帰宅道中
保健室で休んで、午後から授業に参加。舞島さんは、変わらず俺にちょっかいをかけてきた。
今日の俺は、皆と同じく階段を下り帰路につく。
体調がすぐれないから、上に行くのはやめた。
靴を履き、鞄を肩にかけ校門を出る。ガードレールに腰掛ける。妖艶な人がいる。屋上の女学生と勝手に呼んでいる国枝さんだった。
「奇遇だね」
「国枝さんは、誰か待ってたんですか?」
「君だよ、角谷君」
「全然、奇遇じゃないじゃないですか」
「ところで、体調が悪くなったみたいだね」
「俺って有名人ですか?どうして知ってるんですか」
「とある情報元から、聴いた話だ」
国枝さんは、そんな情報屋と繋がりがあるのか。それも、俺なんかのことを知る情報屋と。
「それで角谷君、体調というのは体のかい?それとも心?」
「目か頭か、心ですね」
「アイオアブレインオアマインドか」
「すごく読みづらい文章ですね。それに何を言いたいのか分からない」
「音声中心主義なのかな。私は、どんな解釈も許されると思うよ」
「それは、そうですね。」
「角谷君、ついてきたまえ」
そういった国枝さんは、俺を先導する。下校する道を少し外れ、俺は国枝さんの後ろ姿を追いかける。国枝さんは闊歩する。
寂れた公園についた。ぎーこぎーこと軋む音がなるブランコ。錆びた鉄棒。人がいない。寂しさが空間を覆う。公園の真ん中、コンクリートの球体がそこにはあった。直径が1mほどの球体だ。オブジェクトだろうそれに、国枝さんが上に乗った。
「角谷君、ここが世界の始まりの場所なんだよ。そして、この世界の終着点でもある」
「国枝さん、何を言ってるんですか」
「だから、ここが始まりであり終わりなの」
「だから、言っていることがわかりません」
「いつか、遠くない日にわかるはずだよ」
俺は帰宅した。今日も一日が終わる。




