピナ?」

「そのキサルピナ騎士長です……」

「確かバルカレス男爵令嬢は対戦したことがあるのですよね?大体武道大会では準決勝あたりで敗退してますけど」

「切り合いもなく……負けてた……意外だった……」

「まぁバルカレス男爵令嬢は普通の騎士団ですから単純な剣の腕より接しやすさや上に立つ資質が主軸ですからね、アレクサンダー伯爵令嬢も同じですが……接しやすさを捨てた分剣に行ったんですかね?」

「接しやすいですよ……?」

「意外ですね、今度話しかけてみます」

「『高慢な愛の虜』のファンですよ、先生が作者だとは知らないでしょうが」

「あら!読者なんですか!急に親しみがムクムク湧いてきましたわ」


 ムクムクと湧くものではないと思う。まぁないよりはムクムクでもワクワクでもニョロニョロでも親しみがあればいいんだけど。


「最強の女騎士のファン、父が毒殺医師伯爵、蛮族が一目でわかる……身分差恋愛?」

「キサルピナ騎士長は……エリーが爵位を与えてますよ……?」

「うーんそうなると言うほど身分差じゃないですね、現実にいる人間のパロディである私の作風だと前提自体が破綻してるとちょっと厳しいんですよね」

「そもそも……公爵家騎士長の時点で……そこまで身分差というわけでも……」

「そういえば騎士長ってそのものが爵位みたいなもんでしたね……立場考えたらむしろ伯爵が下?」

「ですかね……」

「ありきたりだなぁ……先生なんかアイディアありませんか?原案に一緒に入れますよ?」

「例えば……伯爵は王城に専用マッサージ室をいくつも持っている……バカ王子のもとに多くの人が呼ばれる……まだ女性の被害者はいない……絶対に2人で……会わないから……マッサージ室は?」

「ああ、クズがマッサージ室に押しかけてみたいなことですか、女性のマッサージは伯爵ではないですからね……蛮族……蛮族に変装した王子が、だめだあんな雑魚じゃ勝てない、騎士キサルピナが強すぎる……」

「伯爵の周辺にいる貴族は?」

「パド家令?ああ、公爵家騎士を呼び出してみたいな……うーん勝てる絵が浮かばない、これじゃ読者が納得しないな……媚薬に負ける姿も浮かばない……」

「リッパー医師は……?」

「リッパー医師?あの伯爵以前の……」

「リッパー医師の過去は……?話に組み込めるんじゃないですか……?」

「リッパー医師は……たしか直接暗殺をしてるなんて話がありましたね、えーと……私が結婚する前にその疑惑が出て……リッパー男爵は直後に息子さんが急死して……ああそうだ!前国王陛下が亡くなったんですよ!大騒ぎでしたね、そしてその後王宮医師団に所属して……えーと……確か……国王陛下が就任した後で王宮医師団が何人か急死したんでしたっけ……たしか……前国王陛下が亡くなった翌年に王太子の儀をやって……その翌年に国王就任したから……このへんで急死とリッパー男爵が筆頭医師になったと思います」

「毒殺医師が始まったのは……いつ頃でしたか……?」

「えーと確か……市井で患者を殺してる伯爵の話があったのが……王太子の儀のときでしたね、当時は新聞がなかったので自信はありませんが……確か統括になったのが……そうだ!公爵令嬢の乱心後です!それは覚えてます!」

「乱心……?」

「ああ、その時は友人ではなかったんでしたっけ?」

「いや……どのことか多すぎて……」

「第1王子の婚約園遊会ですよ!唐突に公爵令嬢が王家に宣戦布告して王家とライヒベルク公爵家との婚約決定が流れたあれです!」


 ああ、アーデルハイドとエリーが始めて会った時のアレか……。何度も2人とも同じ話をしてきたからなぁ。


「どうです!ブロンテ先生!なにか浮かびましたか?」

「リッパー医師が伯爵死後に毒殺の仕事に回ってキサルピナ騎士長暗殺に回る、伯爵はそれを守るため蛮族の協力を仰ぎ……ああそう、王家の命令で動く、そして伯爵は愛する人を殺そうとする王家に疑問を持ちリッパー医師を失脚させるために動く……マッサージ要素……リッパー医師をマッサージして全容を聞く?もしくは国王?リッパー医師が前の暗殺集団を率いて戦いを挑む」

「いいですね!ブロンテ先生!公爵家最高戦力を削りたい王家と助けたい王家側の伯爵!王家を敵対視する公爵家に近づけず苦悩する伯爵!愛するキサルピナ騎士長に敵視される伯爵!その時だけは自分を見るキサルピナの瞳をじっと見つめる伯爵……それを自分を殺そうとする人間の瞳だと思うキサルピナ……そして二人はすれ違い……原案に入れておきますね、ちょっと今から戻ります、夫によろしくお願いしますね!ブロンテ先生!」


 アイディアがつながると嵐のように動く人だ、まぁ作家は大抵活動的なのは私の経験上確かだ。

 蛮族領域で本を買い漁って色々吸収して書いた蛮族漫遊記を発表したいけどアーデルハイドに止められたまま……。まぁなんで書けたのかって問題があるからね。

 そろそろエリーたちにもブロンテが私だって言ったほうがいいかしら?エリザベス・アルベマー伯爵令嬢はあなた達がよく読んでるブロンテですって。

エリー「王宮の陰謀シリーズがでないけど他の作品が面白いから良いですわー!でも読みたいですわー!」

ベス「(やたら問題起こすから何度も書き直して結局出せないんだよ、誰のせいだと思ってるんだろう)」

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